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きりが良いのでちょっと短めです。

 そして僕は、


「旦那様。はい、あ~~~ん!」


 

 裸エプロンを阻止し、なんとか薄手で丈の妙に短いワンピースを着てもらった代償として、姉上が差し出したフォークに乗った料理を食べることになっていた。


「あらあら? 美味しいですか旦那様!」


 もぐもぐと咀嚼し頷く僕が、とろけるような笑みを浮かべる姉上に、思わずドキッとしてしまったのは内緒だ。

 まあ、これが身内でなかったら、僕もそれなりに楽しめたかもしれない。


 いくら美人で甲斐甲斐しくても、

 僕に向けられてるのが、純粋な愛情だとしても、


 でも、それでも相手は血族で最も近しい姉上なのだ!


 だから、


「美味しいですか? では私も……あらあら? 同じフォークで食べてしまいました。これでは間接キスではないですか! もはや妊娠ですか!」


 照れながら頬を染める姉上に、見惚れたいしないんだからね!

 なんて現実逃避し、どこかのツンデレ風に思った僕は、全然悪くないと思う。

 

 そんな至福とも拷問とも取れる食事が、やっと終わった。

 のだが、


「あらあら、食事も終わりましたし、そろそろ…………いたします?」

「なにをですかあぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 肩に掛かるワンピースに指を掛けながら頬を染め、恥じらいの表情を見せながらもパチンッ! っと姉上が指を鳴らせば、


 サアァァァ。


 っと、控えていたメイドたちが動きだし、奥の扉を開いた。

 そこには、


「うん、何となく察しはついてた! でもこれは…………」


 絶句した僕の視線の先には、


 壁も、床も、カーテンもベッドも、

 どれもこれもまっピンクで統一されていて、しかも二人用と思われる長い枕には、


『イエス!』

 と

『カモン!』

 の文字がデカデカと刺繍されていた。


「うん。これは速やかに戦術的撤退を…………」

「あらあら? この私がさせると思いまして?」


 ふくよかな胸を押し付け、恋人がするように腕を抱きこむ姉上。

 一見、独身男性にはとてもうらやましく見える光景なのだろうが、

 その実、完全に肘の関節を決められ、ジリジリとベッドに移動させられてるこの状況。


 部屋を見た限り、新婚用に可愛く彩られた窓は、魔力や物理衝撃に強い一枚でちょっとした屋敷が買える複合クリスタル。


 静かに扉を閉めたメイドも、気配からかなり腕が立つ玄人だし、閉めた音から扉にも対魔法防御が施された合金が仕込まれてるのが分かる。


 この部屋。

 良く言えば、要塞も真っ青なほど強固な作り。

 悪く言えば、家主の意思が無ければ、一歩も外には出れない監獄だ!


 それにしても……。


「姉上。この屋敷(おもちゃ)にどれだけ金掛けてんですか!」


 そんな僕の悲痛な叫びに、


「はい! この一等地に一流の職人を集め、金に糸目をつけずに急ピッチで作り上げたので、軽く王国の年間予算ぐらいですわ! でも、それぐらいでアルとの新婚生活が実践……ごほん。体験できるんですもの、安いぐらいですわ!」


「物凄く土地と技術の無駄遣いしてますよね? これを安いと言い切るのは姉上だけです! それに今、実戦とか言いませんでした? 何をする気なんですか! いや言わなくていいです! 聞きたくないです!」


「はい。土地はともかく、私の寄付で成り立っている孤児院の、あの子が職人ギルドなるものを作り、その職人たちも…………成長を嬉しく感じますわ!」


「みんな姉上が救った子供たちかよ!」


 くっ! これでは建物自体にいちゃもん付けられない! 逆にこれほどの完成度を褒め称えるべきなのか?


 そうこう考えてる間に腕を決められてる僕は、ベッドの目の前まで来てしまった。

 

 まずいまずいまずい。


 これは、本当に奥の手を出さなくてはならないレベルだ。

 でもさすがにこれは、後々とても面倒臭いと言うか…………。

 だが、


「さあさあアル! これから新婚初夜の練習ですわ!」


 抵抗虚しくベッドに寝かせられ、そのまま|覆いかぶさられ《マウントポジションを取られ》る僕に、選択肢は無かった。

 だから僕は最終手段に出た。

最後までお読みいただきありがとうございます!

引き続き応援よろしくお願いします!

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