四天王編4:プロローグ
ご無沙汰してます!
何とかクリスマスまでに間に合った?
やっと、やっとここまで……。
長かった。
あの地位も名誉も一瞬で失った災厄の日からここまで、本当に長かった……。
だが、やっとここまで戻ってこれた。
いや、安心するのはまだ早い。俺をここまで追い詰めたあいつに! 一矢でも報いなければ、俺はこの先を進めないだろう。
だから俺は誓う。
今、
俺が持てる、
全てを使い、
あいつに一泡吹かせてやる!
あの日、
全てを奪った、
あいつに…………。
それは、突然だった。
王国の学園に戻って二週間。
やっと四天王退治(狩り?)に姉上が飽き。
(終わりが近づくとやる気が無くなるのは、姉上のいつもの癖だ)
物凄く珍しく、平穏な日々が続いていた。
「はい! お茶が入りましたお姉様!」
なぜか教室に、勢いよくワゴンごとティーセットを持ってきて、嬉しそうに甲斐甲斐しく姉上の世話を焼くミナ。
「あらあら、ありがとう」
「ぢゅへへ! お姉様に『ありがとう』って言われちゃった! あら? 私としたことが、用意したティーカップに少し、ほんの少し汚れがありましたわ! これは私が責任を持って処分し、新しいカップで入れ直しますわ!」
そう言いながら、半ば強引に姉上からティーカップを奪い取り、なぜか懐にしまい込む。
うん?
入れたての紅茶が、まだ全部残ってたよね?
そんなの懐に入れたら……。
案の定、ミナの制服は内側から湯気が立ち上り、びちょびちょと白いブラウスが薄茶色に染まっていくのだが……。
「うふふ。お姉様が使ったカップ。お姉様が直接口をつけた……ぎゅふふ!」
そんなのカンケーねー!
っとばかりに、口元のヨダレを乱暴に拭い、新しいカップを準備し始めるミナに、
「あらあら大変! あなたの制服が汚れてしまいましたわ!」
優雅に立ち上がり、微笑を携えたままそっとミナの手を取る姉上。
「え? ええ! お姉様! そんな急に! 私、心の準備が……出来ました!」
軽く一人芝居をした後、ミナが静かに目を閉じた。
刹那。
「あらあら、ただの脱水ですわ!」
ミナの手をつかんだまま、姉上が軽く腕を横に振り抜いく。
「ひょ? ひょえぇぇぇぇぇぇぇ!」
そしてミナは、その場で高速回転を始め、カップは元よりブラウスに付いたシミさえも飛んでいった。
何だかんだでいつもの光景……。
これが永遠に続けばいいとか、甘い考えはない。
でも、正直。
「はあ。もう少し続いても、バチは当たらなかったんじゃないかな?」
姉上やヒルダその他大勢のいざこざとか、なんやかんやあったが、大きな混乱もなく(いつの間にか教室の壁が四方無くなるとか、なぜか校庭が全ての物質を吸い尽くすブラックホールになってたとか)。
とにかく、穏やかな放課後だったのだ。
彼女が来るまでは…………。
「た、たたたたたたた大変ですアルサス様! っと、その奥様と天女様!」
大半の生徒が帰った教室の扉を、バンッ! っと勢いよく開いて登場した、
華奢な肩は抱きしめたら折れてしまいそうで、舞い踊る髪がどこか儚げで、
でも、なぜかお腹だけ、
たぽんっ!
っとしているマリアーナだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
本当はもっと早く更新するつもりだったのですが・・・・・・。
新作書いてて遅れました!
新作出来たら、よろしくお願いします!




