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ついに姉弟喧嘩勃発!?

よろしくお願いします!

 さてその日の放課後。


 僕たちは先日、ポールと訓練ということになっているで使った、学生専用訓練場に来ていた。

 その訓練場の中心で、


「それでは始めましょう……あら? あらあら? なぜそちらにアルがいるのでしょうか?」


 扇子を片手に待ち受けていた姉上が、ブランド、モス、デイトと一緒にいる僕に疑問の声を上げた。


「え? だって、あの場所に僕も一緒にいましたよ? 彼らとは友達だし……とうぜんでしょ?」


 なんてすっとぼけた顔で答えた。

 もちろん。


「うえぇぇぇぇ!? なんで? なんで今回も私なんですか!?」


 審判のミル先生は、ホームルームが終わった時点で確保済みだ。


「え? え? 本当に……私が、アルと!?」


 そんあミル先生の泣き言を完全に無視し、いつもなら観戦を決め込む僕の参戦に、戸惑の声を上げる姉上。

 

 姉上がこの模擬戦をする意味は理解しているが……。

 僕だって、彼らに協力したいのだ。

 もちろん。


 別に姉上の模擬戦する意図にも、邪魔はしない。

 ただ、僕の持つ知識が、姉上にどれだけ通じるかも知りたいだけだ。

 当然、ブランドたちは知っていて、


「面白いなソレ!」


 ブランドは片手剣と胸鎧の軽装だが、僕の知る限り最高級の品質の装備をそろえ、


「天災とも呼ばれるシルヴァーナ様に、私とアルの知略がどこまで通じるか……興味深過ぎじゃないか!」


 モスは魔術師の杖と、マリアーナみたいにこれでもかと魔力回復薬をリュックに詰め込み、


「アルに鍛えられたこの必殺の一撃を試すのに、最高の相手じゃないか!」


 大剣と大盾を装備した、完全鎧に身を包むデイト。


 彼らは二つ返事で協力を約束してくれたのだ。


 そして、


「みんな! 私のためにがんば…………」


 呼ばれてもないのに、観客席で騒ぐアンネに、


「ぎゃふんっ!」


 どこからか飛んできドングリが額に命中。

 断末魔の声を上げ、彼女がくずおれた。

 まあ、死んではいない事を願おう。


 さらに僕は戸惑いを隠せない姉上を、落ち着かせる隙を与えず、


「ミル先生、開始の合図を!」


「もう私、知りませんから! 模擬戦開始!」


 模擬戦の開始を促した。


 さて、僕らの戦法がどこまで姉上に通じるか。

 思った以上に心を高揚させ、僕らの模擬戦(姉弟喧嘩)が開始された。



「作戦通り、デイトは前衛でブランドと僕は後衛。モス、この先の指示は任せた!」


 僕たちは午後の授業を全てさぼって考えた、対姉上用の布陣で出迎える。


「あらあら? 先頭がアルでないのなら、一人ずつ潰していけば、アルには……」


 心の声ダダ漏れの姉上が、気を取り直して扇子を上段に構え、大盾に身を隠すデイトに瞬時に肉薄。

 そこに、


「デイト! 僕が代わる!」


 僕は地面を蹴る……。

 振りをすると、


「え? アルが来るのですか?」


 うろたえた姉上の、振り下ろされようとした扇子がピタリと止まる。

 まあ、それでも生み出された風圧は濃縮された巨大ハリケーン級の威力で、


「ぐっ! ぬおぉぉぉぉぉぉ!」


「腰を低く! 盾をもっと突き出すように!」

「耐えろデイト! お前が耐えなければ、背後にいる民がどうなるか考えろ!」


 僕とモスの激に、気合一閃。


「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 デイトが姉上の一撃未満を防ぎ切った。


 エンペラーオーガ一〇体分の一撃をしのいだデイト。

 やはり彼は、防御が得意のようだ。


 さらに、


「僕は右から攻める!」

「え? アル!」

 デイトの背後から飛び出す僕を、視線で追い掛ける姉上に、


「下がれデイト! アイスニードル!」


 モスが姉上とデイトの間に、氷柱を乱射。

 次々地面に刺さる氷柱に、地面から砂埃が舞い上がる。


「あらあら? 何も見えませんわね?」


 姉上の視界を遮った所で、


「もらった!」


 モスの魔法と()を使って身を隠し、姉上の背後から奇襲するブランド。

 その一撃を、


「あらあら?」


 ブランドには意識も向けず、姉上は見えないはずなのに、僕に視線を向けたまま扇子で彼の一撃を受け止め、

 さらに、


「えい!」

「ぐわぁ!」


 可愛い掛け声とともに、そのままブランドを吹き飛ばした。


 苦痛の声を上げたブランドは、そのまま一直線に訓練場の壁に激突するかに思えたが、


「まだまだこれぐらいじゃ!」


 空中で器用に体を入れ替え、壁に着地すると、


「とりゃ!」


 この前二人で考えた、飛躍の魔方陣を壁に激突する前に展開。

 壁を蹴り上げるようにして、再び姉上の元に、

 刹那。


「ダメだブランド!」


 モスの声に反応し、地面を剣で突き差して急停止した。

 なぜならブランドの目前には、


「あらあら? 少しは出来そうですわね?」


 彼にカウンターを食らわせようと身構える姉上の姿。

 刹那。


「今だデイト!」

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」


 隙をついて、デイトが大盾ごと姉上に突っ込む。

 だが、


「ていっ!」


 姉上の扇子が一閃。


「ぬおぉぉぉぉぉぉぉ!」


 その一撃で、デイトが地面を転げまわった。


 そんな状況下で、


「はぁ。はぁ。さすがはアルの姉上殿。だが、勝負はこれからだ!」


 扇子一つで、重歩兵並みのデイトを吹き飛ばす姉上を見ても、怯まず斬り込んでいくブランドと、


「そこはシルヴァーナ様の射程距離です! ブリザード! 三歩下がって! アースシェイク! そう! そこから仕切り直しを!」


 僕が教えて無いのに、姉上の間合いを把握し、なおかつ援護魔法を飛ばすモスと、


「ぐぬうう! まだまだ!」


 泥だらけのまま立ち上がり、闘志をみなぎらせ牽制を掛けるデイト。


 僕もフォローしていて、姉上も本気じゃないけど、


「「「まだまだあぁぁぁぁぁ!」」」


 攻めの姿勢を崩さない三人に、


「そこまで! シルヴァーナ様との模擬戦に、三分持ち堪えられましたので勝負終了、彼らに一等騎士の称号を!」


 ミル先生の宣言が響いた。

あれ?

それほど姉弟喧嘩じゃなかった?


とにもかくにも、

ブクマ、感想、評価は、作者のやる気MAXオ〇ックスにつながります!

よろしくお願いします!

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