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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第22話「水着と百合」

「うっみでぇ~い!」



「全てを飲み込む……大海原!」



「うみうみうみぃ~」



 お祭りを終えて数日。僕らは海水浴に来ていた。



 平日とはいえ夏休みのシーズンだからなのか、若い人が多く居る……例えるなら点在する? 一定の距離を取ってシートを引いているのだ。このくらいなら混み具合も我慢できるものだったり。もしこれが土日だったなら、ごった返すっていう表現になるんだろうなぁ。ああ、人混みは嫌だ。



 みんなで着替え終わった後にお互い何もコメントをしなかったけれど、今になってみんなかわいい水着だなぁと思う。フリルにパレオ、ビキニに……す、スク水……? いや違う、濃い青色で似てるけど、模様もあってスクール水着では無いみたいだ。しかも綺麗だから、新品なのだろう。間違ってもスクール水着などではない……。



 今回の海行きが決定して、みんなそれぞれ買ってお披露目しようという話が、グループメッセージであったのになぁ……って焦ったよ……。譲羽もちゃんと買っていたみたい。良かった良かった。



「なんでゆーちゃんはパーカーなんて着てるのぉー。ここ海だよ!? う、みっ!」



「いやぁ。日に焼けたくないし、恥ずかしいからさ」



「百合葉、日焼け止めなら全身至る所までくまなく塗ってやるぞ?」



「いや、塗ってるから要らないけど」



 それよりも蘭子ちゃん。そのワキワキとセクハラチックな手付きやめません? 美少女だから許されるけど、それもう充分セクハラだよ? 存在がR指定だよ?



 実を言うと、今のサイズに合うものを買ったは良いんだけど、着てみると予想以上に恥ずかしかったのだ。マネキンだと可愛く見えたんだけどなぁ。僕は胸とかお尻とか無駄な肉が多いからかもしれない。去年はもうちょっと筋肉が目立ってた気がするのに……。スレンダーになりたいものだ。



「ま、いっかー。海に入るときになれば、嫌でも脱ぐでしょ。それよりも……」



 ありがたいことに、早々に僕の水着は諦めた様子の仄香ちゃん。セクハラ切り込み隊長の仄香が諦めては、他の子たちも無理には続かないので、なんとか誤魔化せたみたい。



 だけど、仄香は怪しげな表情を浮かべていた。なんだろう。



「どぉーう? ゆーちゃん。あたしの大人のレディーな魅力に……うっとりしちゃあう?」



「かわいいけど……小学生かと思うほどかな」



「うぐっ……ひどぉい!」



 レディーな魅力は無いので、そこにはうっとりしないんだよなぁ。残念ながら。



 水着の選ぶ色は浴衣と一緒で個性を表して居るのか、仄香は胸の無さを隠すように可愛らしいフリルを重ねた黄色と白ドットの水着だった。



 仄香のほっそりとした自分の体型に合わせたかのように、パレオを含めて可愛らしくあしらった水着だけれども、その雰囲気は小学生に近い……いや、中学生レベルではあると思うんだけどね。あえて、からかっちゃったよね。



 ただし、そのレディーっぽくない所は良い。良いのだ、似合っているから。



 僕は、その素材を生かした美しさが好きなのだ!



「ふっ……。百合葉を悩殺するのに、そんなチンケな体型じゃあ足りなすぎるな。百合葉の心を手に入れたければ、私のようなクールビューティーでパーフェクトなボディーじゃないとな……。なあ? 百合葉?」



「いや、そうでもないかな」



「くっ……」



 仄香に続き、悔しそうに唇を噛む蘭子ちゃん。その姿は、ザ黒ビキニ! 日本人離れした高身長に巨乳! めっちゃ最高にクールビューティーで最高さ! ひゃっほう!



 でも、それはあくまでも彼女が彼女の魅力を出し切っている話の事であってね……? パーフェクトなボディーかどうかはまた別なんだ。だから、パーフェクトボディー自体はそう好みでもない。



 そう、違うんだよ。僕は好きな子それぞれに似合ったボディーバランスが大好きなのであって、似合っていなければ巨乳だって貧乳だって無乳だって好きじゃない。しかし、みんな似合ってて可愛いから、大好きだ!



 僕は! 美少女が! 大好きなんだ!



「百合ちゃん? 今日のわたしって、素敵じゃなぁ~い?」



 そう言って、今度はグラビアアイドルみたいにポーズを取って胸の谷間を強調する咲姫。ふんわり可憐な彼女のイメージよりも少し背伸びした、紐を首の後ろで結ぶリボン付きビキニだ。



 ちょっぴり制服を思い起こされるそのチェック水着は、腰回りこそフリルで可愛らしくしているけれど、どうやら見所は胸みたい。谷間が見えるように、モデルの真似事を恥ずかしげも無くやるのはすごく可愛いんだ……でも……。



「似合っていて素敵ね……咲姫。でも、パッドなんかで自分を偽るのは好きじゃないよ」



「がびぃ~んっ!」



 そう。僕は素のままの美少女が好きなのであって、無理して背伸びしようとするのは好ましくなかったり……。その背伸び感も可愛いという意見があるのかもしれない。しかし、僕は彼女の貧乳な貧乳と見た目のバランスを愛しているのだ! その愛らしさを見せてくれないだなんて、マイナスポイントである。



 しかし、彼女の『がびぃ~んっ!』は可愛い。今時そんなショックの仕方があるだなんて、残念系美少女で賞を送りたい。毎年の優勝者も二位も三位も彼女で決まりっ!



「フフフッ……。百合葉ちゃんに変な小細工は不要……。自らの真の姿で迎えてこそ、愛される価値が産まれるノ……っ」



「ああもう……ユズったら可愛いなぁ」



 僕に撫でて欲しいかのようにピトッと頭を肩にくっつけてくる譲羽。僕の腕なんか絡め取っちゃって……。もうっ、逆に抱き枕にしちゃうぞ~?



「うぬー見た目より質量だったかー」



「何よりスキンシップなのだろうか……」



「負けちゃったぁ……」

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