表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
215/493

第05話「花札と百合」

 爽やかな蒼天の日々が続き夏に向かっていくかと思いきや、急に天気が悪くなり風が窓をガタガタと揺らす雨の日。



 寒々しい外の気温とは対照的に、僕らの部室では熱いカードゲームが繰り広げられていた。と言っても、相手のデッキを0にしたりライフポイントを削ったりするような、現代的なものではなく。古くから賭け事で使われる日本の伝統遊戯、花札だ。



「行くぜぃ蘭たん! 紅葉で鹿の札を取って……出てこい! イノシシシカチョウ! そして、最後の逆転ホームランめがけて、さらなる追撃を狙うぜぃ! こいこいっれ」



「ふっ、猪鹿蝶いのしかちょうだがな……。仄香がまだ続けるのは読めていたさ。菊にさかづきを引き当てて、月見酒と花見酒のコンボだ。残念だが君の完敗だ」



「おぅわぁー!? 全敗だぁーッ! あと一歩だったのにぃー!!」



「安全なうちに決めようとしないからそういう事になるんだ。点数分、チョコは全部貰っていくぞ」



「うぅぅ……あたしのおやつが……まだ戦えるのに……」



 そう言って蘭子は、机の上に並べられていた一口チョコがごっそり持っていく。食い意地がはっているように見えるけれど、花札で買った点数分だけ、相手から奪うルールにしているのだった。だけど、今回の勝負で仄香のチョコが無くなってしまったから、ゲームセットを余儀無くされていた。



 ちなみに、仄香は悔しそうに呻いているけれど、あの一口チョコは仄香が持ってきたものだし、花札も仄香の物だ。それを、なぜ蘭子に勝負を挑んだのか。楽しむためなんだろうとは思うけれど。



 そんな風に、今日も今日とて我が写真部の美少女たちは、写真部という部活動とは関係なしに遊んでいた。



「うぬぅ、スーパー知的ビューティー蘭たんめぇ……。次会ったときには返り討ちにしてやる……」



「さり気に褒めてるし……。仄香から挑んだのに返り討ちなの?」



「あたしが負けたから次は返り討ちなの!!」



「……そうだね、うんうん」



 次も挑んでも仄香が返り討ちに合うのが目に見えているんだけど……。あんまり細かくツッコまないでおこう。



「フフフッ……。私に勝とうなど千年早いさ。顔を洗って出直してくるのだな」



 なんて、大きな胸を張る蘭子だが、一方で頭をかしげる仄香。その言葉に疑問があったご様子。



「頭じゃダメなの? 頭よくなるようにッ!」



「サッパリるだけだろう」



「じゃあ足!」



「なんの悪事を働いたのさ……」



「首!」



「死刑なの!?」



「斬首されるつもりなのか……」



「イカサマでもしたのかしらねぇ……」



「詐欺は……イケナイ……」



 相変わらず、仄香の言葉遊びはただのアホなのか計算したボケなのか分からなくなる。



「よっしゃ! じゃあとりあえず洗いに行ってくる! せっかくだからゆーちゃんも一緒に行こー? そしてこっそり脱衣花札を……。ぐへへっ、百合葉チャンの白い肌の上で百合見酒ゆりみざけじゃ……!」



「学校でナニするつもりっ!?」



 そう呆れるなか突然、ダンッと机が響く音が鳴り響く。そんな爆弾発言が落とされた日には、僕を狙う美少女たちが一斉に立ち上がるのも当然であり……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