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今週末も外出はできそうにありませんね。
そんなときは、ぜひ暇つぶしに読んでってください!
よろしくお願いします!
数日後。
久々に学校に登校した僕がアンネから事情を聴くため、今日こそはそろそろ色んな手練手管を使って時間を取ってもらおうとした。
そんな、まだ誰もいない、早朝の教室に、
「アルサス様。アンネ嬢からすべて聞き出しました! はい。『ここで喋らないとアルサス様が来るよ?』って言ったら、予想以上にペラペラ話してくれました!」
珍しくデュークが息を切らせて現れた。
ん? なんでそこで僕の名が出て来るの?
「それはもう、アルサス様のお手を煩わせるわけにはいきませんので」
僕の心を読んだ様に、話しを続けるデュークだが、
なぜか引きつった笑みを浮かべ、なぜか冷や汗をダラダラと流す。
まあ、良いのか?
とにかく、話が進まないので彼の報告を聞くことにした。
報告はある一部を除き、予想した通りだった。
アンネが持っていた小箱の中身は、やはり超強力な魅了のクリスタルだった。
どれほどかというと、国中の対魅了法具を装備してても抗えない、下手をしなくても廃人になるまで所持者の言うことを聞くものだったそうだ。
まあこれって、普通に個人で所持できるモノじゃないし、気軽に他国に持ち込んで良いもんじゃないよね?
ということで、さっそくその日のうちにゼフト王国でにシュタイン王国ではなく、タリスマン家の一軍……いや、一特殊部隊……いやいや、抗議の特使をヒルダの転送魔法で送ったようだ。
いや、他人ごとのように話すのは、今回に限って僕はまったくタッチしてないからだ。
だって僕はここ数日、強制的に実家に戻され、なぜか姉上とヒルダと一緒にタリスマン家精鋭部隊の訓練に参加させられてたのだ。
参加って言っても、ニコニコ顔の姉上とヒルダが両脇にいて訓練を見守っていただけなのだが、
精鋭部隊の訓練が、いつもより気合が入っていて、それを見る姉上やヒルダもどこかピリピリしていて、なぜか身をよじるだけで姉上たちを含む全兵士が僕の方を向いたりしたけど……。
それ以外は普通の、いや、物凄く実戦に近い気迫のこもった訓練だった。
ついでと言ってはなんだが、見学に来ていたジオルドやマリアーナが、僕の背後で緊迫した表情で訓練を見ていたのも印象的だったよね。
そんなことよりデュークの報告を聞こう。
あのメス豚…………いや、これは心の中でも良くないかな?
とにかく、アレがどうなったか知りたくて、視線を彼に向けるが、
「ひっ! あ……いやいやいやいや、ほほほほほ、報告を続けさせて頂きます!」
なぜだか必要以上に怯えるデュークが、
「だからなんで俺? 死んじゃうって! 足元から凍って死んじゃうって!」
なんか悲壮感漂う表情で、足元から上ってくる氷を必死で振り払い、何かを呟いている。
「ぐびっぐびっ! エクストラハイヒール!」
おや? なにやら廊下から囁きが聞こえた。
「…………」
まあいいか。
でも、そろそろ他の生徒が来そうなので、僕は無言で先を急がす。
「は、はははははははい! ご報告させて頂きそうろう!」
ん? なんだか彼の声が震えていて、良く分からない言葉使いになってるのはなぜだろう?
「と、とにかく、最初は知らぬ存ぜぬで通していたゼフトですが、痺れを切らした女帝様とヒルダ様が参戦し、わずか三時間で全面降伏いたしました!」
うん? シュタイン王国ほどではないにしても、そこそこの大国を三時間で落とした?
姉上、ヒルダ、君たちはいったい何をしたの?
まあ、それはどうでも良いかと、なぜかまつ毛が凍ってるジュークに続きを促す。
「ゼフトの王家と、今回アンネに作戦を指示した宰相一族。その他の関係者一族郎党を、三日前から首切り台にさらしていますが……いかがいたしましょう?」
「え? ええ!? なんで首切り台? 姉上とヒルダが絡んだのなら、全面降伏は分かる。でも、なんで一族郎党皆殺し予定? しかもなんで僕にお伺いを立てるの? 僕はそれを止めるほうでしょ?」
「あ!? 戻った!!」
僕の全力のツッコミを、なぜか喜んでいるジューク。
心なしか彼の凍ってた体も、春が来たみたいに溶けていく。
「また姉上は暴走して……ジューク、悪いんだけどすぐにゼフト王国の戦犯と呼ばれる者たちを解放。兵も引いて! あっちの国王に、こちらには話し合いの用意があると!」
ブランドたちの故郷を、姉上の道楽で潰す訳にはいかない。
そう思った。
「は! ただちに!」
どこかホッとしたように、シュッと僕の目の前から消えるジュークだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
コロナコロナで気分も落ち気味ですが、
こんな時こそ!
引きこもりパワーで頑張りましょう!
合言葉は、
コロナに負けるな!
酒は飲んでも飲まれるな!
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