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ブクマ、感想ありがとうございます!
四天王編二部もクライマックスです!
最後まで楽しんでいただけたら幸いです!
「よく頑張った二人とも!」
そう言って西門に着いた僕らを迎えたのは、数百に上る行動不能な魔物と、
「いやいや、いつものお前ならもっと早く救援に来ただろ?」
「本当よ! いつもより三分は遅かったわ!」
うん。なんか労いの言葉がもったいないと思える態度で出迎える、動けなくなった山盛りの魔物の前で、仲良くへたり込んでるセツナとミナだった。
確かに、ここには最速で来れば一分弱ってとこだったが、僕には確認したいことがあったのだ!
彼らの地力を見極めるのが二割に、
(ちょっといい話だからって姉上を侮辱したと、姉上を裏切ったのを、チャラに出来ると思うなよ!)
との思いが八割だった。
まあ、今回は及第点だと思ったから、しぶしぶすんなりここに来たのだが、
「俺の神速をも超える槍術があったから良かったものの、これからはもっと早く来い!」
援軍が来たと同時に余裕で偉ぶるセツナと、
一〇数分前には人類を裏切り、数分前には泣きじゃくっていたミナは、
「そうよそうよ! 神の歌声を持つこの私が、アレの代わりにこの場を支えたのよ! 地面に額をこすり付けて感謝しなさい!」
完全に調子ぶっこいていた!
なので僕は、もう少し二人に頑張ってもらおうと思う。
「…………ヒルダそこの二人。前方五〇メートルの魔物の群れに転移して、僕らはそのまま帰ろうか?」
「はい喜んで!」
淡々と言い放つ僕の意見に、速攻でヒルダが支持してくれた。
どうやら思うことは一緒らしい。
「え? うそ! そんなの、今度こそマジで死ぬって!」
「だいじょ…………ばない! マズイって! 俺もう体力が…………」
二人ともギリギリの戦闘で、さぞかし腕を上げることだろ。
まあ死なない程度にもう少し頑張ってもらおうか。
大丈夫!
|南門≪近く≫にはマリアーナがいるから、腕の四、五本無くなってもすぐ生やせるだろう。
僕はヒルダが二人を移転したのを見て、彼女たちの悲鳴をキッカリ三分聞いた後で戻した。
「ぷはぁぁぁ! 死ぬかと思った!」
「いや死んだ! 俺は普通に三回死んだぞ!」
戻された場所でくずおれる二人に、
「おろおろ、それで、助けに来たわっちらに言う言葉はなにかのう?」
僕の代わりにヒルダが、ニヤニヤしながら代弁した。
「「はい! 助けに来てくれて、ありがとうございます!」」
二人とも少しは素直になったようだ。
「それじゃ、さっさと終わりにしようか!」
その言葉を聞き、僕は魔物たちが姉上対策で掲げるモノ質に向かい、
「天よ地よ! そこに生きとし生ける者よ! 我に力を! 『ブレイブアロー!』」
なぜか得意げに僕の下着を掲げる魔物に、勇者しか使えない奥義の一つを繰り出す。
両腕を犠牲にし、解き放った一抱えもある雷属性の高密度の魔力は、パキパキと小気味いい音を立て、魔物が僕のパンツにの周りに張り巡らした防御呪文を蹴散らした。
「なに!? 絶対防御の呪文を何重にも掛けてあるのに、見る間に崩れて…………くそっ! こうなれば!」
驚愕の声を上げた魔王軍四天王のデグルドは、必死の形相で僕のパンツを庇う様に立ちはだかる。
これって、シュールって言葉で間に合ってますか?
思わずそう問いかけてしまう光景だ。
そんな、早く黒歴史として記憶の奥底に埋めたい光景なのに、さらにさらに最後の最後で立ちふさがったのは、
「あらあら? 例え最愛なる愛弟でも、私の大切なモノを奪わせませんわ!」
僕の身内である、姉上だった。
「ふははは! やはりこれがお前の弱点なのか!」
姉上の参戦に、勝ち誇るデグルド、
だったのだが………………。
「姉上、僕、その下着、一度も使ってないですけど?」
僕の一言の独白に、
「あらあらそうなの? じゃ、これはただの布きれね。新しいのを買えばいい事ですわ」
あっさりと、ソレに対して興味を失う姉上。
それをもっと早く言えばよかったのでは?
そう思う人もいるだろう。
でも、|姉上の思惑《きっと多分、それほど酷くないエンディング》を見てみたいと思ってしまったのだ。
まあセツナとミナが、予想以上に活躍したし、僕のそれほど大切ではない。
下着に未練など無い。
なので、
ぐしゃ!
油断しきったデグルドに、僕の放った奥義が炸裂したわけで、
「ぬぎょぉぉぉぉぉぉぉ!」
彼女は天に煌めく星となったのであった………………………………。
だけなら良かったのだが、
「ぐはっ! さすが勇者の一撃、この我にここまで傷を……って、あれ?」
星になった後、自然の摂理で地面に激突したデグルドを待っていたのは、
「あらあら? あなた。アルのために私が迷いに迷い、王都はおろか、隣国で有名なデザイナーを呼び寄せ、三日三晩寝ないで選び抜いた、心を込めて贈った誕生日プレゼントを破かせておいて、それだけで済むと思ってますの?」
淑女の笑みを張り付けた、でも、まったく目が笑ってない姉上だった。
「うん? あれ? もう我、勇者の一撃で、指先すら動けない状況なんですけど? それでも、さらに追い打ちをかけるのが人間か!」
魔物にしては人間の心理を突いた、良い台詞だ。
でも、姉上には、
「あらあら? 私って、人間である前に、アルの姉ですの。ですから…………」
「ちょ!? ちょちょちょ、ちょま! ちょっとまてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
戦いが終わった町はずれの一角で、彼女の悲鳴だけが響き渡った。
その後彼女は、何が起こったのか多くを語らなかったが、たった一言。
「わ、我は、|手を出してはいけないモノ《アンタッチャブル》に手を出した大バカ者だ!」
そう言って、震えながら口を閉ざしたのだった。
お読みいただきありがとうございます!
いつものように、クライマックスが軽いです。
これぞ姉上クオリティー!
最後まで応援よろしくお願いします!




