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エピローグ

エピローグ。

投稿したとばっかり思ってました!


 戦闘の終わった夕暮れ時。


「ほんと、すみませんでした~~~~~~~~~あ!」

「ぽえぇぇぇぇ!」


 僕らは町の中央で、今回の首謀者である魔王軍四天王の一人、デグルドに土下座をされていた。

 まあ、奇跡的に町の人や騎士も傭兵も、軽症者しかいなかったから人的被害はほぼなかったと言えるし、残った魔物たちは荒らされた町の復興を手伝ってくれてるし、


「ほんと、マジ『魔王様を瞬殺したなんて嘘だよ! 本当は数万の軍で包囲殲滅したか、卑怯な手使ったんだよ!』なんて、したり顔でのたまわって、すみませんでしたぁぁぁぁぁ!」

「ぽぽぽえぇぇぇぇぇぇ!」


 この通り、涙も鼻水も垂れ流しながら反省しているデグルド。


「ぽえぇぇぇぇ!」


 何やら怪しい歌声? は無視の方向で!


 とにかく、町の人の心情はともかくこちらに被害はほぼ皆無。

 むしろ僕らにしたら、セツナとミナ(騒がしいだけの奴ら)がレベルアップしてくれたので、感謝しても良いぐらいだ。


 なので、もう悪さしないと約束させ(魔王にも良く言い聞かせてもらい)帰って頂こうと思っていたのだが、


「あらあら? これだけの事をして、土下座ぐらいで済むと思ってますの?」


 それはもうにこやかに、秋の晴れ空よりも清々しい姉上の笑み。


 ああ。姉上はまだ相当怒ってるようだ。


 きっと、町民たちの心の痛みを感じているのだ!…………っと思いたいのだが、


「私のお気に入りのオモチャ(ミナ)で、好き勝手に遊んだ罪は例え三〇回死んでも償いきれませんわ!」


 うん。やはりそっちの方でゲキオコみたいだ。


 そんな姉上を怒らせた張本人(ミナ)の一人はというと、


「ぽえぇぇぇ! お姉様? もうこれぐらいで良いですよね? 私、そろそろ喉がイガイガしてき…………」


「あらあらそうですか……それなら仕方ありませんわね。新しいオモ…………」


「いえいえ違いますよ! ほんの、ほんのちょっと疲れただけで、これからも歌います!歌い続けますよ! もう喉が枯れても歌い続けますから! 新章第五節『癒しのソナタ』ぽえぇっぇぇ!」


 新たな才能を開花させてしまったがために、疲労困憊(魔力回復薬の飲みすぎ?)で動けないマリアーナの代わりに癒しの歌を歌いまくっていた。


 さすがにマリアーナの治癒魔法には敵わないが、彼女の歌声は…………。


「ぽえぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 物凄く不快なのだが、聞いた者たちの傷や疲労を和らげた。


 なんとも混沌(カオス)な状況だ。


「あらあら、とにかく、私は怒っています! が、あなたの態度次第では…………」


 いきなり柔和な笑みを浮かべ、扇子で隠してそっとデグルドに何かを囁く。


「はい! そんなもん、すぐに差し上げますし、すぐに実施します!」


 拘束されたままのデグルドが、背筋を伸ばしたかと思うと再び地面にひれ伏した。


「あらあら、はい。それは約束ですよ? あなたを信頼して、あんな制約魔法や、こんな呪いの魔法なんてしませんけど、もし約束を破ったら……」


 怖い、怖い、怖い。


 姉上がデグルドに向ける笑みは、春の木漏れ日を思わせるのに、なぜかこの場を凍らせた。

 落ち着いてみれば、エルフである彼女は物凄く整った顔とプロポーションをしているのだが。


「も、もちろんです! 服従の証に犬のように腹でも見せましょうか? あれ? 猫はお尻を見せるんでしたっけ?」


 物凄く残念な格好をして、全力で必死に姉上のご機嫌を取っていた。


「いやいやホント、姉上? 何を約束させたのですか?」


 そんな僕に、姉上はただただ微笑を浮かべ、


「あらあら内緒ですわ。女は秘密の四つや五つあった方が、魅力的らしいので」

「うん? 一つ二つじゃないんですか? 多すぎませんか?」


「はい! 秘密は沢山あった方が、魅力が増すのですわ!」


 訳の分からない言い分だ。

 でもまあ、さっさと帰り支度をしたいので、そこはスルーしよう。

 そう思い「じゃあさっさっと帰りましょう」っと口を開きかけた僕の耳朶に、


「シルヴァーナお嬢様。このような書状が王国の各地にばら撒かれておりました」


 姉上の影が、いつのにか姉上の背後に立ち、そっと一枚の紙を手渡した。

 それを指先でつまみ内容を確認した姉上は、物凄く良い笑みを浮かべた。


 うん。物凄く悪い予感しかしない!


 姉上を見ないふりをし、さっさと帰り支度を始めようと身をひるがえした僕に、


「あらあらアル。四天王の一人が、私たちに招待状をくれたわ。これはぜひ行かなくてはね?」


 いつの間にか僕の隣にいた姉上が、ひらりとその紙を僕の目前で開いた。

 その内容は、


『勇者アルサス様、及びその一行様(特に破壊の女神様)へ。


 魔王軍四天王である私メイビーは、勇者様に刃向う気はございません。

 なので、あなた様に下った後、あんなことやこんなこと、特に、

「奴隷の証を刻んでやる!」とか言って、ジュッて焼けた鉄をお尻に押し付けるのは止めて下さい。

 それと「俺は優しいから、家畜でも散歩に連れてってやる。はあ? 家畜の分際で服をくりつもりか? 全裸に決まってるだろ? さっさとこの首輪を付けろ! さあ今日は大通りを散歩してやる!」とかの精神的、肉体的な拷問は止めて下さい。

 お願いします。


 服従の証として、皆様に楽しんでもらうためのアトラクションを、北の大地に設置しました。

 ぜひぜひ楽しんでいただき見事ゴールされ満足されたら、私を下僕の末席の末席にお加えください。

 ご来場、心よりお待ちしています!

                             魔王軍四天王メイビー』


 うん。

 どうやらへりくだった内容の挑戦状のようだ。

 それは当然のように、


「あらあら、アトラクションですの? 楽しみですわ!」

「おろおろ、ずいぶん手の込んだお誘いじゃの!」


 キラキラと目を輝かせる、姉上とヒルダ。

 どうやら王都に帰るのは、もう少し先になりそうだ。


                                     ≪了≫

最後までお読みいただきありがとうございます!

台風怖いですね。

みなさん用心してください!


作者はこれよりまた三人目の四天王に向かい、休眠期(執筆活動)に入ります。

別に休んでるとか、スマホゲームとかやってるわけじゃありませんので、休眠期でも応援よろしくお願いします!


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