あとがき
※見たい方のみ 作者あいさつ&作品解説です
この物語もともとは逆境ゲームという、ゲームで決闘する要素のある冒険ファンタジーというコンセプトでつくりはじめました。
主人公がたまたま得たチート能力でムカつくやつをぶっとばしたりするファンタジー。表向きは逆境に強いって言うスキルしかないけど、実はもうひとつすごいのを持っている。それが一番はじめの形です。ある意味シンプルというか、これとは全くちがうものでした。
そのころの初期プロットはまだとってあって、「逆境に愛された男の異世界ゲーム」というタイトルでした。つまりさいしょはカード要素は本当はまったくありませんでした(笑)
剣と魔法をつかう決闘、そこになにか逆転要素があるというか、ゲームみたいなおもしろさのあるものを書けないかという風に考え、あれこれ考えました。
まず最初におもいうかんだのは「TIME」というわりとさいきんの映画のことです。あれは登場人物たちがお互いの寿命を奪い合うストーリーなのですが、そのなかで指相撲で敵の寿命をうばうみたいなシーンがありました(うろ覚えです)
なにかそういう、「一気に形成形勢を逆転できるゲームってどんなゲームがあるだろう」と考え、そこから競争だとかトランプみたいなまずシンプルなものからルールを組み立てようとしました。
次にいきついたのは「遊戯王」でした。と言ってもいきなりカードに行き着いたわけではなく、遊戯王最初期の、いろんな「ミニゲーム」でたたかう部分を最初は参考にできないかと考えていました。
そうして色々と調べているうちに、「もっとも逆転要素のあるゲームとは、カードゲームなのではないか」というひとつの仮定にたどりつくことができました。
じゃあなにか剣と魔法の決闘に、カード要素をいれられないかと思いつきます。
そうしてこの物語の基盤はどんどんできていき、そして同時に、最初の純粋なファンタジーとはちがう「これ」ができあがりました(笑)
次に考えたのは、「じゃあ異世界のカードゲームってどんなだろう?」ということでした。
別にいわゆるカード勝負でもよかったんですが、それだとファンタジー要素なさすぎんか? という感じもあり。小説での表現はできるのか? という悩みもあり、最終的にはこのとおり。時々結闘であるエンシェントをいれて、基本はカードゲームのお話にして、まれに呪いのカードとの「異世界カードゲーム」にしようという風になりました。はいすみません、そういう感じです本当に。
まず根底に「剣と魔法の決闘」というのがあったので、そこと組み合わせました。もう、つまり、エンシェントですね。自分もたたかうと(笑)
でも少しずつ設定を固めていくうちに、自分も戦ったらあぶねーだろという風に思いました。だって、カードってすごい物騒なものばっかあるんですよ。だって「サウザンドスピア」とか「デーモンの召喚」とか誰でもどこでも出せたら、大変なことになるじゃないですか(笑)もう生活どころじゃないですよ本当に(笑)
そういうところの折り合いで、じゃあオドの加護が守ってくれてるのはどうだろうとか、制限っていう考え方はどうだろうとか、できるだけ全体のバランスは抑えてフォッシャっていう特別な一族をだそうとか、いろんな広がり、そしてこの物語が生まれました。
また、呪いのカードという制限を越えた存在。ゼルクフギアとの死闘や最終バトルは、それこそさっきは茶化していったとんでもないカード同士のたたかいが、現実に、シリアスに起きてしまうわけです。そこがおもしろくなるんじゃないかとぼくは期待しました。
僕自身はデュエマをやっていて、遊戯王もあそんだことがありアニメも好きでした。好きなカードは「ボルメテウス・ホワイトドラゴン」「無双竜騎ボルバルザーク」「ブラックマジシャンガール」「エクゾディア」「マジックシリンダー」「死のマジックボックス」「ゲートガーディアン」などですね。その思想が作中にでてくるいろんなものにばっちり影響を与えています(笑)
ヴァンガードもアニメをみたりルールをおぼえてみたり、あとはシャドウバースも。MTGも絵のデザインにあこがれてましたね。
この物語をつくるうえで大会の動画をみてみたり、本当にいろんなことを勉強しましたね(笑)でもたのしかったです。
なかでもデュエマはやっていたので、自分のなかでも色んな経験をいかしてこの物語に反映させることができました。
まあある意味この物語って……「カードのなかの世界」ですよね。小さかったころ、カードのなかのモンスターさんたちは、いったいどんな世界で暮らして、どんな因縁で戦い合っているのだろうと。不思議におもっていました。
もうそれがそのままでてきたというか。まさかでも自分がそれを書くことになるとはぜんぜん思ってなかったですよね笑 さっき述べたとおりぜんぜん関係ないところからのスタートでしたし。
