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ざまぁ、完結!
「……凄いなデイジとエマリア! あれだけ一方的にやられてるのに、まだあの二人に向かって行くなんて……」
すでに魔物の影も無くなり、ついでに村に続く道にあった森さえも更地にし、それでも彼女らの戦いは続いていた。
うん。
戦ってるなんて表現が間違ってることは知ってる。
だって、
「あらあら? まだ立ち上がって来るなんて、さすがは勇者のお仲間様!(早く立ち上がらないと、次は動けないあなたのピーをピーして、ワンワン! ニャ~~~~ン! しますわよ!)」
「おろおろ、わっちの攻撃にここまで耐えうるとは……さすが大陸最強の魔術師じゃ!(次、こんな初級魔法も耐えられなかったら……再生できないほどの炎で、オヌシのニヤンニャンをワオォォォォンするぞえ?)」
姉上とヒルデの建前と同時に心の声が聞こえる僕には、ただただ、一方的な死刑宣告にしか聞こえないんだから。
まあ、
「凄いぞデイジ、エマリア! 私闘は良く無いけど、巨大な相手に対しても、君たちのたゆまぬ努力と根性。素晴らしいよ!」
……あれ?
この状況を、努力とか根性って言ってすませちゃうの?
もはや二人とも、完全に姉上たちのオモチャ状態だけど?
なんか違和感を覚えた僕は、キラキラと目を輝かせるジオルドに、思わず視線を向けた。
刹那。
「ぐべぇ! ごぎゃ! ぐらおがぁぁぁぁぁ!」
地面を削りながら、もはや人語にすら聞こえない悲鳴を上げるデイジが転がって来た。
その様を見て、
「へえ、さすが姉上」
白目を向き、口から「うわぁ!」ってぐらいヨダレを垂れ流すデイジを見て、思わず呟いてしまった。
だって、
手足はまかり間違った方に向いていて、全身の骨バッキバキなのに、彼女はまだ、生きているのだから。
そんな僕の声に反応した姉上が、
「あらあら? 私の最愛なる愛弟には、分かってしまうものなのですわね」
したり顔の姉上に、途中から気付いた疑問をぶつけた。
「でも姉上。|魔物がいなくなってから《デイジを武器にしなくなってから》、彼女のとの戦い、拳じゃ無く掌底を使ってましたよね?」
さすがにそれ以上は分からんと、肩をすぼめる僕に、
「さすがわアルです! そこまで気付いていたのならすでに大、大、大正解ですわ! なぜなら私は前回の……なんでしたっけ? あの……なんかキザッたらしいゴミ。いえ、虫? が身に着けていた高硬度の鎧対策に、つい昨日、覚えたばかりの『鎧を無視して、ダメージを与える方法』の練習をしてたのですから!」
うん?
鎧を無視してダメージを与える?
それをつい昨日覚えた?
姉上の言葉に、僕の脳細胞が高速回転。
結果、驚くことにたどり着く。
「それ、ほぼ無敵の打撃じゃん! 下手すると竜の鱗とか無視してダメージを与えられる、究極の攻撃じゃん!」
「あらあら? アルにそれほど褒められるなんて……もう、結婚しかないですわね!」
うん、それは無い。
っと、口を開こうとした瞬間。
「ぎよえぇぇぇぇぇぇぇぇ! おごっ!」
淑女らしからぬ声を響かせ、エマリアが頭から地面に突き刺さった。
「おろおろ、義姉様。主殿との結婚とは……聞き捨てならぬのう?」
空中で姉上を睨みつけるヒルデ。
そんな最中、
「きゃ……もう、ゆるじでぐだざい! もう、あなたざまには、はむかいましぇん! もう、むげんのくつうは、かんべんしてくだしゃい!」
体中のいろんな所がヤバい状態だろうデイジが、マリアーナが回復魔法を唱えるより早く、土下座をした。
それに続き、
「生意気言ってごめんなしゃい! 大陸最強は……いえ、世界最強の魔術師は貴方様でございましゅ! 私なんて、ゴミカスです! 父のピーにこびりついたピーカスです! もう生意気なこと言いません! 絶対服従ですから!」
そう言って地面から頭を抜き、犬が恭順するように? 五体投地するエマリア。
勇者の仲間二人が、バッキバキに心を折られていた。
魔王を倒すため編成された勇者一行。
その二人の心を折り。
さらに、
「ぐぷっ! ジオルド様! 私、もう駄目です! 魔力回復薬の飲みすぎで…………うぷっ!」
口を押え、最後の気力を振り絞り、建物の影に走り出して視界から消るマリアーナ。
うん。
どうやら勇者以外全滅のようだ。
「はあ。これ、なんて王に言い訳しよう? もう面倒臭いことが起きる気しかしない!
そう頭を抱えようとした僕に、
「うん。デイジ、エマリア、マリアーナ。皆頑張ったね。次は……僕の番だ!」
空気を読まず、そう言い放ったジオルドは、
「さあ、アルサス様。最後にご指導願います!」
シャランと硬質な音を立てて剣を抜き、僕に向かって極上の笑みを浮かべるのだった。




