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短いけど、ざまぁ、開始です!
「きゃはははははは!」
背中を見たデイジの高笑いが耳朶にひびく。
まあ、
過ぎたこだし、こんな侮蔑なんて今更だ。
僕はそう思ってるんだけど……。
「きゃは! その無様な紋章さらして、土下座しな! 『僕の背中に勇者の紋章があってごめんなさい! 魔物から逃げて、勇者の紋章を汚してしまってごめんなさい!』って、大陸中の皆様に謝りやがれ!」
そのままデイジが、倒れ込む僕の頭を踏みつけた。
いや、これはさすがに……。
出来る限り穏便に済ませたかったんだけど……。
「アルサス様に何をやってるっんだデイジ…………! エマリア! いますぐ彼女に最大出力の防御魔法!」
ジオルドの声が響くと、
「え? はあ? 別に魔物なんて……ひっ! 絶対物理防御!」
さすが勇者と一緒にいるだけあって、とっさにデイジに魔法を掛けたエマリアの危機への反応は一級品だ。
まあ、僕をバカにした時点で二人とも、危機管理能力はミナより下だけど……。
「え? うそマジ! こんな! こんな!」
そりゃ、数百メートル離れた場所で魔物を駆逐してた姉上が、目の前にいるのにはびっくりするだろう。
さらに、
「きっ、さまあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」
姉上の怒りを、ただの最上級防御呪文で防げると思ったのは頂けなかった。
バリイィィィィィン!
「ふぇ? ぐへっ!」
彼女の魔法は姉上の拳にいとも簡単に破壊され、デイジは輪郭が歪むほどの一撃を受けたのだから。
「何も知らないお前が、知ったようにアルのことを口にするな!」
まあ、いつものことで、姉上をなんとかなだめようと顔を上げた。
だが、
「え? 姉上?」
マズイマズイマズイ。
インパクトの瞬間、とっさに加減した姉上に、まだ理性が残っていると思うが…………。
「きさまに、アルの何が分かってると言うのですか!」
いつもの余裕の笑みが消えてるばかりか、姉上の瞳の端には涙を浮かんでいた。
『もう手遅れだ』っと思う僕の胸が、ズキリッと痛んだ…………。
最後までお読みいただきありがとうございます!
短いので、できる限り今夜中に(今日中とは言わない)もう一話投稿!
出来ればいいな!




