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二十五話「私、神ですよ?」


現れた場所に戻るかと思えばそこは違った。俺が天界に最初にきた場所。真っ白の空間に、長方形のテーブルを挟み、向かい合うようにしてパイプ椅子に座る俺とスーツの人、基、神。


「まーこうなりますよね。さて、真也さん」


「おうさ」


「貴方のお陰で114514線日本支部は崩壊しました。おめでとうございます、といった方がいいですかね」


「別に壊した訳じゃなかったけどな。気になったんだが、あの天界にいた奴らってどうなるんだ」


「搬送はもう済ませているので、別の天界でそのまま過ごしてもらいますよ。ま、妹さんは消えてなくなりましたが」


「は?」


「彼女と貴方が行ったのはですね、世界の創造擬きなんですよ」


「美咲さんを救ったことで、病院が建てられた。京谷さんが生き永らえたことで、更に美咲さんの寿命は延び、あまつさえ、新たな命が芽吹く。芽吹いた光さんは明美さんのお父さんは救い、運命は変わったのです。本来は存在しないはずの光さんが、貴方と明美さんの繋がりを断ち切った。ともすれば、あの天界の出来事自体が無くなり、此処にいる貴方自体もまごうことなきイレギュラーとしか言えない」


「消えたって、まだ生きているんじゃ」


「いえね、こんな事例初めてでして。本当にわからないんですよ。彼女のことは。存在自体が消えたのか、それとも無数にある世界線の何処かにいるのか。わかるのは神のみぞ、ではなく明美さんのみぞ知るといった処です」


「あいつは、こうなることがわっかていて、いや、わかっていてこうするしかないなかった?」


「彼女の思惑的には成功したと言っていいでしょう、だからこそ言いましたよね、後悔するって」


後悔。本当に、自分の存在を消してでも俺の人生をやり直してくれた。そんな思い、確かに後悔ある。でも。だからこそ。


「もしかして、天界崩壊させるのが条件だったのか?」


「いやいや、そんな訳ないじゃないですか。今回はたまたま、いえ、故意的に条件が揃えらえた弊害とでもいえばいいですかね。とまぁ、どうだっていいですよ。どうなさいますか? 予定調和の通り、貴方が死なない、あの世界に戻してあげることもできますし、ファンタスティックでロマンティックな世界に転生させてあげますよ」


「そうだなぁ。じゃあ、こういう世界に転生させてくれ」


「ほう。てっきり明美さんの想いをくみ取って戻られると思いましたが」


「俺の目的は転生、だったからな。別にいいだろう?」


「はい。貴方がそうしたいのいうのであれば構いません。なんなりと」


「じゃ、よく聞けよ」


「糞みたいな上司や教師、金が命よりも重いことがあるっていう最悪な世界だ。優秀な元妹みたいな奴がいて、馬鹿みたいに優しい女子高生で元ソウルフレンドみたいな奴がいて、俺みたいなどうしようもない奴を好きになってくれた学友がいる。俺はそうだな、ぶっきらぼうな父親のもとに生まれて、そこそこ裕福な家庭だ。おっと、魔法とか剣技とかいらない。時代は平成日本くらいでいいだろ。それで、送られる場所が滅茶苦茶大事。自宅を出て、三つ目の曲がり角。少し進んで、二つ目の長い横断歩道。信号機を待っている処で頼む」


「ふ、ふはははは! なるほど、なるほど。確かに登場シーンは大切ですよね」


「ああ。ヒーローってのは遅れてやってくるんだよ。いけるか?」




「何を言っているいるんですか。私、神ですよ?」

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