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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部三章「百合葉の美少女つなぎ」
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第18話「ダークチョコレートのオレ」

 ようやく週末のリストカット事件の影響も落ち着き切ったようで、なんとか日常的な空気が取り戻せた火曜日の放課後。



 再来週には定期テストの期間に入るので、仄香と譲羽の声によってみんなで部室に集まる事に。ここのところみんなで仲良く集まる機会を作れなかったから、こういう名目で集えることに嬉しく思っていたり。



 そんな中、早速勉強の手を邪魔する声が意外なところから上がってしまった。



「おい。私が楽しみにしていた『ダークチョコレートのオレ』。飲んだのは百合葉か?」



「なんで僕指名なの? 知らないんだけど」



「勉強の合間に飲もうと思っていたのだがなぁ。DARK CHOCOLATE NO AU LAIT」



「何アンタ、その名前気に入ってるの……」



「蘭子ちゃん……それ、イイ……。発音ステキ……」



「そうだろうそうだろう」



「相変わらず中二病だなぁ……」



 僕も気持ちは分かるけどね。なんだか響きがかっこいいもんね。



「それっていつ冷蔵庫に入れたの?」



 僕が言うと、"少しの間"と主張したいのか、人差し指と親指で一センチくらいの幅を作る蘭子ちゃん。かわいい。



「放課後、部室に来て早々だったな。そのあと目を離したとしたら、トイレに行ったところだったが……百合葉まさか……。これはおしおき――が必要だな……」



「トイレは僕も一緒に行ったでしょ……。『連れション』だとか言って」



 なんでこの子は美少女なのに、男子高校生みたいなノリが好きなんだとは思ったけれど。まあ、いつものセクハラとまではいかなかったからまあ良しとする。『おしおき』も、いつもなら胸を揉むような仕草でもしてそうなものだけれど、口先ばかりになってしまった。落ち着いているのならそれはそれでいいのかな……。



「百合葉じゃないなら、誰が私のオレを飲んだんだ?」



「『私のオレ』……」



 僕が言葉の矛盾に笑ってる間、蘭子は何も口出ししない咲姫と仄香を順に見やる。すると、身をすくめるように俯く仄香の姿が。咲姫は咲姫で、ニヘラァと意味深に微笑んでいる。



「わたしはぁ~、飲んでないかなぁ~。ねぇ? ほのちゃん?」



「う……っ。あたしは……ダークチョコレートの俺様だなんて知らんぞぉー?」



「名前が変わってるんだけど」



「怪しいな」



「そういえば仄香ちゃん……さっき紙パックで飲んでたヨウナ……」



「仄香が犯人か?」



「よよよ、ヨウナヨウナっ! ヨウナデスカ!? へいっ! ヨウナ用無し! 無し無し洋ナシ! 犯人言う無しっ! あたし知らんしっ! オレは知らんし!!」



「ラップで誤魔化すんじゃないよ……」



「口元にチョコレートオレが付いてるわよぉ?」



「えっ! マジマジマジシャンかよ!」



 急いで拭う仄香。しかし、その行動が自白するようなもので……。



「ちょっと君、署まで来てもらおうか……」



「ら、蘭たん!? ちょっ! 持ち上がってる!? 浮いてる浮いてる! やべー! ってどこ連れてくの!? 助けてーっ!」



 なんて、部室の外へと連行される仄香であった。あんなにノリノリな蘭子も初めてみたよ……。



 ギクシャクしているようで、やっぱり日常の合間に仲の良さもどこか見られる。この関係を崩したくはないなぁ。

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