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ご迷惑おかけしました!
いや、もう、パソコンがポンコツかと思ったら、作者がポンコツでした!
パスワードが解除されなかった理由は・・・・・・恥ずかしくて言えませんので、
そのまま本編へどうぞ!
「ふはははは! よく来たな人間よ! 我がこの階を支配する知識の守護者。スフィンクスのラーダである!」
姉上が開いた扉の先は、王城の広間と同じぐらいだだっ広い空間の奥、一段高い場所から僕らを見下ろすラーダと、名乗る顔と身体はライオンシッポはサソリの、どこからどう見ても魔獣マンティコアだった。
スフィンクスとマンティコア。
まあ、いろんな文献を見ると、二つとも合成獣であることに変わりはないの……かな?
でも、
「S級だけど魔獣であるマンティコアが、神の守護獣であるスフィンクスを語るのは、結構無理があるんじゃないか?」
囁く僕の言葉に彼は、
「ぐっ! だって仕方ないじゃん! ここで一番似てるのが俺だからって、頼まれただけじゃん!」
なんて、ごつい爪で床にのの字を描きながら愚痴をこぼすマンティコア。
どうやらその辺は、こっちが合わせなくてはいけないらしい。
なので僕は、これ以上面倒臭くならないよう、
「おう! 知識の守護者であるあなたが、どうしてここに?」
話を合わせた。
「うほ! …………ありがとう」
僕の意図を酌んで、ラーダがこっそり呟き、咳払いをして仕切り直す。
「それではお前たちに問題だ! 朝には四本足、昼には二本足、夕方には三本足の生き物は何か? 答えられねば、食ってしまうぞ!」
用意してあったであろう問題を口にして、威嚇のために大口を上げるラーダ。
学園に通っている僕らには、特に難しいものではない良くある問題だ。
簡単すぎて、何かの引っかけで、難癖付けて襲うつもりか?
なんて思いもしたが、
難癖つきそうなら、無理やり押し通ればいいだけのこと。
そう思った僕が口を開くより早く、
「あらあら、その答えは知っていますわ!」
この場で、誰よりも優雅に、軽やかに、僕の一歩前に歩み出た姉上が、
「その問いの答えは、アルですわ!」
なんとも頓珍漢な事を言い放ったのだった!
「その問いの答えは、アルですわ!」
呆然としているラーダに、聞こえなかったと思ったのか?
二回目を言い放つ姉上に、
「え? ええええええええ!? ホントにそれでいいの!?」
困惑を隠せないラーダは、
「この問題の答えって、人間なら誰でも知ってるって聞いてたぞ?」
そんな呟きを漏らしつつも、
「人間。それが答えか? 本当にそれでいいのか? なんか、どっか違うだろ? な? な? それはもうちょっと広い範囲で……」
ラーダの懇願に近い最終確認に、
「はい! 間違いありませんわ!」
自信満々、極上の笑みを浮かべて答える姉上。
そんな姉上に思わず、
「あの……姉上? この問題の答え、『人間』って知ってて言ってますよね? なんでそこで僕なんですか?」
こっそりそんな言葉を投げかけた。
だが姉上の答えは、
「あらあらアル。この答えは、全然! 全然間違っていませんわ! だってアルは『朝は目覚めた私を逃がさないよう両手両足、四肢を使って囲う』アルで、昼は『日はまだ高いけど、我慢できないんだ姉上!』っと、タチバッ…………ごほんごほん。そう言って私を求めるアルで、夜は『僕の三本目の足が暴走…………』」
「うん。何言ってんの姉上? 妄想が暴走してますよ? ほら! 緩んだ顔を引き締めて! ヨダレ拭いて!」
じゅるるっと音を立てて口を拭う姉上に、誰もが呆然とした。
知らない間に姉上の妄想が暴走していたのだ。
そんな姉上を見るのも見せるのも物凄く辛くて、彼らからの視線を遮る位置に立つと、
「でゅへへへへへ! アルってば私の名誉を守ろうとしてくれるのですね?」
背後から姉上に抱きつかれた!
もちろん。
姉上の羽交い絞めはSS級で、僕が|勇者の力《体バキバキになるの覚悟で》を使っても、引きはがせるかどうかだ。
別に姉上から香る匂いが良い匂いとか、姉上に押しつけられてる胸が柔らかいとか、そんな理由で力が入らないとか、そんなことは全然! 全然違うんだからね!
なんて、少々違う方向に意識を持って行かれそうになった僕の耳朶に、
「え? ええ!? 良いの? それで本当にいいの?」
ラーダが肉球。
いや前足を耳に付けて呟く。
恐らく僕らの通信魔道具と同じものを、耳にしていたのだろう。
もしかしたら正解を言っても、難癖付けて戦うことになるだろうと思ってたラーダは、
「……はい。はい…………まあ、我は雇われた身であるから、ホントに良いのか?」
独り言のように、でも不満を讃えた瞳で、
「うむ! 正解だ! さっさと先に進むがいい!」
やや投げやりに前足を宙にかざし、彼の背後にある扉を開けるラーダ。
次のアトラクションへと続く扉が開いた時。
誰もが期待に胸膨らませ、感慨にひたる瞬間。
その一瞬の隙をついて、
「あ、いや、もうアトラクションは……」
辞退しようとする動きを見せた僕を、
「さっアル、行きましょう!」
「そうじゃの。次のアトラクションは魔法を使うのがいいのう!」
右から姉上。
左からヒルダが両肩をつかんで遮った。
視線を左右に動かし確認した。
どうやら彼女たちは、このアトラクションを楽しむつもりなのだと。
最後までお読みいただきありがとうございます!
いつものように四天王の罠に、嬉々としてはまっていく勇者一行。
まあ、きっと、いつものようにグダグダになるんでしょうね?
そんなグダグダを期待しているあなた!
もっとグダグダになるよう、ブクマ、感想、評価をお願いします。
作者が嬉しくてグダグダになります!