でもカードには、楽しいことだったり、悲しいことだったり、あるいは時にぶつかってしまったり、いろんな思い出や感情があります。
カードゲームであそび、キラキラに光るかっこいいカードを集める日々は、とても楽しかったようにおぼえています。だけど僕はあるとき友だちとデュエマをして、悲しい出来事にぶちあたります。
それは「環境」の差です。新しいカードたちに僕の古いデッキはまったく歯がたちませんでした。少年だったころの僕にとって自慢だった最高にかっこいい「ボルメテウス・ホワイトドラゴン」は、新しいカードの力に埋もれて強くないカードになってしまったのです。
カードゲームとはただのゲームではないなというのを僕はこの作品を書いていて思いました。「成長」なのです。カードゲームは、いろんなことを教えてくれたんです。
そういう強い思いから、だんだんとこの物語は「チート能力でムカつくやつをぶっとばすファンタジー」というコンセプトをはずれて、「カードゲームのファンタジー」となっていったんです。
もちろん作者として、どう舵をきろうかという部分はありました。
でも僕はそこでカードを書こう、カードを書ききろうと、決意しました。つまり、カードにかかわる苦悩や幸福を。ある意味、「チート能力で~」はもうほかの人に任しちゃおうと(笑)だってたくさんあるし(笑)
そこはやっぱりなんというかですね…「ここは<小説家になろう>なんだから、ファンタジーを書くべきじゃないのか」という迷いはありました。
だけどそうじゃねえなと。そうじゃねえだろと。お前ここで逃げたら、カードゲームに、カードゲーマーに、失礼じゃないのかと。本気でカードにぶつかってんのかと。本気でカードゲーマーが見て心をうごかせるもの作れんのかと。そういう強い気持ちがわいてきたんですね。
なのでこっちになりました。
もちろん、だから、心配はありましたし、今でもうーんどうだったのかなという気持ちが全くないといえばウソになりますよ。
だけどうーん……まあ、ほかのファンタジーとはまたすこし違う物語があるのも、まあいいのかなと。そこを楽しんでもらえなかったらもうそれは作者の力の問題で作品のせいじゃないなという部分もありますしね(笑)
じっさいやってみて、どうだったんだろうという部分もあれば、うまくやれたかなというところもあります。
ただ、とてもたのしかった。すごい冒険でした。自分にとって。すごい……挑戦。ある意味ほとんどこの作品についてわかってない「逆境」の状態から、こういう風に一区切りまで書ききることができたのは、よかったなと思います。
最後に、読んでくださったかた、コメントをくださった方、ポイントくださった方、ありがとうございました。特に、最初から最後まで信じてついてきてくださった方にはお礼を言いたいです。
自分だったらついていけんのかな……と思うことはあります。だからまず僕とこの作品を信じてくれたのが嬉しいし、結果ここまで読み終えてその期待にこたえられたなら、それは本当に嬉しいしすばらしいことです。
うーん…まぁ本当に自分は未熟、まだまだなんですが、この作品を読んでくれた方がフォッシャたちのことがちょっとでも好きになってくれたら光栄です。
カードゲーマーの方がもし読んでくれていて、すごく良かったと感じたなら、それはもう僕にとって誇りですよほんとに。
続編についてはまだなにも言えませんが、いちおう構想はあります。こんどはもっと話のスケールが大きくなって、より異世界カードゲームになる「冒険」になるんじゃないかなと。「実体化のカード」もどこにあって、それがどうあの世界を動かしていくのかわからないわけですから。でも根本であるエイトたちらしさ、逆境らしさは変わらないんじゃないかと。言えるのはそこまでですかね。
個人的にはまだまだ書きたいです。でも、やっぱり創作は人気がなければ難しい部分もありますから。それに続きがなくても、フォッシャとエイトのコンビならどんな困難も絶対になんとかしてくれるんじゃないかって僕は思います。そういう風に信じてます、作者として。
250ブクマとか、500ptとか、なんかすごい読者のみんなが気に入ってくれて、つづきを書くべきだとなったら、そのときはまた彼らと新しい冒険ができるんじゃないかと思います。
もちろん作者として宣伝とかがんばっていきたいという風にも思っています。
僕も、エイトたちがカードゲームをがんばるのと同じように、創作をがんばっていきたいです。いや彼らに負けないくらい。彼ら以上に。
なのでまた僕の作品をみかけたら、そのときも、ぜひ信じてついてきていただけたらと思います!
よろしくお願いします