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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部三章「百合葉の美少女つなぎ」
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第27話「お仕置きタイム」

 蘭子が僕のベッドに突っ伏して五分ほど。さっきから過呼吸気味な深呼吸しか聞こえず、蘭子が寝ていない事は明らか。



「…………なんでうつ伏せなの?」



「百合葉の頭皮の臭いとシャンプーの匂いが、枕に入り混じっていて興奮するから」



 沈黙に耐え切れず質問を投げ掛けてみると、彼女が埋もれていた顔を傾け、そう答える。



「ああ、そう……」



 予想通りの返事をありがとう。彼女の変態具合は妙に面白くて安心出来る。それは僕もまたレズだからだろうか。一般人ならドン引き間違い無――いや、レズでもドン引きであった。



「百合葉?」



 僕の呆れた返事を返してから数秒、蘭子が僕の名を呼ぶ。



「なに?」



 素っ気なく返事をする。



「枕にヨダレを垂らしておいたから」



「うっわ、やめてよっ!」



「冗談だ」



「ああ、そう……」



 面白味の有るボケに、面白味の無い返しをしてしまう。因みに「垂らしてくれてもウェルカム」等と言えば、僕まで変態扱いされるので止めておく。潔癖症を乗り越える程の美少女好きってヤバい。僕までド変態レズの域である。



「百合葉?」



「なに?」



「好きだ」



 同じ呼び掛けに同じ様な返事をすると、本気なのか分からないレズ特有の告白ボケを言われる。「大好きー」と言いながら抱き着いてくる百合百合な仄香と違って、蘭子はガチレズ臭プンプンな上に、本気かどうか判らない低いテンションで言ってくるため、返しに困る。



「……ありがとう。僕も蘭子の事が好きだよ。下品だけど面白いし、良い友達だと思ってる」



 本気対策の為に真面目な返し――かつ、レズ特有の『友達アピール』から『告白キャンセル』のコンボを実行した。僕の使い古した小技だ。



 当然の如く――なのか、蘭子が黙り出す。大変都合がよろしい。



「なぁーに黙っちゃってんのー。自分から言っておきながら恥ずかしくなったのぉ〜?」



 「うりうり〜」と小突き茶化しに掛かる。空気が重いと本気度が増してしまうのだ。これまた僕の誤魔化し小技。



「百合葉?」



「なに?」



 僕が蘭子を弄るのを止め、少し間を置いてからの点呼。再び呼ばれ、今度は何だろうな――と、ドキドキハラハラの『ドキハラ』して彼女の言葉を待つ。彼女の『セクハラ』に対抗したかったが、間違いなく『ドキハラ』は流行らないと思った。



「愛してる」



 またしても告白であった。今度は十秒程の時間を寝かせたお陰か、『好き』が『愛してる』に変化している。十秒で恋が愛に発展するとは……随分安っぽい恋愛劇だなぁ。出会ったその日に永遠を誓う恋愛映画もビックリだ。



 それにしても、この子は何を考えているのか分からないなぁ――と思いつつ、返事を考える。



「ありがとう。僕もだよ。親友でもここまで仲が良いのはそうそう居ないよ。家族並みだよ」



 先程と大して変わらないウヤムヤ具合であった。まあ、本音ではある。



「百合葉?」



「な、なに?」



 次はほとんど間髪入れずにだったので、声が上擦ってしまった。流石にこれ以上、煙に巻くのは限界が――――。



「子供は何人欲しい?」



「そっちの家族じゃないよっ! それじゃあ夫婦だよ! てーか、今までのピロートークかよッ!」



 『ズコーッ』と脳内で盛大にコケつつ「ノせられちゃったよッ!」と脳内で叫ぶ。性行為を終えた二人の会話でしかなかった。



「『夫婦』っていう漢字は、夫と婦人――と書くよな? ならば私達の場合は『婦婦』――になるな」



「知らないよっ! 『ふふ』って笑ってる様にしか聞こえないよ!」



「ああ、私が男役を演じれば、無事に『夫婦』になるな。万事解決」



 そして尚続くレズピロージョーク。それに対する僕のツッコミを大スルーし、ベッドから上体を起こす蘭子。いつもの様に「ふふっ」と笑ってもらえる事を期待したのに……。



 そんなことよりも、『万事解決』と言う時に決め顔で拳を握ったので、彼女はレズビアン向けの結婚コマーシャルに出れると思いました……。『婦婦になれば、同性でも万事解決っ』。……意味が分からない、忘れよう。



