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作品を読みやすくするため、アルムデル語を「()」とさせていただきます。

決して作者が楽をしたいためではありませんので、ご了承願います。

(きわめて冷静に振る舞っていますが、後書きで作者の心情が爆発します。

「全員、退避ぃぃぃぃぃぃ!」


 そうこうしてる間にも、重騎士は剣を振り上げ姉上の元に殺到した。


「うおぉぉぉぉぉ!」


 隙のない剣の一撃が、姉上に振り下ろされる。

 さすがはアルムデルが誇る重騎士の一撃は、硬い鱗に守られたドラゴンでも致命傷だろう重い一撃。

 だが、相手が悪かった。


「あらあら、ちょき!」


 可愛らしい。

 実に可愛らしい声がしたかと思うと、


 パキンッ!


 重騎士の一撃は、姉上の二本の指に挟まれ、小気味いい音を立てて刀身の半ばで折れた。


「(え⁉ えええ!! 竜の鱗も切り裂く、ミスリル製の我が剣が!)」


 ああ、驚きの表情って、万国共通なんだなって僕は現実逃避した。

 え? アルムデル語じゃ無くなってる?

 大丈夫。

 僕もアルムデル語分かるから。


 それよりも心配なのは…………。


「あらあら? 剣、折れちゃいましたね? なんか、もしかしてアルムデルでは凄い剣だったのですか? 折れたら不味かったのですか? あらあらどうしましょう?」


 呆然とする重騎士の肩にそっと手を置き、悪気の無さそうな声音で、確実に心を折りにいってる姉上の微笑。


「(うろたえるな! 剣が折れることなど、戦場では良くあることだ! そんなことで我が重騎士の心は折れぬ!)」


「(だ、団長!)」


 団長と呼ばれた男の一括に、戸惑う重騎士の雰囲気が変わった。

 姉上を前に、ここが戦場だと言ったのも、それに応え、布陣を変える重騎士たちも称賛に値する。

 だが、惜しい。

 彼らの布陣は対人戦の布陣。

 あくまで、ただの強い人間に対する布陣なのだ。


「(水平一刀!)」


 号令の元、姉上を囲んだ重騎士の半数が、姉上に向かって剣を突き出す。

 その時、歯ぬけのように残った攻撃に移る重騎士の、左右にいる重騎士はまったく動かない。

 残った重騎士は隙間の無い一刀を、飛んで逃げてもかがんで逃げても良いように、静かに狙いを定めているのだ。

 対人戦では、ほぼ隙のない必勝パターン。

 なのだが、


「あらあら、ずいぶん隙間があるのね。最近お気に入りのお菓子を食べすぎて、ウエストが心配だったのですけど……軽く通れてしまいましたわ」


 重騎士の放つ、人一人取れるのか? っという剣の隙間を、姉上はまるでダンスでも踊るように優雅に抜けた。

 そして、いつの間にか団長と呼ばれた男の前に立っていた。


「あらあら、ここは戦場なのでしょう? ならば敵を目の前に呆然としているあなた、死んでましてよ?」


 あくまでも優雅に言い放ち、そして、呆然とする団長に宣言した。

 そして、


「さあ紳士の方々、私とワルツでも踊りましょうか?」


 何をするでもなく、トンッとステップを踏むように団長から離れた姉上は、扇子で口元を隠し優雅に笑った。


「(はあぁぁぁぁぁぁ!)」

「(うりゃぁぁぁぁぁ!)」


 戦場となった舞踏会場では、重騎士の剣が轟音で振るわれ、


「あらあら? あんよは上手になりましたわね」


 にこやかに笑う姉上が、それをヒラリヒラリと舞う様に避けていた。


 予想通り、戦場ダンスホールは混沌を極めていた。

 主に姉上のおふざけ《悪い癖》が原因だ。


「うおぉぉぉぉぉ!」


 姉上は、目の前の重騎士が振り下ろす一撃を、ひらりっと躱し、


「あらあら、ずいぶん遅い一撃ですこと(遅漏って、世の女性に嫌われる一因ですわね)」


「たあぁぁぁぁぁぁ!」


 避けた姉上の着地点を狙った一撃は、逆に姉上が着地する前に空を切る。


「あらあら、振りが早すぎるのではありませんか?(早漏過ぎるのも、世の女性に嘲笑されるでしょうね?)」


 なんだろう?

 攻撃を避ける度に姉上が重騎士に囁く言葉が、なにか違うことのように感じるのは?


「(え? そうなの⁉ 俺ってそうなの!)」


「(ぬぐぅぅぅ。もしやと思ったが、つ、妻にも言われたことがないのに……)」


 物理的にはダメージを受けて無い重騎士が、どこぞの小娘のように儚くくずおれていく。

 どうやら僕の憶測は間違いではないようだ。

 

 何度も言うが、姉上は超が付くほどの美人だ。

 そんな女性に、無敵と謳われるアルムデルの重騎士が力で負け、なおかつ男としての尊厳を折る様な言葉を浴びせられる。

 もう彼らには、完全に心を折られるか《戦闘不能》、違うドエムになるかしか選択肢はないだろう。


 それは、同性としてあまりにも不憫で……。

 だから、僕は願いを口にしてしまった。


「姉上! もうその辺で許してやってください!」


 この一言が彼らに、さらなる地獄を見せることになってしまう。


「はい。やめます」


 僕の声に即座に囁きを辞め、回避に専念する姉上。

 それを、不運にも戦場経験のある重騎士団団長に気付かれてしまったからだった。

ブ、ブクマ! ひ、評価! ふえてるぅぅぅぅぅぅ!

え? なに? ブクマとか評価って一日でこんなに増えるものなの?

それにジャンル別日刊2位だと!?

驚くのか?

喜ぶべきなのか?

混乱中の作者です!


それでも読んでくださり、ブクマと評価をしてくれた読者様に感謝を。


ありがとうございます、ありがとうございます!


あ! でも、まだまだブクマ、評価は随時募集中です!

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