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昨今、お見合い事情

作者: 江古田三郎

今回は、18禁に抵触しないように仕上げました!

「では、そろそろ若い方だけで」

「そうですわね」


 そう言い残し、仲人の親戚と双方の母親が席を立った。自分の前には、お見合い相手だけ残されており、ここから先は、自分で場を繋がなければならない。


 あいての彼女・・・つまり自分は男なのだが、こういった席は始めてで何を話せばいいか事前にリサーチしたが、いざ本番となると言葉が出て来ない。女性と付き合った経験はそこそこあるが、着物正装の女性が相手となると予想通りにはいかないようだ。


「あのぉ・・・お仕事は?」


 箱入り娘とは聞いていたが、その声音は凜として、吐息にすら甘い匂いが混じっているかのような感じだった。自分の周りでは絶滅したと思っていたが、大和撫子は健在だったとは。


「き、勤務医をしています。公立病院ですけど。他に、先輩の実家に助っ人として応援なんかしています」

「まぁ・・・お医者様でしたか」


 初めて知ったとばかりに感嘆してくれるのは嬉しいが、釣書に記載したはずなので、そこら辺は彼女なりの優しさなのだろう。


「世間で言われる程、いい商売じゃありませんよ」

「ですが、『先生』と呼ばれて違和感のない御職業かと、私は思いますよ」


 そう言われると、そうかなと思える。『先生』と呼ばれて恥ずかしくないのは、教師と医師くらいだろうか。間違っても『議員』で『先生』とは呼ばれたくもないし、呼びたくもない。


「貴女も『先生』ではありませんか。子供を教え導くのは大変じゃないですか?」

「そこら辺は、慣れでしょうか。最初の頃は、アドバイスが飽和状態で混乱しましたけど」


 そう語って快活に笑う彼女に、自分は好感を持った。教職と聞いていたので、もっとお堅い女性かと思っていたが、そのおっとりした風情の通りに、細やかな人なのだと。


「そう言えば・・・失礼いたしました。釣書にも御職業を書かれていたのを忘れていました。何分、お見合いも初めての経験でして」

「いや、自分も情報の半分くらいは吹き飛んでいまして。その辺はお互い様です」


 こちらが照れ隠しに笑うと、相手もコロコロと笑ってくれた。お嬢様っぽいが、中身は気さくなようだ。


「確か・・・『肛門科』でしたか?」

「ええ、大学に入った頃は『婦人性病科』の志望でしたが」

「難しいと聞きましたけど?」

「他科の三倍くらい勉強したと思います。最初は女性器を見放題と思って志望したのですが、途中から考えが変わりまして」

「まぁ、どのように!」

「女性にとって本当に恥ずかしい場所はどこか? そう友人から指摘されまして」

「よい御友人をお持ちですね」

「まったくです。彼の助言がなければ、私は肛門の美学というモノを終生、理解しないままだったでしょう」


 熱く語る私に、彼女の目も熱を帯びてくる。仕事に打ち込む男の姿は、いつの時代も女を引きつける。


「楚々とした美女、美少女に。治療の一環として『合法的』に浣腸や肛門への触診、時に鼻を近付けて匂いまで嗅げるのですから。まさに天職と言えます!」

「あら!? 殿方が患者様だった場合はいかがなさるのです?」

「男ですか? そんなのパスです。自分は『女性肛門専門医』の資格、認定医ですので」

「女性と申しましても、若い方はともかく。老齢の方とかも診られるのでしょう」

「ババアの場合は、同輩や後輩にパスですね。その代わりと言っちゃあれですが、美人患者の肛門部位の写真とか融通しますけど」

「棲み分けですね」

「適材適所って奴ですよ」


 まったくそのとおりだと思う。何が悲しくて、おっさんやババアのケツを診なきゃならんのか。診療するなら美人、美少女の方がイイし、老い先短い連中なんぞ、そこらの雑草でも煎じて飲ませておけば十分だろうに。


「『踏ん切り』って言葉がありますが。貴女相手だと釈迦に説法かと思いますけど・・・」

「ええ、思い切って決心する事ですね」

「はい、それです。ですが元々は医学用語で・・・中国だったかな? 『尻奇譚養生訓』という書籍が原典で、『糞斬り』が語源なんです」

「初耳ですわ」

「医学部ですと、教養の一環で学ぶ奴です。で、糞を斬る、これはウ〇コを斬るという意味ではなく、糞=悪性の腫瘍という意味合いでして。一大決心して身体の悪い処を外科的に取り除くって事になります。この一大決心・・・当時は麻酔などもなく、手術技能も未熟でした。当然、激痛を伴うわけで、そういった厳しい手術を実行するからには、思い切った決心が必要かと・・・ここから現在の『踏ん切り』に転じたそうです」

