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今日は短いです。
なぜなら酔っぱらっちゃから!
なので(ないがなのでかは知らないが)
よろしくお願いします!
その日の放課後。
僕たちは学生専用訓練場に来ていた。
民家なら軽く一〇棟は入るグラウンドは、対魔法、耐衝撃の魔法が一〇数枚も重ね掛けされている半球状の壁にすっぽり囲まれており、創設当初は、
『これを壊せし者、人にあらず、神でも悪魔でも、即卒業』
などと、毎年現れる実力者の挑戦を跳ね返してきた事で話題だったそうだ。
まあ、その伝説も去年までで……。
今年は……ねえ。
僕と食事をする席を巡って……約二人の人物がやらかしまして……。
伝説を破られたのと修繕費のダブルパンチを食らった学園長が、泣く泣く卒業証書を渡したとかなんとか……。
それなのに、
『あらあら? 私、まだアルがいるから卒業しませんわよ?』
『右に同じじゃ』
なんて言って、学園長をさらに号泣させたのは記憶に新しい。
とにかく、そこらへんにいる勇者程度なら、傷一つ付かない場所なのだ!
僕が少々暴れるぐらいなら大丈夫なはずだ。
「え~。これより、ポール様とアルサス君の模擬線を始めます。立ち合い人はわたくしナミが務めさせていただきます……本当は嫌だけど! なんで今日に限って早く帰らなかったの私!」
過去の自分に文句を言ってるミル先生を無視し、僕は鞘からシャラン! っと剣を抜き放ち、
「古の契約に基づき、我に力を貸せ!」
ポールがサラマンダーを召喚させた。
奴との距離はおよそ一〇メートル。
剣が届くより先に相手は魔法撃ち放題な距離。
「まあ、蹴り足一本と、右手一本で済むかな?」
なんて、呟く僕の耳朶に、
「ぎゃはははは! なに呟いてんだ? もしかしてビビっちゃった? 大丈夫。安心しろ。手足を消し炭にしても殺しゃ~しね~よ。だって、身動きできね~お前の目の前で、お前のね~ちゃんヒーヒー言わせる楽しみ、なくなっちまうからな~」
何とも三下の悪役っぽいセリフを、楽しそうに叫ぶポール。
でも……。
どうやら持ってる回復薬の半分は使いそうだ。
「勝負のルールは魔法や武器、何を使っても自由。でも相手に致命傷を負わせないこと。本当はケガもダメなんだけど……」
ミル先生がちらりと後ろに視線を向けると、
「ごくごく!」
軽快な音とともに、魔力回復薬を飲み干すマリアーナがVサインを送る。
「と、とにかく。おおごとにしないでね? 本当に給料減らされちゃうんだからあぁぁぁぁぁ!」
訓練所の中心でミル先生叫ぶ。
今更ながら、『これって完全に国際問題じゃね?』っと思うのだが、この大陸では精霊は神と同等に尊い者とされているので、彼らの認めた勝負はよほどのことがない限り神聖で不可侵とされている。
王族を巻き込んでる時点で、本当は大事なのだが……。
まあ、それでシルバニアを訴えると、この国が舐められちゃうって政治的観点である。
ぶっちゃけて言うと、騒いでセツナの恥を大陸全土に知られたうえに、勝負の正当性を通されて最悪の場合、姉上まで取られるなんて大惨事にさせないためだ。
「いいですか! 本当にやりすぎないように……はじめ!」
なぜか僕を睨みつけるようにしながら、ミナ先生が開始の合図を送るのだった。
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