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よろしくお願いします!
そんなこんなで、まあなんとか姉上とヒルダの波状攻撃を止め、塔の入口まで来た僕たちの前に現れたのは、
「ふへへへっ! よ、ようこそふへっ! 私がこの『どきっ❤ 謎だらけの知識の塔』の支配人にしてリッチのメイビーです! だ、だだだだだだ大丈夫です! 例えい客様のおいたで一〇層あったアトラクションが半分に減ったとしても、ぜ、ぜぜぜぜぜぜぜ全然大丈夫ですから!」
ちょっと煤呆けて疲れた表情の、いまだに身の丈を超える白旗を抱える、多分、招待状を送りつけた四天王の一人。
姉上の影の情報によれば、死者の軍勢を統べる不死の王者だ。
人類の寿命を遥かに超え、人間の数十倍以上生きて得た知識で、物理的にはもちろん。
魔法攻撃もほとんど効かない強者。
それがリッチーのはずのなのだが?
僕らの目前には、
「ふへへへ! それではご案内しますぅぅぅぅ! あ! 足元気を付けて下さい! ささ! こらへ!」
葵い髪を振り回し、真っ白というか真っ青な肌をした美少女と言っても過言ではない少女のちぢこまる、
なんだか物凄く腰の低い不死の王者の姿があった。
「さあ! ようこそいらっしゃいました! これよりあなた様たちは、とってもスリリングで、とっても、とっても楽しいアトラクションに参加してもらいます! 準備はいいですか?」
導かれるまま塔に入った僕たちに、気を取り直し、何事も無かったかのように突然ハイテンションで耳に手を当て問い掛けるメイビー。
正直、ここまでわりと強行軍で来た僕らに、そのテンションは物凄くウザくて……。
「あらあら、アトラクションって、破壊しつくても良いのかしら?」
「待つのじゃ姉上殿。わっちが消し炭まで焼き尽くすので、それまで待つのじゃ!」
「えええええ!? なんでこの壊すの前提!? ままままま待って下さい! これから楽しい楽しい…………ぐえっ!」
慌てたメイビーだが、
「あらあら? これでも私は愛して愛して止まない。アルとのとの結婚式会場を押さえて、ドレスを決めて、アルのとてもカッコ良くて、凛々しくて…………いえ、アルならばどんな服でも最高でしょうけど……。そんな服を選ばねばなりませんの。それなので、さっさと逝ってくれません?」
微笑む姉上に、片手で首をつかまれ足を地から離されていた。
一般的な常識として、触るだけで生命力を奪うと言われるリッチーの喉を鷲づかみし、口角を吊り上げるのは、まったく一般的じゃないと思う。
そんな姉上の瞳がまったく笑ってないのは、ご愛嬌と言いたい。
しかも!
「あらあら? ちょっと肌がピリピリしますわね?」
どうやら姉上にとってリッチーのエナジードレインは、その程度でしかないらしい。
なので僕は、
「あ、姉上? 泡吹いてますよ? 不死の頂点のリッチーさん泡ふいてますから! 瀕死だから!」
慌ててリッチーを姉上の手から叩き落とす。
(もちろん姉上の手ではなく、リッチーの顔を張り倒してだが、なにか?)。
そんな僕に、
「あらあら? 私としては、コレが活動を停止してから生命の神秘について隅々まで解剖したいのですが? それで! 私とアルのラブラブで、ちゅっちゅっな結婚生活が永遠に続くように……」
「怖いよ! 色々怖いよ! 解剖は止めてあげて! 彼女もう瀕死だから! 死者のはずなのに口から泡吹いてるから!」
「あらあら、そうですの? てっきりリッチーって、首を刎ねても肉体を切り刻んでも死なないと思ってましたのに」
僕の必死な言葉に、獲物を逃がした肉食獣のように、地面に転がり必死に大気中の魔力をかき集める彼女を見下ろした。
「ぐはっ! ここ数百年で、一番死に近かった瞬間でした!」
美少女と紹介したが、口から鼻から謎の(と言っておこう)液体を垂れ流す残念な微笑女メイビー。
いやいや、何で僕が敵である四天王のフォーローをしなくちゃいけないの?
そう思うが、
「で、ではアトラクションをは、始めます! 皆さまこちらに一列にお並び下さい!」
姉上の暴挙に、それでも必死に対応する彼女を、思わず応援してしまう僕がいたのだ。
今更ながらに気が付いたのですが・・・・・・。
これって、『にっ!』じゃなくて、いちのほうで更新してました!
まあ・・・・・・・・・・・・。
酔った勢いってことで!