「博識ですのね、感嘆いたしましたわ!」


 掴みは悪くない。同僚から、お見合いに際し、間違っても専門用語の羅列だけは控えろと助言されたが、ここまでは悪くない。


「自分も今日は『踏ん切り』で、お見合いに来ましたので」

「そこまで言われては、私としても前向きにお考えしたいですわ」


 どうやら効果は抜群のようだ。ここまでの上玉、嫁さんにすれば、毎日のように裏孔をチェックできる。時にブスの診療で心がささくれ立つ場合もあるが、彼女のア〇ルを診れば、そんな気分も晴れやかになれそうだ。


「私の方も相応の覚悟を決めて、お見合いに臨んでいますのよ」

「そう言って貰えると、自分としても嬉しいです」

「何しろ『グリセリン』を浣腸して来ましたもの」

「ほぉ・・・それは凄い!」


 そう来るとは・・・なかなか手強い女性だ。『グリセリン』甘味を持つ事から食品添加物としても用いられ、20世紀以降、学術的には『グリセロール』と呼ぶのが正しいが。彼女のように『グリセリン』の方が通りはいい。


「ちなみに・・・如何ほどの量を?」


 500mlなら初心者、1,000mlなら肛姦経験者と見ていいが、さて?


「お恥ずかしいですけど、5,000ml程を。プロを前にして自慢できる量ではございませんのよ」

「な、なんと・・・」


 素晴らしい量と言える。素人で、その量を飲み込めるのは滅多にいない。私が飼っているというか、弱味を握って隷属させているア〇ル奴隷の連中でも、精々が3,000mlぐらいだ。それなのに彼女は、それだけの量を直腸に入れつつ、汗一筋すら流していない。


 あの着物の下、その腹部でギュルギュルと異音を発していると想像するだけで興奮が収まらないではないか。


「私、受け持ちが現代国語ですけど、古典の方も少々。何でも昔のお見合いでは、その者の胆力と心意気を試す為、双方が浣腸の上でお見合いに臨んだとか」

「ああ・・・『姦肛腸』ですね」

「やはり御存知でしたか! 後に転じて『官公庁』になったアレです」


 これも中国が原典なのだが。(あの国とインドは、何でもアリだな) その昔、『科挙』という役人登用試験の制度が存在した。建前として、出自、家柄は関係無しに、政府高官を抜擢するという公務員試験を指す。


 この科挙制度、常人なら発狂するレベルと言われているが、試験の内容に浣腸した上で、ア〇ルストッパーを挿入して、バネ仕掛けで揺れ動く椅子に座したまま、長時間の試験を受けるらしい。


 何故、そのような真似をするかと言えば。政府高官ともなれば、皇帝陛下の至近に控え、時に下問や説明をしなければならない。まさかウ〇コしたいので退席しますとは、口が裂けても言えまい。そこで括約筋、膀胱などを鍛える為、このように浣腸と異物を挿入して試験に挑んだとか。


「しかし面白いですね。『姦肛腸』が役人全体を表す言葉として『官公庁』に転じ。そこから庶民に伝播して、お見合いの際の儀式として残っているとは」

「日本でも西国の方では見受けますけど、東国の方では利根川以西までの風習らしいですよ」

「やはり中国大陸との距離の問題でしょうか?」

「それもありますが、一説には・・・」


 小気味良い台詞がポンポンと跳ね返ってくる。やはり夫婦になるには、双方の知能が同等以上でないと難しいと改めて思い知らされた。これが無学で見た目だけの女なら、私は席を立っていただろう。


「スポーツとか、されていますか?」


 向こうから話しを振ってくれるのは正直助かる。下手な話題を振って、それが地雷だったら目も充てられない。


「学生時分は剣道をしておりました」

「まぁ・・・お強いのですね」

「いやいや、結局、初段止まりでした。全国大会にも無縁でして」

「お強い方が多いですから。警察官の方とかの独壇場と伺いましたけど」

「ええ、学生で全国区レベルの連中は、剣道を続ける場合は、大概は警察官になるようです。自分の同期にも何人かいました」

「でも、浣腸した上で、ああやって打ち合うなんて、私のような素人なら、すぐに漏らしてしまいます」

「アレも慣れでして。試合の前とかは食事を制限や。もしくは敢えて先に浣腸で綺麗にしておくなどの対策方法があるんですよ。『季刊・大剣道』とかには浣腸対策のテクニックやアイテムが結構、特集記事で載っていますから」

「研究熱心でないと勝ち抜けないわけですね!」

「そのとおりです」


 防具を着込み、竹刀を振るうわけだが。高校以上の公式大会では、浣腸の上で試合に臨むのが一般的だ。本来、剣道とは剣術から危ない部分を削ぎ落として現在の形に落ち着いた。それ以前、剣聖・上泉信綱が考案するまで、防具無し、木刀で斬り合っている。当然、打ち身、捻挫、打撲、擦過傷など日常茶飯事で、時に不虞にすらなったと聞く。


 時代が下り、防具、竹刀で怪我こそ減ったが、今度は道場剣法と揶揄されるようになる。そこで江戸時代中期、下総国の住人が双方浣腸の上で試合に臨む事を考案した。彼の言い分を現代語訳にすると。


