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15

ざまぁ、完結!

「……凄いなデイジとエマリア! あれだけ一方的にやられてるのに、まだあの二人に向かって行くなんて……」


 すでに魔物の影も無くなり、ついでに村に続く道にあった森さえも更地にし、それでも彼女らの戦いは続いていた。


 うん。

 戦ってるなんて表現が間違ってることは知ってる。

 だって、

 

「あらあら? まだ立ち上がって来るなんて、さすがは勇者のお仲間様!(早く立ち上がらないと、次は動けないあなたのピーをピーして、ワンワン! ニャ~~~~ン! しますわよ!)」


「おろおろ、わっちの攻撃にここまで耐えうるとは……さすが大陸最強の魔術師じゃ!(次、こんな初級魔法も耐えられなかったら……再生できないほどの炎で、オヌシのニヤンニャンをワオォォォォンするぞえ?)」


 姉上とヒルデの建前と同時に心の声が聞こえる僕には、ただただ、一方的な死刑宣告にしか聞こえないんだから。


 まあ、


「凄いぞデイジ、エマリア! 私闘は良く無いけど、巨大な相手に対しても、君たちのたゆまぬ努力と根性。素晴らしいよ!」


 ……あれ?

 この状況を、努力とか根性って言ってすませちゃうの?

 もはや二人とも、完全に姉上たちのオモチャ状態だけど?


 なんか違和感を覚えた僕は、キラキラと目を輝かせるジオルドに、思わず視線を向けた。

 刹那。


「ぐべぇ! ごぎゃ! ぐらおがぁぁぁぁぁ!」


 地面を削りながら、もはや人語にすら聞こえない悲鳴を上げるデイジが転がって来た。

 その様を見て、


「へえ、さすが姉上」


 白目を向き、口から「うわぁ!」ってぐらいヨダレを垂れ流すデイジを見て、思わず呟いてしまった。


 だって、

 手足はまかり間違った方に向いていて、全身の骨バッキバキなのに、彼女はまだ、生きているのだから。

 そんな僕の声に反応した姉上が、


「あらあら? 私の最愛なる愛弟には、分かってしまうものなのですわね」


 したり顔の姉上に、途中から気付いた疑問をぶつけた。


「でも姉上。|魔物がいなくなってから《デイジを武器にしなくなってから》、彼女のとの戦い、拳じゃ無く掌底を使ってましたよね?」


 さすがにそれ以上は分からんと、肩をすぼめる僕に、


「さすがわアルです! そこまで気付いていたのならすでに大、大、大正解ですわ! なぜなら私は前回の……なんでしたっけ? あの……なんかキザッたらしいゴミ。いえ、虫? が身に着けていた高硬度の鎧対策に、つい昨日、覚えたばかりの『鎧を無視して、ダメージを与える方法』の練習をしてたのですから!」


 うん?

 鎧を無視してダメージを与える?

 それをつい昨日覚えた?

 姉上の言葉に、僕の脳細胞が高速回転。

 結果、驚くことにたどり着く。


「それ、ほぼ無敵の打撃じゃん! 下手すると竜の鱗とか無視してダメージを与えられる、究極の攻撃じゃん!」

「あらあら? アルにそれほど褒められるなんて……もう、結婚しかないですわね!」


 うん、それは無い。

 っと、口を開こうとした瞬間。


「ぎよえぇぇぇぇぇぇぇぇ! おごっ!」


 淑女らしからぬ声を響かせ、エマリアが頭から地面に突き刺さった。


「おろおろ、義姉様。主殿との結婚とは……聞き捨てならぬのう?」


 空中で姉上を睨みつけるヒルデ。

 そんな最中、


「きゃ……もう、ゆるじでぐだざい! もう、あなたざまには、はむかいましぇん! もう、むげんのくつうは、かんべんしてくだしゃい!」


 体中のいろんな所がヤバい状態だろうデイジが、マリアーナが回復魔法を唱えるより早く、土下座をした。

 それに続き、


「生意気言ってごめんなしゃい! 大陸最強は……いえ、世界最強の魔術師は貴方様でございましゅ! 私なんて、ゴミカスです! 父のピーにこびりついたピーカスです! もう生意気なこと言いません! 絶対服従ですから!」


 そう言って地面から頭を抜き、犬が恭順するように? 五体投地するエマリア。

 勇者の仲間二人が、バッキバキに心を折られていた。


 魔王を倒すため編成された勇者一行。

 その二人の心を折り。

 さらに、


「ぐぷっ! ジオルド様! 私、もう駄目です! 魔力回復薬の飲みすぎで…………うぷっ!」


 口を押え、最後の気力(女らしら)を振り絞り、建物の影に走り出して視界から消るマリアーナ。

 うん。

 どうやら勇者以外全滅のようだ。


「はあ。これ、なんて王に言い訳しよう? もう面倒臭いことが起きる気しかしない!


 そう頭を抱えようとした僕に、


「うん。デイジ、エマリア、マリアーナ。皆頑張ったね。次は……僕の番だ!」


 空気を読まず、そう言い放ったジオルドは、


「さあ、アルサス様。最後にご指導願います!」


 シャランと硬質な音を立てて剣を抜き、僕に向かって極上の笑みを浮かべるのだった。

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