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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第36話「泳ぎの練習と百合」

「っはぁー。つかれたー」



「準備運動でどれだけ体力使ってるのさ……」



 僕らは通常通りのストレッチをしていた中、仄香だけは一人で歌いながら倍速ラジオ体操をやっていたのだった。それは結局意味があるのだろうか。ハードすぎない?



「仄香のせいでストレッチに集中出来なかったじゃないか……。どうしてくれるんだ」



「へぇーん! それは自己責任というやつですなー!」



「通り過ぎる他の客にジロジロ見られながらというのは、羞恥プレイだろう……。仄香が悪い」



「ふっ、それこそ責任転換よっ!」



「それを言うなら責任転嫁ね……」



 全く。騒がしい子たちだ。蘭子なんて、アスリートの如く足の先までしっかりと伸ばしていたじゃないか。いちゃもんつけるのは、ただ仄香をイジりたいだけなんだろうけどね。



「じゃあ、準備もしっかり出来たし、プールに入ろっか」



「よぉ~っし! 百合ちゃんにさり気なくセクハラするわよぉ~っ」



「あれ……? なんだか咲姫の口からおかしな単語が……」



「んん~? 気のせいじゃないかしら?」



「そ、そっかぁ」



 プールに入るのをためらわれる発言だった。積極的なのはいいんだけどさ……咲姫も最近セクハラとか下ネタに抵抗が無くなってきてるんじゃないかと不安になる。いや、暑いと僕もおかしかったりするけど。



 しかし、そこで、おずおずと手を上げるロリっ子が一人。



「ちょ、ちょっとミンナにお願いガ……」



「どうしたぁユズリーヌッ!」



「ユズリーヌって誰なのさ……」



 テンションだけで生きる仄香ちゃんであった。それを見つつも反応に困ったのか、譲羽は首を傾げつつ、口を開く。



「アタシ……実はちゃんと泳げないから……不安……。ウンディーネと加護があるというのに……情けないワ……」



 だなんて、譲羽が打ち明ける。



「でも海じゃあ泳いでいなかったか?」



「あれは浮いていただけ……。ほぼ犬掻き……」



「それなら大丈夫じゃないのかしらぁ~?」



「それだけじゃあ……ダメなの……」



 蘭子と咲姫が問うも、譲羽はしょげるように肩を落とす。



「うちのママが言ってた……。来年までに、うちの学校にはプールが出来あがる……。だから、そこで十メートル以上は泳げた方がイイって」



「そうなんだ。そういえば、工事始めそうな雰囲気はあったかも」



 なんという素敵な情報だろう。僕らの学校にもプールが出来上がるだなんて。譲羽のママは学院長だから、情報に間違いは無い。ならば、来年の学校プールでの百合百合を目指して、譲羽には少しでも泳ぎを楽しめるようにした方がいいかな……?



 でも、本人が本当に嫌なら、無理強いはしたくないところ。



「出来なくても仕方ないとは思うけどね。泳ぐのも得意不得意あるし」



「でも、アタシは泳げるようにナリタイ。体育の評定が2だったら、大学部への内部進学が大変……みんなと一緒がイイ……」



「うぐっ、ゆずりぃ~ん!」



「ユズちゃんがわたし達をそんなに大事に思ってくれてたのねぇ~っ」



 泣くように譲羽の左右に仄香と咲姫が抱き付く。ああ素敵な友情百合かな……。



「泳ぐとなるとクロールだろうか。ただ左右の手で水をかきあげて進むだけなのだが……」



「それが苦手っていう子も居るもんねぇ。感覚だけで伝えるのは難しいかも」



 相変わらず出来るのが当たり前みたいな蘭子の発言に、出来るだけやんわりとツッコミを入れる。そのお陰が、譲羽は胸に当てていた手をなで下ろす。



「僕が教えよっか。昔は苦手だったし」



「ほ、ホントなの……? ソレ……。百合葉ちゃんが、苦手だナンテ……」



「そうだよ、昔はポンコツでさぁ。だから安心してね?」



「なんという……女神……。ウンディーネ……。百合葉ちゃん……好キ……」



「えへへっ。照れるなぁ……うっ」



 この中二病ロリ実にチョロい……と思っていれば、他の子たちの視線が痛い……。くっ、まだまだみんなの恋心を認め合うまでには至ってないのかぁ……っ。



「じゃあ一人ずつ教え合いっこしてさ。上手いコツを探そうよ! それならみんなで楽しめるでしょ?」



 僕が皆を見渡して言うと、考えるようにしていた他の子たちも、なんとか納得したようで、仄香、咲姫、蘭子と順にゆっくりと頷く。動きが伝染していくようで見てて面白い。



「そうよなぁー。泳げないと楽しめないこともあるしっ。あたしも参戦するぞよー」



「一人だけのけ者は辛いものねぇ」



「人に教えれば、私もまた上手くなるかもしれなしな」



 と、それぞれがその子らしい返答をしてくれた。よしっ、こうやって、みんなの結びつきを少しでも強められればっ!



「みんな……ヨロシクオネガイシマス……」



「ユズもオーケーみたいだし、それじゃあ、泳ぎの教え合いっこだね!」



 そう言って僕と譲羽を先導に、ようやくみんなが水の中に足を踏み入れたのだった。

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