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今日も何とかパソコンが立ち上がった!
でも、いつまた ぶつりっ! っと落ちるか分からないので、
更新は予約しときます。
午前の授業が終わり。
まあ、いつものことながら、彼らの登場で授業の内容なんて頭に入ってこなかったけど。
とにかく、セツナの暴言を、なんとか穏便にフォローしようとする僕は、
「あれ? ラインハルト様じゃないですか!」
唯一僕らに絡んでこなかった、ロンギヌス近衛騎士、通称赤兜を両脇に従えた教皇ラインハルトを食堂前の廊下で捕まえた。
『学園内なのに護衛?』
そう言うなかれ、良くも悪くもロンギヌスには他国の法律は適用されない。
それほど大陸に影響力を持つ国なのだ。
それに、ロンギヌスが誇る赤兜は、一人でワイバーンを倒すぐらいの腕を持っているのに、とっても品行方正って噂だ。
無暗に他国でもめ事を起こすことはないだろう。
多分。
「これはこれは、他国で勇者との噂のアルサス様ではないですか!」
そんな僕を見て、躊躇なく両手を広げて歓迎のポーズをとるラインハルトに、いきなり喧嘩を売られた。
どっちかというと待ち伏せされてたのは、僕のほうだろうか?
ちなみに彼の言葉の裏の意味は、
『他国では勇者とか言われて浮かれてんだろうけど、俺の国ではお前が勇者なんて認めてないからな!』
って意味だ。
いつも、いろんな意味で欲望丸出しの仲間? に囲まれているので忘れてたが、僕らの会話なんてこんなもんだ。
なので戸惑ったのは一瞬。
すぐに立ち直った僕は、
「いや~そういえばロンギヌスは、古来より他国に惑わされない独自の文化をお持ちの歴史深いお国柄でしたね?」
(そういえばお前の国の重鎮。頭の固いジジイばっかだったな?)
笑顔でそう返すが、さすが若くして教皇となったラインハルト。
彼も笑みをたたえたまま微動だにしない。
まあ、護衛のほうはそうもいかないみたいで。
「貴様! 偽勇者の分際で、我が教皇様に…………」
怒りを露わにする赤兜が、腰の剣を引き抜こうとして、
「あらあら? ここは学び舎。知識を増やしても、血の気を増やすところではありませんわ!」
そう言って『私、うまいこと言った!』っとドヤ顔で赤兜の背後に現れる姉上。
ちなみにラインハルトの両脇の赤兜の一人は、手にかけた剣を根元の所でポッキリ折られ、もう一人は仰向けで完全に意識がない。
「いやいや姉上。これ完全にやりすぎだから! セツナの暴言をとりなそうとした意味ないから!」
そう思う僕なのだが、
「これはこれは勇者シルヴァーナ様。ご挨拶が遅れました。わたくしは現在ロンギヌスを統括している者の一人。ラインハルト申します。以後お見知りおきを」
ラインハルトは何事も無かったかのように、姉上に膝を折る。
騎士の命である剣を折られて呆然としている者や、兜から泡が噴き出てる護衛はスルーなのか?
そんなツッコみが出来ないほど優雅だった。
だけど、
「あらあらアル! こんなところで出会えるなんて予定通りですわ! これはもう運命以外の何物でもありません! ここはけっ…………」
ラインハルトを完全にスルーして、嬉しそうに僕に駆け寄る。
ついに偶然を装うことさえしなくなったのは、
やはり僕の姉上だった。
「はいはい。さっきから僕の背後にいて何が運命なんですか? それに何度も言ってますが、姉弟じゃ結婚できませんから!」
僕は姉上の暴走を強制的に止め、なんとか穏便に話し合おうと彼を伺い見るが、
「あはははは! さすがは私が、私の国が認めた勇者様だ。アルサス様、まずは試すようなことを言った事と近衛の無作法の謝罪を、謝罪を受け取っていただけるのなら、厚顔で済まないが、ぜひあなたの姉上を紹介していただきたい」
そういいながら立ち上がり、僕に深々と頭を下げるラインハルト。
「え? なにそれ? 物凄く紳士っぽいんだけど!?」
思わず混乱してつぶやいた僕を許してほしい。
だって、
まずは肉親や知人から紹介されなければ、他国の婦女子に軽々しく声をかけてはいけない。
なんて貴族の暗黙のルール、今まで僕だって忘れてたんだから!
それに、どう考えても僕より身分の上の者が、自分の過失を認めて頭を下げるなんて…………。
この学園に入学してからされたことがない!
「な……なんて紳士なんだあぁぁぁぁぁぁ!」
僕の中で、彼の印象が竜の滝登りのように上がっていく裏側で、まさかあんな事態になっていたとは……。
この時の僕は知る由もなかった…………。
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