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第二章・一節 懐かしい温もり



・・・状況を整理しよう。目の前の少女がいうにはどうやらここは日本のようだ。でも私がいた日本とは違い、魔法が使える国らしい。なるほどな・・・・・とはならない!どういうことだ!?

ここは私が住んでいた日本じゃないのか!?もしや私はタイムスリップでもしたというのか?

そんな非科学的なことがあり得るのか・・・。

既に私の頭は混乱していた。それもそうだ。今まで大概のことを理解してきたはずがいきなりなに一つ理解が追いつかないことを告げられたのだ。

そうだ、今の日付を聞けばいいじゃないか!私の電池式の時計は2020年の9月20日の14:20を指している。

電波がなくても動くはずだからこれで何年先に飛んだかがわかる。運がよければ元の時代に戻る手がかりも残っていて探すことができるはずだ。

私はそう考えるとすぐに彼女に日付を尋ねると彼女はポケットから懐中時計を取り出し時間を確認し私に伝えた。

「え~と、今日は2020年の9月20日で今の時刻は14時20分ですね。」

彼女の言葉に私は再び言葉を失った。どういうことだ?日付のズレがない?

ということはまさかタイムスリップなんてものじゃなく私は並行世界に転移してしまったとでもいうのか?

そんな馬鹿げた話があるわけない、そう言ってやりたいがこれしか考えつかない。

つまり、私がいた世界とは全く別物の世界ということだ。この世界で元の世界の手がかりなんてあるはずがない・・・

「あのー・・・大丈夫ですか?顔色が悪いようですけど・・・?」

私が考え込んでいると彼女は心配そうにこちらを見ていた。

「ああ、少し現実を受け止められなくてね・・・」

「・・・少しお茶でも飲みながら話しませんか?まずは落ち着いてゆっくり休みましょう?そうすれば少しは楽になりますよ。」

彼女は優しく微笑んで私に言った。

そういえば少し喉が乾いた。それに彼女の言う通り、まずは落ち着いて考えなければ。

「ありがとう。そうさせてもらうよ。」

私の返答を聞くと彼女は嬉しそうに笑った。




しかし彼女は見たところ水筒のようなものは持っていないしどうするのだろうか。私もいまはなにも持っていない。どうやらこの世界に飛ばされた時に持ち物は全て無くなってしまったらしい。

しかし、私の疑問はすぐに解消された。彼女が宙に手をかざすとなにもないところから2つのカップとティーポットが現れた。さすがは魔法世界。私の常識を簡単に飛び越えていく。

彼女はカップに暖かいお茶を注ぎ、「どうぞ」と私に差し出した。

「ありがとう。」

私はお礼を言ってカップを受け取った。一口飲むとそれは飲んだことのないような美味しいお茶だった。

こんなお茶私の世界にはなかった。

「美味しい・・・」


「お口にあったなら何よりです!このお茶は私の町で作られてるんです。気に入ってもらえて嬉しいです。」

彼女は嬉しそうにそう言った。


「そういえばまだ自己紹介をしてませんでしたね。」

彼女はカップのお茶を一口飲むとそう言った。

そういえばお互い出会ってからそれなりに時間が経っていると言うのに自己紹介すらしていなかった。

「私の名前は天咲-クレア(てんざき-くれあ)と言います。この近くの村に住んでいる見習いの魔法使いです。」


「私の名前は星海 楓。よろしくね、天咲さん。」

彼女は私の名前を聞くと少し不思議そうな顔で尋ねてきた。

「星海さん・・・他の国から来たと言っていましたが日本の方なんですか?」

しまった。そういえば他国から来たと言ってしまっていた。

「そ、そうなんだ。生まれは日本なんだけど親の都合で海外に居たんだ。」

我ながら苦しすぎる言い訳だった。

「なるほど、帰国子女というものですね。格好いいですね!」

・・・納得してくれた。なんて純粋な人なんだろう。騙すのは少し心が痛む。


それから、私たちはお茶を飲みながら、日が暮れるまでお互いのことや、他愛もないことを話していた。

気がつくとあたりは暗くなり始めていた。


「もう日が暮れますね。名残惜しいですが、そろそろお開きにしましょうか。」

天咲さんは少し悲しそうな表情でそう言った。そうか、もう終わりなのか。楽しい時間というのは本当に早くすぎてしまう。

「そうだね。今日はありがとう。助けてもらって、お茶をご馳走になって、色々教えてくれて。とても助かったし楽しかったよ。暗いから道に気をつけてね。」

「ありがとうございます。気をつけて家まで帰りますね。星海さんもお気を付けて。」

家か・・・そういえば考えていなかったが寝る場所などはどうするべきか。幸い外は生活ができないほど寒くはないので野宿でも問題はないだろうが。これから色々考えていかなければ・・・

「それじゃあ、またどこかで。」

私は適当に寝れそうな場所を探すために立ち上がり歩き始めた。

「はい、またどこかで・・・ってそっちは森の奥に繋がってるだけで何もありませんよ?」

私が進もうとすると天咲さんに止められてしまった。

「えっと・・・もしかして、住む場所がないんですか・・・?」

私は黙ってコクリと頷いた。

「ま、まあ外も寒くはないしなんとかなると思う。大丈夫だよ。」

私は彼女にそう言ったがどうやら今回は彼女は納得してくれないようだ。

「そんなの危ないです!夜は何があるかわからないんですから。」

そう言われてもどうしようもないのだ。なんせここは知らない土地で何も持っていない。こんな状態では安全な寝床など確保できるはずがない。

私が迷ってると彼女は私の方を向いて

「それじゃあ、今日は私の家に来てください。ここから近いですし、安全ですから。」

と言った。

「いやいや!もうこれ以上天咲さんに助けてもらうわけにはいかないよ。私は今何も返せるものもないし。私は大丈夫だから。」

「・・・でも宿はないんですよね?」

私は何も言えなかった。

「それに、星海さんが外で寝て万が一のことがあったら私悲しいです。私達、もう友達じゃないですか。だから、今日1日でも私の家に泊まってください。」

友達・・・卑怯だ。そんなこと言われてしまうと断れないじゃないか。自分のことを本当の意味で友達と呼んでもらえるのはいつぶりだろうか。その言葉の温もりを感じたのはいつぶりだろうか。

気がつくと私の目からは涙が溢れていた。

「ほ、星海さん!?どうしたんですか?私が友達って言ったのはそんなに嫌でしたか!?」

天咲さんは急に泣き出した私を見て慌てている。嫌なんかじゃない。むしろその逆だ。とても嬉しいのだ。

「大丈夫だよ。ただ、私のことを友達と言ってくれたのが嬉しかっただけ。そうだな、それじゃあ今日は天咲さんの家に泊まらせてもらうよ。」

私の言葉を聞くと彼女は満面の笑みでこちらを見て私の手をとって言った。

「私も星海さんと友達になれて嬉しいです。それじゃあ行きましょうか!」

彼女に手を引かれ、私たちは一緒に歩き出した。

何故だろう。こんな異世界に来て、不安や戸惑いがたくさんあるはずなのに。こんなにも心が温かいのは。

投稿が遅くなってしまい申し訳ございません!第二章です!第二章からは長くなるので何節かに分けて書きたいと思います。不定期になりますがこれからも投稿は続けて行きますので何卒よろしくお願いします!

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