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お待たせしてすみません!

言い訳は後書きで!

『さあ! 休日をはさんで…………いや、ホントにもう! なんで毎回私なんですか! 昨日も徹夜だったんですよ! 私、もう……え? 特別手当!? …………マジで! さ、さあさあ! 気を取り直して第二競技に移りたいと思います!』


 大人の本音ダダ漏れのミル先生の司会を、僕たちは何も知らない振りをして聞き流し次の競技に移った。


 大会二日目の競技(本当は初日の第二競技なのだが)は、パン食い競争だ!

 いやもういい年した学生だけど! デビュタント(成人の儀式)も終わった学生が、今更パン食い競争?


 僕もそう思う。


 でも、『魔法、武器による他の選手への攻撃は反則、またはペナルティーを課す!』そう改正された競技規定を見れば……これが一番平和な競技では? っと思わず期待した。


『各国の第一走者はスタートラインへ!』


 ミル先生のアナウンスと共に、選手たちが一斉に地面を蹴り上げた。

 もちろん、我が国の|選手は!


「え俺? これって王族だから? 王族に復帰できたから、名誉ある筆頭選手?」


 そう。

 厳正なる抽選でインコース(一番内側)に待機するのは、我が国の誇る王族(おバカ)のセツナである。

 もちろん陰でこの競技と位置の順番を決めたのは僕。


 だって一番内側なら、何も知らない観客(か弱い見物客)より、|他国の代表選手《いくらか体を鍛えている》の方が、被害にあっても生きてる確率高いじゃん!

 それに、コースの内側も外側にも宮廷魔術師が徹夜で掛けた、絶対防御壁(マジックシェル)の強度の確認もある。


 え? 他国の選手に怪我を負わせたら、国際問題じゃない!?


 そう思う人もいると思うが、大丈夫!

 彼らには事前に、


『パン食い競争出場規定

 この競技に出る者は、故意ではない場合に限り他国の者が、例え後遺症の残る様な重大な怪我をさせたとしても、責任を負わないこと。それらを守らなかった場合。彼の者は『うん〇ちゃん』っと改名すること』


 に署名させている。

 当然彼らの反応は。


「はっはっはっ! シュタイン王国もパン食い競争ぐらいで、ずいぶん慎重なことするんだな!」

「いやいや、きっと彼らなりのジョークだろ?」


 なんて言って、笑いながらサインをしてくれた。


 先日の競技(惨劇)を見てもそんなこと言えるのか!

 そう思うなかれ、この競技に出る彼らは先日のアレを見て自国に帰った選手の代わりに昨日来たばかりの、補充要因なのだ。


 もちろん、この国は情報を隠ぺいなんてしてない。

 もちろん、各国のお偉いさん方々はビビって選手がいなくなり、不戦敗なんて事にならないよう、情報を規制していることには関与はしない。


 まあ、知らないことが幸せって事もあるよね。


 とにかく彼ら(各国の選手)は、その|出場規定《死んでも責任取りません》に、サインをしたのだから、国にも僕にも責任はない。


 それにこちらも誠意を見せて、一応、かろうじて、やんわりと、まだ王族のセツナ(生贄の羊)を選手として出しているのだ。

 

 まあ本音を言えば先日の件で、|この国がどれだけ恨まれているのか?《セツナをどれだけ攻撃するか?》そして、出方を見るためのものだ。

 

「まあ、彼らもその点は承知してるから、大して参考にはならないんだけどね?」


 …………レディ…………スタート!


 僕の予想通り、第一走者らは無難に競技を終えた。

 ちなみに六走者中、我が国の王族様は三位だった。

 可も不可もなく、ある意味一番面白みに欠ける順位だった。


 まあ、多少、セツナに接触(ショルダータックル)した者や、目前でこけた(スライディング)した者がいたが……。


 セツナが無事だ(生きてる)から問題なしだ。


 そんな奴(バカ王子)の順位よりも……。

 様子見は穏やかに終わったことの方がびっくりだ!


