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カードワールド ―異世界カードゲーム―  作者: 勇出あつ
王総御前試合編
166/170

#王総御前試合編 TURN END


 快晴の空。ひかりかがやく緑の芝生に腰をおろして、ただなんとなく地平線を見つめる。

 あれから俺たちは実体化のカードをもとめて旅に出た。その道中の、休憩の時間。


「いつもどおりボーっとしてるワヌね」


 フォッシャがどこからかやってきて、となりにすわる。


「これからどうするかなって考えてたんだ」


「やっぱりその腕のこととかワヌ? 別に気にすることないワヌ。まあオシャレといえばオシャレワヌよ」


 たしかにこの眠ってるカードのこともそうだ。これからの旅のひとつの目的でもある。でも、俺が考えているのはもっと全体的なことだ。


「そういうことじゃなくてな……」

 

 と言いつつも、フォッシャの言葉にくっと俺は笑ってしまう。


「カードのことが気になったら、夜も眠れない。それがカードゲーマーなんだよ」


「ハァ……エイト、逆に考えるワヌよ」


「……ぎゃくに?」


「フォッシャがいて、カードがあって……カードでできた友達もいて。これだけいれば、どんな逆境だってへっちゃらワヌ。なんも心配いらないワヌよ」


「……そうだな。どんな冒険になっても……」


 フォッシャの頭をでてやる。すると今度は彼女が俺の頭にのっかってきて、


「無敵のコンビなんだから、離れちゃだめだよ。フォッシャにはわかるワヌ。エイトはフォッシャとずっと一緒にいたいワヌね!」


「……ま、俺はカードできれば別にどこでもいいけどね」


「好きなだけすればいいワヌ」


 ふたりでなんとなくのんびりそんなことを話していると、ハイロとミジルが歩み寄って声をかけてきた。


「エイトさん、フォッシャちゃん。カードのミニ大会やりません?」


「またワヌか? 御前試合が終わったばっかりなのに」


「いやいや、ただ優勝した人に景品があったらいいなーと……」


「ハイロ、なんか変なこと考えてないワヌ?」


「え!? いやいや私はただ本当じゅんすいにたのしくみんなでカードでたのしめたらなってべべ別に変なこととかは……」


「ふーん?」


 ニヤニヤと笑みを浮かべて、ミジルはうしろからハイロの両頬をひっぱる。


「ひにふぁいふぁを……」とハイロ。


「じゃあフォッシャが優勝したら、エイトはずっと私の相棒だからね!」


「なんだよそれ……」


 3人の微笑ましいやり取りに巻き込まれて、つい俺も笑ってしまう。


 俺はフォッシャをよこに置いて立ち上がる。カードを手にとって、自分の胸にあてた。


 ――この世界に待ち受ける、どんな逆境にも負けないため。

 そして――だれかの笑顔を守るために。








 『逆境に愛された男の異世界カードゲーム』




  王総御前試合編 TURN END


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