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よろしくお願いします!

「どっせい! ふひゃひゃ! 女神様のおるこの地の魔物ごときをのさばらせたら、末代までの恥じゃ!」


 骨と皮ばかりのガリガリの老人が、塹壕を飛び越え城壁に取り付こうとする魔物に、一抱えもある岩を落とす。


 そして、城壁に取り付く魔物に対し、


「勇者様にも会えたんじゃ、こんな話、孫に聞かせるまで死ぬわけにはいかんわい!」


 城壁の上からぐつぐつと湯気たつ熱湯の入った鍋をひっくり返し、魔物を引き剥がす老婆。


 見くびってた訳じゃないけど、城壁の守りは大丈夫みたいだ。

 だから、


「ヒルデ!」

「分かっておるのじゃ!」


 僕の声に反応しヒルデが両手を広げると、迫りくる魔物は雨のようにばらまかれる魔法の槍に串刺しになる。

 暴力的で、圧倒的な魔力に、魔物たちが怯んだ隙に、


「姉上!」

「あらあら? ようやく私の出番ですわ!」


 僕の指示に朗らかな声で答え、地面を蹴り、塹壕を飛び越え、魔物の群れに飛び込んで行く姉上。

 そして、抜身の刀身を閃かし。


「はあぁぁぁぁぁ!」


 裂帛の声を上げて、当たるを幸い、魔物たちをバッタバッタと斬り伏せていく。


「あらあら? もうお終いですの? まだ最初の舞踏(ファーストダンス)も終わってませんわよ?」


 狂気に駆られた魔物たちの足が止まった。

 姉上とヒルデの圧倒的な攻撃力を前に、彼らたち(魔物たち)が恐怖したのだ。



「ふぅ。これで何とかなったかな?」


 津波(魔物の群れ)の恐ろしい所は、死を恐れない突進力。

 まあ、数はまだいるけど死を感じてしまった魔物相手なら、普通に対処できる。

 そんなことを考えてる僕の耳朶に、


「ぶっはぁぁぁぁ! ぜい、ぜえ! あ……げほっげほ! ごぼげほほほほほ! ごは、ごほほほほほほ!」


 元ゴーレムだった高台に登った元王子が戻ってきて、意味不明の何かを叫んだ。


「元王子の言葉を翻訳しますと『森から帰った! 魔物の姿はもうほとんど見えない! ああ、死ぬかと思った!』です!」


 涙はともかく、鼻とか口から体液を流す元王子の言葉を、後ろから来た息も斬らしてない護衛が訳してくれた。

 うん。この王国にも、まだまだ逸材はいるもんだ。

 さらに、


「やあ、左の森にも、もう魔物はほとんどいなくなったよ!」

「だからぁ、帰ってきたんですけどぉ?」


 真面目な勇者の声と、可愛げも、愛想の無いデイジの言葉。

 勇者一行も無事に戻ってきたようだ。


「ふう。まだ油断は禁物だけど、とにかく何とかなりそうかな?」


 前線で戦っている姉上とヒルデには悪いけど、見る限り彼女らが遅れを取る様な魔物はいない。

 ふぅ。っと、今まで貯めていた息とともに、肩の力を抜いた。

 刹那。


「とことでぇ。出来損ないであるあなたが立てた作戦にしては、完璧すぎて気持ちが悪いんですけどぉ?」

「きゃは、そうそう! そ・れ・にぃ? 勇者一行をモブ扱いって酷いんじゃねー? もしかして、あいつらに魔物を狩らせて、優勝でもねらってんじゃねぇ? だっ・た・らぁ、私らは……。こんな事しちゃっても、許されるんじゃねぇ?」


 油断してるつもりはなかったが、津波(魔物の群れ)にばかり注意がいっていた。

 いつの間にかエマリアとデイジが、僕の背後にまわり、


「風よ!」


 エマリアが背後から僕に向かって、風の魔法をぶっ放し、


「あがっ!」


 バランスを崩す僕に、


「きゃはははははは!」


 デイジが大剣を振り抜いた。

 絶妙な手加減で、僕は鎧と服を剥ぎ取られた。

 もちろん服は上半身だけだが、


「デイジ、エマリア! アルサス様に何をしてるんだ!」


 鋭いジオルドの叱責に、 


「あれぇ~~。メンゴメンゴ! 手がすべっちゃった! それにしても……」

「きゃは! さすがにこれは……」


 反省のはの字も無い彼女らの視線の先には、露わになった僕の背中。


「きゃは! 勇者だったくせに、魔物から逃げて背後からの一撃を喰らうなんて、何度見ても不快じゃね?」

「本当に醜いできそないですこと!」


 そこには魔物に切り刻まれた、『勇者の紋章』があるのだから……。

次回、反撃ざまぁ開始!

応援、よろしくお願いします!

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