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これにて第二部完結です!
決闘があった翌日。
「あ! アル君! いや、アル様! おはようございます! 今日は良い天……ぐひゃ!」
教室に来るなり、僕に駆け寄ってきたエミールが、
「あらあら? 私言いましたよね? 私の最愛で、愛おしくて愛おしくて、可愛くて格好いい愛弟に、用も無く近付くなと?」
姉上の鉄扇の一撃で床にめり込む。
昨日やらかしたばかりなのに、何やってんのエミール?
こいつ、この国のバカ王子よりバカなのかと、残念な瞳で彼を見る……が!
「くふっ! これこれ! やはりお仕置きは、これぐらいでなくては!」
不意に立ち上がるエミールは、視線も定まらずどこか恍惚としていて……。
なんかもう、色んな意味で危ないやつだった。
そんな彼に、
「あらあら? さっさとそこを退きなさい、アルの机が穢れるでしょ?」
姉上が、虫にも向けないような絶対零度の視線で蔑むのだが、
他国の王は、
「はい! ありがとうございます! アル様! またお願いします!」
ぶるるっと歓喜に体を震わせ、水を得た魚? いや、鞭を与えられたドエムのような表情で侯爵息である僕に対し、礼儀正しく綺麗に腰を折り喜々と去って行く。
どうやら彼は、姉上によって、新しい扉を開いてしまったようだ。
そんれに対し、弟以外まったく関心の無い姉上は、
「あらあら? ところでアル。私、教科書を忘れてしまったのですけど、見せて下さらない? もちろん、机を寄せて!」
バラのつぼみが開くように、ぱあぁぁぁっと華やぐ笑みを浮かべて机を僕の方へ……。
ガキャンッ!
移動しようとした所で、突然現れた氷壁に阻まれた。
「主様よ、そんな準備も出来ないあほうな姉より、他国からわざわざ婚約者に会いたいがために急いで来て、教科書の準備も間に合わぬわっちに、教科書を見せてたもれ!」
いつの間には、姉上と反対側の席にいる、ヒルデの魔法だった。
「あらあら、ボッチちゃん? 教科書ならこれ貸しますから、そのアルムデル臭い机を、愛弟の机から離してくださらない?」
「おろおろ? 本当は教科書持ってるくせに、弟に近付くために嘘を吐くとは……少々度が過ぎるのでは? お義姉様」
「あらあら?」
「おろおろ?」
僕をはさんで、姉上とヒルダが対峙する。
「おかしい。僕はこの学園で、ユルフワな時を過ごそうとしてたのに……」
なのに、
「アル君おはよ! あ! 授業の準備しなきゃ!」
この状況で、ミナが軽やかだが遠巻きに挨拶し、
「おはようアル…………。まあ、頑張れ!」
バカ王子が視線をこちらに向けずに、挨拶だけして逃げてった。
他の生徒も、
目を合せない。
もしくは遠くで苦笑いをしていた。
「アル、姉である私に教科書を見せてくれますわよね?」
「いやいや、婚約者のわっちだろ?」
殺気があるのに、猫なで声で左右から僕の腕を抱く二人。
うん?
誰か羨ましいと思ったか?
なら変わってやる!
いやほんと、誰か変わって!
そして僕に、ユルフワな学園生活を!
<了>
最後までお読みいただきありがとうございます!
第三部、早くなるべく早く書き進めたいです。
そのためには…………。
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