『本身(真剣)で斬り合い、死に至れば、普通の人間なら糞尿垂れ流しになるのが道理である。故に、擬似的ではあるが、その垂れ流しを具現化する事によって、剣術の深奥に至れるのではないか』と。


 この本名不詳、その名すら伝わっていない人物こそ、近代剣術の嚆矢として、今も下総国・佐倉に祀られていると聞く。


 話しが脱線したが、試合開始前に浣腸の上で対峙し。強烈な打撃を喰らえば漏らす。また、睨み合いに終始しても、決壊すれば、そこで勝負有りになる。


「貴女も、何か武道とかを?」

「道は道でも、書道の方を嗜んでおります。学校では、書道部の顧問も」

「ほぉ・・・それは」


 感嘆の溜息を思わず漏らしてしまう。書道とは、およそ『道』と付く部類で、最も激しく、最も過酷だと私は思う。比較するのもアレだが、剣道よりも厳しい。


「私は素人ですが、何でも『常在戦場』がモットーで。書を描く時は、浣腸の上で臨むと聞きました」

「ええ、そのとおりです。書き終わったら、『運を付ける』に引っ掛けて、公開排泄をするのが習いですの。初心者や新入生ですと、会場の空気に飲まれてしまって、浣腸液で苦しいはずなのに、出すに出せない子も間々いまして」

「以前、テレビ中継で見ました。確か全国大会だったと思いますが」


 その娘は、テロップで拝見したが一年生だった。ショートヘアの可愛らしい娘さんで、畳敷きの紙面に書を描ききったまではよかったが。最後の段、袴をズリ下げて、桃尻を剥き出しにして排泄する処で止まってしまった。噴火口のように肛門が膨れ上がるのだが、それ以上は出て来ない。結局、時間切れになってしまい、芸術点から大きく減らされ、団体戦を敗退したわけだ。


「可愛い娘が参加しますと、会場の熱気も凄いですし。テレビの視聴率も鰻登りらしいですよ」

「でしょうな・・・。会場には深夜組まで出て、警官隊が出動したとか報道していましたし」

「私も高校時代に全国出場しましたの」

「それは、ぜひ拝見したかった」

「今度、その時の動画を一緒に見ませんこと?」

「ぜひ!」


 この素敵な女性が、どんな表情を浮かべて、全国放送で公開脱糞をしたのか想像するだけで、私の動悸は激しくなる。


「アナルストッパーで一ヶ月分溜め込んでから大会に出ましたの。おかげで、大会新記録の排泄量を記録し、私の学校は見事に優勝できましたわ。それが切っ掛けでしょうか、私が国語教師を志望したのも」

「貴女にとって忘れられない記録なわけだ」

「はい、今でも動画サイトでは人気動画として、あっちこっちに」


 そりゃそうだろう、私だって、そんなお宝動画、捨てるはずもない。今日、家に帰ったら探してみるか。


「読書とかお好きですか?」

「あまり文学とかは縁遠いですな。職業柄、専門書には目を通しますが・・・。ただ、結〇彩〇先生の著作は必ず目を通します」


 私の応えに気を良くしたか、彼女の顔がパッと一段笑顔になる。


「結〇彩〇先生の良さがわかるなんて、趣味も合いますわ」

「あの方こそ、肛門の美学を体現している方だと自分は思います」

「同感ですわ。あそこまで尻孔と人妻に執着なされる方は、凡百の徒にはわからないでしょうけど」

「結〇彩〇先生の著作、その登場人物になれるなら、自分としては本望です」

「ええ、わかります。あの方の登場人物ですと、肛虐医が結構登場しますから打って付けかもしれませんね」

「そういう貴女こそ、毒牙に掛かる女教師役として打って付けですよ」

「ホホホッ、私たち趣味も合いそうですね」

「本当に、こうやって同好の士がいると思えば、それだけで嬉しくなります」


 実に空気がいい。初めてのお見合いでここまで上手くいくとは。こうなったら次の段階に進むしかない。


「どうでしょうか、この後、一緒にお食事でも」

「まぁ、よろしいのですか?」

「軽い食事です、あまりフォーマルな奴ですと落ち着きませんし」

「それには同意いたしますけど・・・」

「ああ、ぜひ私に御馳走させてください。結婚云々はともかくとして、貴女と会えただけでも感謝しています、その御礼としてです」

「そこまで言われては、断れませんわ、ぜひ、お願いします」


 掴みは悪くない、これ以降、話しを広げていき、食事やお酒など楽しみつつ、正式な婚約者になれれば・・・。


「では、何を食べましょうか?」

「貴女の希望があれば、それで」

「う~ん、では、希望を一緒に言うのは、どうでしょうか?」

「ハハハッ、いいですよ」


 もう私は、この女性に惹かれてしまったのだろう、彼女が口にする事も何となくわかってしまった、まるで予知のように―――。


「「カレーライス!!」」


 どうやら、未来のパートナーが決まったようだ!!



価値観が一緒って、何て素晴らしい事か!

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