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いつもブクマ、感想ありがとうございます!
あと、
今更ながら気づいたのですが、誤字脱字報告もありがとうございます!
『さあ、お次のアトラクションは…………』
僕が囚人のように両脇をかためられ扉をくぐると、陽気で軽快なメイビーの声が響く。
どうやら何らかの魔道具を使っているようだが、
それよりなにより、
『ドッキドキ! 死霊の館から脱出せよゲエームウゥゥゥゥ! ドンドンドンドンパフパフ!』
「うざっ! この状態でこのテンションうざっ!」
僕の心をさかなで、思わず素が出るほど感に触るハイテンションな声。
だがまだ我慢しよう。
なぜなら、
「あらあら、次は何をするのかしら?」
「おろおろ、魔力勝負なら負けぬぞ!」
なんだか姉上とヒルダがとても楽しそうだからだ。
そんな二人のキラキラした横目で見て、
「…………まあ、もう少しだけ付き合おうか」
そう思ってしまう優柔不断な僕だった…………。
メイビーの声に誘導されるまま、暗い通路を抜けて僕らが辿りつたのは、我が侯爵家に優るとも劣らない広い、けど、どこかさびれたエントランスだった。
『さて、この館にはたくさんの悪霊が住みついています。あなたたちはその悪霊を今から館に隠された、魔力を込めることで使用できるようになる剣や弓を使って倒して下さい! 皆さんの持ちポイントは一〇〇ポイント。悪霊に触られるとマイナス一〇ポイントとなります。つまり、一〇回触られたらゲームオーバーですので気を付けて下さい』
「ふうん。特殊な空間魔法で張った結界に誘って、僕らの攻撃力を削ぐ作戦か……」
上手く誘い込んだものだと感心する僕に、
「あらあら、直接殴っていけませんの?」
「おろおろ、魔法攻撃は不可かのう?」
やる気(殺る気?)満々の二人の質問に、
『それは可能ですが、悪霊たちは特殊な魔法コーティングをいているので、直接攻撃しても、攻撃魔法でもダメージはほぼ無いですよ?』
ほぼ無理だと答えるメイビー。
きっと彼女らの質問の意図を、音声だけで答えたメイビーは後悔するだろう。
何せ、
「あらあら、では例え無駄でも物理攻撃はしても良いと」
「おろおろ、では例え無駄でも魔法攻撃をしても良いということじゃな」
『試してみるのは良いですが、攻撃と見なされない接触は、減点になっちゃいますよ?』
そんなことを呟く二人に、ある意味免罪符を与えてしまったのだら………。
『さ、さあ、これよりゲーム開始です! くれぐれも、くれぐれも建物をこれ以上壊さないよう、よろしくお願いします!』
どこか焦ったような、でも陽気なメイビーのアナウンスと共に、ビーっと開始の合図が鳴り、辺りが急に暗くなる。
刹那。
「ぐらぁぁぁぁ! お化けだぞ!」
「呪い殺しちゃうぞ!」
突然四方から現れた悪霊たち。
どれもこれも世界の恨み辛みを凝縮させたような、極悪な顔をしているのだが、
なぜだろう?
敵と対峙した時の、からみつく殺気や敵意が感じられない。
もしかして、開始直後の僕らに悪霊を倒せる武器は無いから、余裕を見せているのか?
いや、これはもしかして、
僕は悪霊とは、人の恐怖を糧にするのだと思い出した。
きっとこれは、僕たちに恐怖を与え、点滅する『こっち』っと点滅する看板の方へとすすめということだろう。
アナウンス通りに恐怖を覚えた者は、この状況にパニくり逃げ出した先で武器を手に入れるのだろう。
武器を手にした者は反撃の狼煙を上げようと、絶望からわずかな希望を見い出すのだろう………。
そこに現れる圧倒的な数の強力な悪霊が、最高級の絶望を味わうつもりじゃないだろうか?
希望から絶望へと向かう、最高級の恐怖を得ようとしているだろう。
でも、今回の参加者は他の誰でもない、僕らだったのだ!
毎度毎度、当然のことだと思うが、
「あらあら、例えゲームでも、私に触っていいのは、愛して愛して、愛して止まない、あるだけですわ! えい!」
可愛い声を上げて、でも実際は、鉄扇で霊体を叩き落としていく姉上と、
「おろおろ? わっちの魔法攻撃、効くではないか」
メイビーが整えたと思われる、この空間限定魔法の上限を、いとも簡単に越え悪霊を滅していくヒルダの魔力。
これにはさすがのメイビーも、
『ええええええええ! なんでいきなり攻撃出来るの! 倒せるの! 私ちゃんと人間の平均魔力をさらに超える術式でこの部屋作りましたよ!!!!!!』
彼女の悲痛な叫びは物凄く分かる。
でも、
だからと言って、
「姉上とヒルダって、どう考えても人間の平均値を、大幅に上回ってるんだよね?」
そう呟いた僕は、
「ミナ危ない! はあっ! あれ? この『聖者の槍』普通に効くんだけど?」
「新章第二節『死者への鎮魂歌』ぱえぇぇぇぇぇぇ! 何やってんの! 私が頑張ってんだから、さっさと倒しなさいよ!」
「わ、分かった!」
レベルが上がったからなのか?
この状況に冷静に対応するセツナとミナと、
「あはは! これって斬っちゃても良いんですよね?」
霊体である悪霊を、笑いながら切り刻む、元勇者のジオルド。
さらに極めつけは、純白のローブに身を包みながらも、
「ゴクゴクゴク! ぷはあぁぁぁぁ! 私の詩を聞きなさい!」
魔力回復薬の飲みすぎで、ローブから下腹が突き出たマリアーナが口にした聖歌。
このアトラクションでのファーストアタックは、誰も逃げず、わりかし静かに終わったのだった。
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