『あれ? もしかしてこれなら、ちゃんとした競技になるんじゃね?』


 一瞬だけそう思った。

 でも…………。

 次走者と視線が合い、思わずこめかみに指を押し当てた。

 だって、

 次の走者は、


「おろおろ主殿、当然わっちへの作戦! もしくは愛の言葉などがあるのじゃろ?」


 アルムデルの王女様(僕の婚約者)なのだから!



「ヒルダ!」


 僕は位置に着こうとする彼女に声を掛け走り寄る。


「おろおろ? 主殿。一位になっときのご褒美は、やはり主殿の抱擁かのう? いやいや、せっ、接吻はまだ人前では…………」


 そんなこと誰も言うつもりはないのに、彼女は勝手に頬を染め頬に両手を当ててイヤイヤと身体をくねらせる。


「うん。それは無いから安心して。それより…………」


 にこやかに否定しながら、彼女の耳元に顔を近付けるが、


「おろおろ主殿。前祝いに頬に接吻かえ? それは……はい。ちゃんと聞きます!」


 まだ頓珍漢な事を言い出す彼女に優しく微笑み(まったく目は笑ってない)、助言をした。


 え? なぜ最強の一角であるヒルデに助言をするのかだって?

 そんなの分かりきったことだろ?

 

 とりあえず明確な指示を出しておけば、無茶をしないからだ!

 だから僕は、彼女に的確なアドバイスを耳元で囁く。

 

「ふむふむ。それは面白そうじゃな! しかも耳元で囁き合うなど、まさに恋人同士の秘め事みたいでさらに良いのじゃ!」


 そんな事を言い出し、スタートラインに立つ彼女に一抹の不安を覚えながらも、僕はヒルダにいちゃもんをつけようとする姉上を押さえ込み、天に祈る。


「どうか、今日は一競技で終わりませんように! 明日が臨時休日になりませんように!」


 僕の願いが届いたきが全くしないのだが、


『レディ、ゴウ!』


 無情にもミル先生の声が校庭に響いた。

  



「うむ。主殿のために、頑張るのじゃ!」


 ミル先生の声とともに、フルバースト(物凄い身体強化)を唱え、地面を砕く勢いで駆け出すヒルダ。


「あれ? ヒルダ? 僕が君に言ったアドバイスは、『できる限り目立たず、穏便に!』だったはずなんだけど?」


「主殿見ておるか! わっちは今、風に・・・・・・」


 そんな彼女はやはり、勢い余ってコーナーを曲がりきれず、


「ぬひょぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・・・・ぬひょ!?」


 一昨日より十倍は強化した観客席乱入禁止防御壁(絶対防御魔法)を砕いて、観客席に突っ込んだ!


 ギリギリ、観客席には被害は無かったが、彼女がインコースだった故の悲劇。

 彼女より外側のコースだった選手(もちろん全員!)が巻き込まれ、幸い死者はいなかったものの、全員がほぼすべての骨を粉砕され、上級神官が付き添い集中治療室へ。


 ちなみにヒルダは、


「おろおろ。ちょっと、ほんのちょっと勢いが良すぎたようじゃ! 主殿! 体のあちこちが痛いのじゃ! 善戦むなしく傷を負ったわしを、いたわってほしいのじゃ!」


 なんて、砂埃をかぶりながらも、かすり傷ひとつなく、僕に走り寄り元気な声で腕に手を回す。


 競技の中に『国別対抗模擬戦』を加えなくて、本当に良かったと思う。


 そんな現実逃避をしている僕の耳朶に、


『ええ………本日の競技は………グラウンドが壊滅的にまずい…………ごほんっ! グラウンドの整備のため順延とさせていただきます! 繰り返します。本日の競技は明日に繰り越させていただきます!』



 ミル先生の戸惑いながらも順延を告げる放送が響いた…………。

 さらに、


『いやいやほんと! これで私のお給料減らないですよね? これ、私の失敗じゃないから減らないですよね!』


 魔道拡張器のスイッチを切らずに叫ぶミル先生の本音がダダ漏れていた。


言い訳。

今週一週間。

パソコンが立ち上がらないわ、立ち上がってもネットにつながらないわ、

散々な一週間でした。

今日、今、何とか立ち上がったので、投稿します!

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