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よろしくお願いします。

 そのころ、一人で西門を守っているミナは。


「ぎょ! ごえぇぇぇぇぇ! ぼえ! 話がちがうぅぅぅぅぅ! ぼえ! ぼえぇぇぇぇぇ!」


 半泣きで、なんとか魔物の侵入を防ぎながらも、


「私頑張ったよね? もう逃げても良いよね? って! 逃げ場がなじゃない!」


 確実に追い詰められていた。

 

 どうやら彼女は、追いつめられ過ぎて見えないらしい。

 ミナが逃げる先々で、姉上が昨日仕掛けた『落ちたら這い上がれない、底の見えない落とし穴』に落ち、彼女に致命傷を与えるはずだった魔物が二桁単位で消えてるという事実に。

 

 まあ、今は取り乱しているが、ああ見えてミナはバカだが一国の王子を落とすぐらい、自分の才能を把握している。

 自分が他者(保身のため姉上やヒルダは除かしてもらう)よりも頭一つ分抜けて可愛い事も、

 その美貌をどうすれば異性に好かれるかってことも。

 もちろんそれ以外の(歌姫としての)能力についてもだ。


 だから自分が(音痴だが)歌っている間は、誰も自分に手出しは出来ないと知っている。

 だがしかし、


「ぐるるるるるるる! もうちょっと、あと少しで…………」

「小娘が! 動けるようになったら、即座に食い殺してやる!」


「ひっ! ひえぇぇぇぇぇ!」


 戦闘経験の少ない彼女(姉上とのじゃれっこ(生死のやり取り)は除く)にとって、本物の殺気が飛び交うこの戦場は、彼女の精神をガリガリと削っているように見えた。

 だからなのか?


「もう無理! いろいろ予定狂っちゃったけど、もう無理だから! 私逃げるから!」


 誰に言っているのか?

 訳の分からないことを、彼女は自分の足元に叫び、


「ぼっぼえぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 最後の魔力を振り絞って歌い、魔物たちに背を向け、


「大丈夫。このまま走って距離を取り、最終の最終の最終手段さえ取れれば…………ぎゃん!」


 走り出した数歩目で派手に転んだ。

 しかも、受け身も取れず顔面から見事に、びたんっといった!


「ぶゅしゅっ、ぐひぃぃぃぃ!」


 おそよ淑女とかとは縁遠い声を発し、それでも根性で立ち上がるミナだが、


「「「グゴギャワァァァ」」」


 立ち上がったミナに向かって、魔物が押し寄せる。

 すでに魔力も切れかけ、疲れはてたミナは、


(ああ…………これ終わったわ)


 なすすべもなく立ちつくし、死を受け入れようとした刹那。


 ドッシャァァァァン!


 っと砂煙とミナに襲い掛かって来ていた魔物を吹き飛ばし、


「あらあら、私が来ましたわ!」


 アル成分を補充し、つやつやお肌のシルヴァーナ・タリスマンが空から降って来た!

 その女神の登場を思わせる彼女に、


「お、おねえさまあ~~~~~ん!」


 ミナはダッシュしてその腰にしがみつき、


「ぐえぇぇぇ? こいつ、逃げたんじゃ無かったのかよ!」


 ミナを襲う魔物とは別に西門を目指していたバルサスが、姉上の登場にその足を止めた。

 神をも魅了する笑みの姉上に、魔物たちの瞳に再び恐怖が宿る。

 戦況は逆転した。

 そして、


「あらあら? この私が戻ったからには…………」


 ガチャン!


 姉上の口上の途中で、耳障りな金属音。


「あらあら? これは何かしら?」


 微笑のまま、自分の首に付けられた首輪を見て問い掛ける姉上。

 その視線の先には、

 

「はっ! あははは! やった! 最悪最凶の魔女の魔力を封じてやった!」


 ミナの言葉に視線を戻せば、首輪の中心には魔力封じが込められた、薄紫色の魔石。


「これで、これでやっと、私の幸せが戻って来るのよ!」


 高笑いを決めながら、姉上から距離を取るミナ。

 どうやらミナは、魔王軍へ寝返ったようだ。

姉上大ピンチ!(笑)

このピンチを救えるのは、皆様の応援(ブクマとか評価とか、感想など!)です!

よろしくお願いします!

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