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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部一章「百合葉の美少女集め」
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第02話「白銀のプリンセス」

 席に手を掛ける僕。隣には見目みめ麗しい華乙女。ふと目が合う。



 桜の花びらを添えたように華やかな頬と、同じ桃色なのにみずみずしく果実が弾けたような唇。ピンクブラウンがよくえる大きな瞳に整った顔立ち。そして何より、波打つ銀色がりなすロングウェーブ。夜闇をいろどる月さえも、彼女の輝きには勝てないんじゃないかと心を奪われていた。



「ごきげんよう?」



「おは……ごきげんよう」



 また挨拶に詰まっちゃったよ……。妄想のし過ぎで現実に思考が追い付いていないのかもしれない。妄想過多注意かな。



「うふふっ、"ごきげんよう"なんて慣れないわよねぇ~」



「そうなんだよね。"おはよう"のが自然でいいと思う」



 良かった、彼女のお陰でなんとか会話に巻き返せた。



「もしかして君も、ここの系列校とは違う出身なの?」



「そうなのぉ~っ。だから緊張しちゃってねぇ」



「えぇ~。君、お嬢様みたいだから元からここの出身なんだと思ったよー!」



「え……? そ、そうかなぁっ?」



 途端に目をキラッキラと輝かせて表情のトーンが明るくなる彼女。なにこの子、可愛いんですけれどっ?



 というか本当にお嬢様……どころがお姫様レベルの容姿だよなぁ。



 見とれ無言になっていると、彼女は首をかしげる。



「どうかしたのぉ?」



「あっと、挨拶がまだだったよね。僕は、藤咲ふじさき百合葉ゆりは。隣の席だね」



 急ぎ自己紹介に話を逸らす。



「……わたしは花園はなぞの咲姫さきっていうの。咲姫とかさきさきとかって呼んでねぇ~」



「わかったよ咲姫。よろしく」



 海外ドラマみたいな形式ばった言い方になっちゃったなぁ……。もう少し柔らかく対応したいもの。でも、コミュニケーションが苦手な僕としては及第点かな。



 そんな僕がこれから百合ハーレムを目指すだなんてお笑いモノだけど、でも、夢として描いてしまったら、ひたすらに進むしかないんだ。



 とりあえず、友好の第一歩と。咲姫ちゃんと挨拶の握手を交わす……なにこれ手すべっすべじゃん。綺麗で真っ白じゃん。手フェチにはたまらないよ?



 そのように手ばっかりに視線を送っていると咲姫は、「ふんふん」と小さくうなずき僕を観察する。なんだろうか。



「ところで百合ちゃんは、自分のことを"僕"っていうのぉ~?」



 え、そこ突っ込んじゃう? 一人称の指摘とかタブーじゃないの?



「ま、まあ昔からね。なんだか、"わたし"とか"あたし"って使いたくないんだ」



「へぇ~」



 微笑みからニマニマに変わる咲姫。なんでニマニマすら可愛いんだ、神に愛されてるのかな……。



 そしてやはり僕の見た目をチェックするように眺める。可愛い子の友達をやるにはそれなりの容姿が必要なのだろうか。



「いいわね……合格……」



 ボソッと言った呟きに「えっ?」と僕が戸惑えば、彼女は手を振り「何でもないわよぉ」と視線を右上に逸らしてから、まぶたを伏せる。ちょっとした仕草すらかわいいくて、つい一つ一つ目で追ってしまう。



「っはぁ~、ここで初めて会話できたのぉ~。わたし、ここにお友だちいないから……百合ちゃん仲良くしてね?」



 安堵あんどの息を一つき、穏やかに手を握り直す咲姫。なんだ、彼女もひとりぼっちだったのか。親近感が湧いてホッとする。



「もちろんだよ。咲姫かわいいし、願ったり叶ったりさ」



 ちょっと待って。それじゃあ可愛いから仲良くするみたいじゃん。失言だなぁ。



「笑顔も素敵だから良い子みたいだし」



 焦りつつも補足。でも、これもなんだか蛇足だなぁ……会話ド下手かっ!



 しかし、咲姫は聞いていたのかいないのか、口をぽっかりと開け無表情。う~ん可愛い。



「咲姫……?」



「わたし、かわいい?」



「えっ? うん」



「素敵?」



「うん」



 何を今更。しかし、みるみるうちに彼女の表情は破顔し――



「やぁ~ん! 咲姫ちゃん、かわいいって言われちゃったぁ~っ!」



 頬に手を添えぴょんぴょん跳ねる。ハートを撒き散らすようにその場をくるくる回る。ただでさえ可愛いお顔は乙女全開甘々スマイルへと変貌したのだ。



「さ、咲姫っ! 大丈夫!?」



「うぇへへぇ~」



 あっ、ダメだ。違う世界に行っちゃってる……。



 "かわいい"くらいでここまでテンション上げられるものなのだろうか……。この子、男にコロッと騙されそうだなぁ……それならば、僕が守るしかないっ。脳内でグッと握り拳を作り、そう決断したのであった。

編集版2話目でーす! 庭には二羽にわとりがいまーっす!(謎テンション)


気付いてしまったんですけれど、第2部の話が置きっぱなしだと、第1部の最新話近くを読もうとした時に邪魔ですね……。


そのうち、削除をメインに投稿位置を変えたいと思います( ˘ω˘ )

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