「百合葉?」



 呆れた僕が小机の上で顔を背けて突っ伏していると、飽きもせず呼び掛けてくる蘭子。無視してみる。



「百合葉、百合葉?」



 僕が反応しないのを見るや、めげずに繰り返す蘭子ちゃん。めっちゃ可愛いので、『見向きもしない』を続行。



「百合葉、百合葉、百合葉?」



 ヤバい、録音したい。凄い萌える。このまま放置したら、千回位呼び掛けてくれるのではないかと、あり得ない期待に胸を膨らませる。



 ちなみに、美少女達との恋に胸を膨らませ過ぎて、実際にブラがキツくなってきたのは言うまでも――いや、絶対に蘭子たちが揉んでくる所為でしょ……。



「ゆぅーりはぁ〜」



「あひゃひゃひゃひゃっ!」



 流石の蘭子も業を煮やしたのか、立ち上がり強行措置に出てくる。『くすぐりの刑』である。



「よくもまぁ、私を無視し続けてくれたな? お仕置きタイムだ」



「あひっ! あ、や……ひゃめてっ! あははははっ!」



「私をからかって愉しかったか? んっ?」



 大笑いする僕を余所に、蘭子は擽り続ける。



 そして、僕が「ヒグッ」と本気で苦しみだすと、蘭子は一度手を止め――――。



「続いて『高い高い』だ」



 そう言いながら、僕の両腋を手で掴み、そのまま持ち上げる。



「うひひッ! ひゃあっ!? 何やってんのアンタ!?」



「百合葉、体重が増えただろう。重いぞ」



「酷いッ!」



 ぐぬぬ……。気にしている事を――とは思いつつも、バカップルみたいで楽しんでいる事は秘密である。



「百合葉、イイ事を思い付いたんだ。先程の――『何でも』――についてだが」



「と、とりあえず降ろしてよ」



ろす? やっとの想いで百合葉の子を妊娠出来たのに、堕ろす訳が無いだろう。私、絶対に産むから」



「またピロートーク!? というか僕がはらませちゃって、『堕ろす』事を迫ってるように聞こえるんですけれどッ!? そうじゃなくて僕を下に降ろしてよ!」



「百合葉を下にって事は、私が上か。良いだろう。百合葉を上手に乗りこなしてあげようじゃないか」



「まーた下ネタに走って! 好きだねーアンタは!」



「私も君が大好きだぞ? 百合葉」



「違くてっ! 良いから座らせてよッ!」



 「体面座位?」なんて言っているのを僕が聞き流せば、ようやく蘭子が「仕方が無い」と座布団の上に着地させてくれ、そのまま座り込む。



「さて、何の話だったか。忘れてしまったな」



「自分がボケ続けるからでしょうが……。『何でも』についてだったね…………」



 呆れながら僕は言う。



「そうだ、思い出した」



 蘭子はそう言うと片膝を着き……。



「舐めろ」



 僕の前に手を差し出してきたのである。おちゃらけた明るい空気が瞬時にシンと静まったのが感じ取れた。



「えっ……?」



「舐めろ。指を舐める程度なら問題無いだろう?」



 蘭子は言いながら、左手の人差し指と中指を差し出し、"カモンカモン"と上に折り曲げ、誘う様にパタつかせる。



 僕は何も言わず押し黙るも、あまり考え込んでは僕がレズレズしい行為の意味を理解していると、蘭子に確信を与えてしまうため……。



「なんだ、それくらい……。恥ずかしいけど、まあ良いよ」



 引き受ける事にした。



「ワザワザ指を舐めさせるなんて変なの」



 効果があるかは分からないが、とりあえずとぼけた一言を追加してみる。



「おっと、立ち上がるな。そこに座ったままで」



 そして立ち上がろうとすると、蘭子に制止されてしまった。なるほど、彼女が立ち膝のまま、僕が地面に座り込んだままで舐めさせるという事か。相変わらずドSだなぁ――と、むしろ微笑ましく思う。美少女相手だからなんだけど。



 そんな僕の本心を蘭子は察しているのか、それとも僕と擬似的な性行為のギリギリを攻めているのだろうか。



「とにかく、やってあげるから、誰にも言わないでよね。あと、クローゼットの脅しに乗るんじゃなくて、蘭子の為にやってあげるだけだからね」



 彼女の欲望に尽くすだけという事を自分にも言い聞かせる様に、補足の言葉を付け足す。



「分かっているさ。君は優しいからシてくれるだけだもんな?」



 そう言うと、彼女の左手の指が僕の口内へ、ぬぷぅと沈み込んでいった。

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