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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部二章「百合葉の美少女落とし」
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第74話「蘭子、トイレの追撃」

「私の綺麗な顔にビンタとは……百合葉も中々やるな」



 蘭子のほっぺたには綺麗な紅葉模様。ひりひりと痛そうに、頬をさすっている。そう。僕はついに、美少女に手を上げてしまったのだった。だって、覗きが居たらさ……はたいちゃうじゃん……。僕とて、美少女を傷付けたくはないんだけど……。



 ここまでくるとセクハラ魔には我慢ならないのだ。



「汚い手でゴメンね。でも今回はやり過ぎだからね?」



「それは私自身も分かっているさ。だが、ウォシュレット攻めのセクハラなんぞ本題じゃあ無くてな」



「えっ……? じゃあ何が目的で……」



「これが目的だ」



 僕の言葉とともに、個室の奥へと僕を追いやる蘭子。彼女の右腕が壁に手を伸ばし檻となっている所為で、余計に逃げ場が無くなってしまった…………。



「今までのはお遊びだ。せっかく個室に二人きりなれたんだし……何をしようか……。なぁ? 百合葉」



 少し息をついて、「念願叶ったりだ」と付け足す。今までのがお遊びとかマジなの……? セクハラオンパレードで疲れるんだけど?



「アンタねぇ……。何、朝の再チャレンジでもしたくなったの? ワザワザこんな事しなくても、みんなの前だろうと別の場所だろうと、僕は拒まないのに」



 わざと余裕ぶってみる。すると、やはり蘭子は僕より優位に立ちたいようで、



「キスだけじゃないさ。もっとレズレズでディープなのを……」



 なんて、ニヤリと笑ってみせる。顔が綺麗なだけに、その姿はとても残念だ。……でも、ディープ? ふっ……。どうせそんな度胸も無いでしょうに。キスすら出来ないヘタレズが、朝から今の間でそんな覚悟が決まるものか。それなら、今までの仕返しにあおってやろうじゃないか。



「おっ……? 冗談だけじゃなく、本当にやっちゃいますー?」



「ああ、そうだとも」



「へぇー。蘭子ちゃんもようやく、『スキンシップ』が出来る様になったんですねー」



「何だと?」



 煽る僕の言葉にピクリと眉を動かす蘭子。攻守逆転のチャンスだ。



「蘭子ちゃんは気合い入れまくりみたいだけどぉーお? うちの学校だと『普通』にレズプレイあるらしいよぉ〜?」



「ほ、ほう。『普通』なのか。じゃあ何の問題も無いな」



「僕も誘われたことあるしぃ〜?」



「おい、それは何処の誰だ。ま、まさかやはり……さっき仄香と……? シたのか。なあ百合葉っ」



 ああ、やっぱり仄香との長いトイレを気にしてたのねこの子は。頭がいいようで鈍いようで、やっぱり鋭いときは鋭いから困る。



「さあ、どうでしょうねぇ~。少なくとも僕は汚いのは嫌だし、場所を選んで欲しいかなぁー?」



「馬鹿な……。ここなら誰にも邪魔されないという完璧なシチュエーションなのに……。こんなあっけなく拒絶されるだなんて……」



 どこが完璧なのだろうか? 安直なレズ発想だと思うのだけれど。そもそも拒絶という選択肢が残されているようで良かった。



「そもそもぉ〜? 学校で性行為って、僕的にはどうかと思うけどねー。品性が疑われるんじゃない?」



「うぐっ……」



「そもそもぉ〜? 僕はイヤらしい事が嫌いなんだなぁー」



「ぐぬぅ……。本当か、百合葉。本気でそんな事を言っているのか? こんな美人が迫っても、君は何もムラムラしないのか?」



「だって友だちじゃないの。迫ってくる蘭子は面白いかなぁとは思うけど」



「おも、しろい……? まさか、ここまでしてもレズジョークと言いたいのか……?」



「蘭子のレズネタもなかなか面白いよね。下品なのはどうかと思うけど、蘭子のお笑いスキルが向上したんじゃない? みんなも楽しそうだし、あの調子でよろしくー」



「お笑い……か。そうか、お笑いか……」



 しおれるように彼女はうつむく。その姿はどこか寂しげだけれども、今の僕はそんな落ちこむ姿に気付くわけにはいかないから、のん気な調子で両腕を上げて伸びをする。



「さあて、出ますかー」



 力の抜けきった彼女の腕をよけ、ドアの鍵を開けようとすると、後ろ手を引かれる。



「待て、待って。キ……キスだけでも……」



 その力は弱く。ここで優劣をはっきりさせるように、僕は見下すような余裕な表情で彼女を見据える。



「出来るの?」



「で、出来るさ」



 言うと蘭子は、振り向いた僕に唇を全開に飛び出させ顔を近づけてくる。しかし、朝同様に緊張で顔がこわばってカチカチだ。



「蘭子の綺麗な顔が、キス迫るブサイク童貞にしか見えないんだけど」



「あっ……、くぅっ……!」



 まあブサイク童貞なんて知らないけど。あえて使った言葉は、予想以上に彼女のプライドにダメージを与えられたようだ。



「ふふふ。僕からキスしてあげるよ」



 余裕たっぷりにそう言うと僕は、彼女の鼻に向けて唇を押し当てる。



「は、鼻……じゃないか……」



「友達如きに落ち着いてキスも出来ないのに、唇にしてもらえると思ったのぉ〜? 甘々ちゃんだなぁ~」



「百合葉ぁ……。私をどこまで……」



「今日は散々な目にあったし……ま、そのうちにね」

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