第01話「百合ハーレムな関係?」
街を見渡せる小高い丘の上。大切に育てられた箱入り娘たちが通う女子校があった。
その名は姫百合女子学院。大事なお嬢さん方を安心して通わせられるようにか、防犯や施設設備が整っており、学費もかなり高めだ。
しかし、どうしても入りたい場所。基礎からコツコツと穴の無いよう勉強を頑張って、無事に学費免除の特待生として入る事が出来た。
なぜ、そこまでして入りたかったのか。そう、僕はここで、果たしたい大いなる野望があったのだ。
そんな僕の名は藤咲百合葉。美少女を囲って百合ハーレムを作ろうと思ったんだけど一つ困ったことが……。
「百合葉、今晩は空いてるか? 君をお姫様にしてあげられる、お城みたいに素敵なホテルがあるのだが」
「あら~っ? 百合ちゃんは今晩わたしと寝る予定なのよぉ~? だっかっらっ? どこぞの冷血女さんは一人で寂しくおねんねしましょうねぇ~」
「なんだと? このぶりっ子プリンセス」
「女らしさと言って欲しいわねぇ~」
「どっちとも寝るつもりはないよ……」
なぜか僕が抱かれる側になってしまうんだもの。僕は僕の美少女たちに心から満足してもらいたいだけなのであって、僕の性欲が満たされるとか、そんなことはどうでも良いのだ。そもそも、性的に抱くとか抱かないとか嫌だし。やや潔癖のケがある。レズのケはバリバリなんだけどねっ!
「やばいよゆずりん。ゆーちゃんを取り合う戦争が始まっててあたしらの出る幕なさそうだよー、やっぱタッグ組むしかないよー」
「フフフッ。それナラ、仄香ちゃんにはあのお姫様と王子様を百合葉ちゃんから引き離す仕事を任命スルネ……その間に、アタシは百合葉ちゃんとムーンライトシャワーを浴びながら、夜の魔力供給を行ウ……」
「ムーン……? 月夜の……魔力供給ってアニメとかの吸血鬼的なだから……。なるほどう! それはナイスアイディ~ア! ……って、騙されるかぁーいっ! それ独り占めしてるじゃんゆずりんっ!」
「百合葉ちゃんは……アタシと主従の契約を結んでいるのだから当然……」
「なぁにおう!」
「僕は誰とも主従の契約を結んだつもりはないんだけどなぁ」
まあ、ここに居る美少女たち四人とそんな契りを交わせるなら最高だなぁなんて、思ったり思わなかったり。性行為はともかく。
「あらあらユズちゃん? 主従だなんて上下関係は良くないわよねぇ? やっぱりわたしみたいにっ? お姫様と王子様みたいな対等関係者じゃないとぉ~」
「咲姫チャン……今どき白馬の王子さまとか流行ラナイ……。お互いのカルマと戦うために、トワの誓いは時空のカルマさえ超えた主従の依存関係であるベキ……」
「どっちもどっちだと思うが……。ともかく、百合葉は私の物だ」
「なんだとぉう蘭たん! じゃあゆーちゃんを盗み出さないと!」
「みんなもっと仲良くしてね……?」
「んん~っ!? ハーレム作ろうとしてる子に言われたくないよなぁ~っ!」
仄香に正論を言われてしまった。しかし、彼女もまたハーレムを目論んだ同じ穴のムジナだったり。
ただ、ハーレムというのは、侍らせる……とまでは言わなくとも、みんなが喧嘩していたのでは成り立たない。つまりはまだまだハーレムもどきという事だ。だから、今のこの環境は、夢にまで見た百合ハーレムには少し惜しい気がする。




