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中二病をこじらせ、今週は風邪をこじらせた作者。

そして「風邪にはアルコール消毒じゃ!」と酔っぱらっいながらも、投稿再開です!

出来るだけ頑張りますが、毎日投稿できるかは、皆様の応援にかかっています!(なんか、脅迫っぽくてすみません)

『別に姉がいるから何?』

 普通はそう思うだろう。

 でも、


「これから皆さまは、城外にはびこる魔物に対抗すべく、色々な物事をこの学園で覚えていくでしょう」


 檀上で姉上の歌声のように響く声。

 流れるサラサラな銀髪に、透けるような色白の肌。

 見る者を魅了してやまない、微笑む緋色の瞳の絶世の美女に心奪われるだろう。

『弟なんかいなくても、いいんじゃね?』

 そう思うだろう。

 だが……。


「――――なので、この学園に在学するうえで、一点だけ注意があります。特に女子生徒、それは…………」


 眉を潜める美女の次の言葉に、この場の誰もが耳を傾けた。


「私の溺愛してやまない愛弟に、絶対、絶対、ぜ~~~~~~たい! 色目を使わないって事ですわ!」

「「「「「………………」」」」」


 もちろん、何言ってんだか分からない新入学生は首を傾げるが、姉上にはそんなこと関係ないんです!

 こんな弟大好き姉上を置いて、余所の学園に行けると思う?

 そんな僕の自己犠牲なんて、ぶっちぎりで無視して、


「そこで、今すぐあなたたちは去勢しなさい! 女子は全員! 男子は……アルが新たな扉を開く前に、やはり去勢しましょう!」


 暴走する姉上に思わず、


「なんで入学式で全員去勢しなきゃならないんですか!」


 失敗した!

 つい、いつもの調子でツッコんでしまった!


 反射的に声を掛けてしまったのだ!

 そんな僕に姉上は、とてもとても愛おしそうな視線を向け(さっきから向けていたが、さらに)、桜色の唇を嬉しそうに開いた。


「あらあら? こんなに人がいる中で私を見つけ出すなんて……やはりアルってば、私のこと大好きなのですわね!」

「うん。人は沢山いるけど、姉上物凄く高い壇上にいるから! 現在進行形で超目立ってますから! それより最初から人ごみに隠れてた僕を見つけてましたよね? ちゃんと気配遮断の魔法も使ってたんですよ!」

「もちろんそれは……『愛』ではないでしょうか?」

「うん。千歩とか万歩とか譲って、『家族愛』ってことで手を打っていい?」

「あらあらアル! やっと私と結婚する気になったのですね!」

「結婚とか誰も言って無いから! 血が繋がってるから結婚出来ないって言ってるだけだから!」


 どうしよう?

 勢いでこの場でツッコんでしまったが、ここの生徒。

 新入学生はこれを呆然と見いるが、それ以外の二年と三年は……。


「女神様のご神託じゃ!」

「アル様を女神様に供えることが出来れば、その者が勇者じゃ!」


 悪魔に魂でも売ったの?

 と思えるほどの信者の集まりだった。

 

 こらはさすがに、この国の権力者である王族にも、意見が言える強者の集団。

 教師の皆様が止めるだろうと……。


「「「「「…………………………」」」」」


 動きが無い。

 ただの役立たず(しかばね)のようだ。


「「「「「女神様(シルヴァーナ様)貢物(アルサス様)を! 新入生には去勢を!」」」」」

「物凄い理不尽! なんで学園に入学しただけで去勢されなきゃならないの! 物凄い勢いで貴族の数が減るよ!」


 僕のツッコミはスルーし、上級生の態度を当然のように受け入れる教師たち……。


「ここはどこの邪宗教集団だよ!」


 思わず吠える僕に、


「静粛に!」


  姉上の凛とした声が、戸惑う新入生に今にも襲いかかろうとしていた、上級生どもを踏み止まらせた。

 まあ、焚き付けたのは姉上(教祖様)なのだが……。


「すみません。私の言い方が雑過ぎました」


 ぺこりっと素直に頭を下げる姉上。

 それに対し、「我々愚鈍のモノに、頭を下げるなど恐れ多い!」とか、「私たちにお言葉を掛けて下さった!」とか、なんか物凄く過激信者みたいな言葉が行き交う。

 なんとか収拾させる気なのか? いやいや、姉上に限ってそんなことは…………。


「あらあら、勢い余ってとんだ失言をしてしまいました……。今のは無しで! 皆様の学園生活が良きものであることを願い、代表の挨拶とさせていただきます!」


 あれ?

 なんかあの姉上が、本当に事態を収拾させた?


 呆然と僕と新入生が見守る中、姉上は優雅なカテーシーで壇上を去った。

 なんとか無事? に入学式が終わったのか?


 なんてさすがに思えない。

 なぜなら、


「「「「「イエス! ユアマジェンダ!」


 姿勢を正し、訓練されたように声を合わせ、一糸乱れぬ行進で退出する上級生たち。

 その影で姉上の表情から、何かを読み取り数人が姿を消し。

 姉上の退場と共に、学園長が真っ青な顔で席を立ち、後を追ったからだ。

 それにしても……。


(姉上、なんで学園牛耳ってるの? 教師まで取り込んで一体どこに向かってるの!)


 そう、声を上げなかった自分を、物凄く褒めてあげたいと思った……。


再開記念。

風邪っぴきのお見舞い。

等々、ブクマ、評価にてお願いします。


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