閑話:ある少女の独り言
少なめですが、よろしくお願いします!
「どう言うこと? なんなのなんなの? ちょっと色々有り得ないんですけどぉ?」
草木も眠る、夜も更けたころ。
自室で叫ぶ少女。
ドンドン!
どうやら防音魔法の効きが悪いようで、隣の部屋から壁ドュ~ンで苦情がきたようだ。
「すみませ~ん…………」
ビクリッ! っと身を震わせ呟く小心少女。
「じゃなくて! なんで私が! 最強で! 最愛の! 傾国の美少女と呼ばれた私が! こんな扱いを受けなくちゃならないの!?」
ドンッ!
「……すみません」
やや殺気のこもった壁ドュ~ンに、反対側の壁まで転がり反省するように床に座り込む少女。
「いやいやいや、違うでしょ? こんなの今の私じゃないでしょ? 私は傾国の美少女なのよ!」
自身に気合を入れ直し、それでも小声で囁く。
だってお隣さんが怖いから。
「私はあの頃の私じゃない! あの国でだって、あと一歩まで行ったんだ。ちょっとドングリ女にびっくりしただけ。そう! 今の私は、あのドングリ女に囚われている王子を助け出す。可憐な少女なのよ!」
座り込んだまま、カリカリと親指の爪をかじり始める。
「大丈夫。あなたなら出来る。あなたなら出来るわ!」
まるでそれが、一つの儀式みたいに彼女の瞳に活気を取り戻していく。
のだが、
少女は突然立ち上がり、机の引き出しの奥から片手大の小箱を取り出す。
「そうよ、そうよ! 私は出来る! あの時の失敗は……コレがなかっただけなんだから!」
満面の笑みを浮かべる少女だが、小箱を見つめる瞳はどこか仄暗く、温かみがまったくなかった。
「そうよ! これがある限り! 私はっ! 無敵よぉぉぉぉぉぉ!」
小箱を掲げ、高らかに宣言する少女。
当然、
ドンドン! ドンッ!
隣から壁ドュ~ンが鳴り響くが、
「あははははは!」
少女は気付かない振りをして笑い続ける。
そして、
「あんたいったい何時だと思ってんのよ!」
なんて怒涛の叫び声を上げて、隣人が怒りにまかせて扉を蹴り破るまで、後十秒………………。
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