閑話:ある聖女の独語
閑話ですが、物語自体は続いてます。
ちょっと短いですが、よろしくお願いします!
「ぎゃは……………………ぐへぇ!」
「究極治癒魔法!」
はあ。
もう何度目だろう?
全身の骨が砕けたデイジの体を治すのは……。
疲労困憊で、頬に流れる汗をぬぐう間もなく、
「きゃあぁぁぁぁ!」
「ぐびっ! 究極治癒魔法! あんど、魔力譲渡!」
今度は禁忌魔法の一つである、神の雷を受け地面に叩きつけられたエマリアの体を治し、さっき補充したばかりの魔力も譲渡する。
すでに足元には、五〇ほどの魔力回復薬の空き瓶が転がっている。
二口ほどで飲める少量の液体と言えど、これだけ飲めばお腹たぽたぽ。
正直、もうやめてほしいのだが……。
…………私は勇者の仲間の聖女マリアーナ。
戦闘力は無く、治癒と補助魔法しか使えないが、瀕死の重傷者でも治せるし、運動音痴の人でも一流の戦士にすることが出来る魔法が使える。
そんな私は彼らと共に、数々の困難を軽やかにさばき、
無理無謀?
それっておいしいの?
なんて、無茶も無謀も余裕で乗り越えてきた。
私たちが力を合わせれば、不可能なんて無い!
正直、つい昨日まで思ってました。
なのに、
「ぎゅあぁぁぁぁ!」
「ぎゃあぁぁぁぁ!」
再び地面に激突して戻って来る、私の仲間たち。
何十回目かの、彼女たちのボロボロの姿を前に、すでに私の心は折れていた。
『補助魔法で援護すれば?』
そんな声も聞こえてきそうですが、すでにやりました。
『全異常耐性』と『攻撃強化』と『魔力強化』とか、『全属魔法耐性』及び、『物理攻撃耐性』もろもろ…………。
色々やったのですが、結果的には瞬きの半分ほどの時間しか持ちませんでした!
一〇回から先は魔力がもったいないのでやってません!
でも、そろそろ……。
「あの~~~~。彼女たちも、もう反省して…………」
「あらあら、まだ指先をピクピクさせて……やる気を見せていますわ!」
「おろおろ、まだ息をしてるじゃろ?」
怒れる魔神様方に許しを乞おうとしましたがダメでした。
淑女らしく笑う、でも、まったく目が笑ってない二人に対し私は、
「はい! そうですよね! 二人はまだやれます! グビッ! 究極治癒魔法! グビッ……ウプッ……究極治癒魔法! 魔力譲渡!」
シル様から貰った、すでに半分を切った魔力回復薬をがぶ飲みし、愛想笑いを浮かべながら、瀕死の仲間を回復し無限地獄へと送り出すのでした……。
最後までお読みいただきありがとうございます!




