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今日からは通常通り、

よろしくお願いします!

「あなた。王族に復帰できたからって……。おいたはいけませんわよ?」


 姉上の笑みに、どうやら色々後ろ暗いセツナは、真っ青を通り超して今にも塵あくたになって存在自体を消しそうなほどうろたえる。


 もちろん。

 僕もある程度の情報は掴んでいる。

 セツナは王族の権威を(タリスマン家の後押しのおかげで!)復活できてすぐ、タリスマン家の周りの貴族に連絡を取り、我が領への経済制裁を持ちかけた。


 まあ、普通なら王族の指示の元、それは実行されるはずなのだが……。


「タリスマン家(姉上)にちょっかいだそうって貴族。もうこの国にいる訳ないのに……」


 それで姉上が怒っているのだと、僕は思っていたのだが……。


「あなた……私の愛して愛して愛して止まない、私の! 愛弟の! 体に触れる、いえ、抱きしめられたのですよ! これは由々しき事態ですわ!」


「え? え? それいつの話? まったく記憶にないんですけど!? しかも王国の情勢とかまったく関係の無いこと!」


 物凄くどうでもいい事って、記憶に残らないよね?

 ホントにいつ?

 どこで?

 何をセツナとしたと?


 僕の記憶に残らない事なのに、


「わ、私だって、アルの胸に飛び込めるのは、深夜コッソリ男子寮に入り、熟睡している時にしか抱きしめてもらえませんのに!」

「姉上? それってほぼ毎晩ですよね? 今朝も姉上、僕の腕ホールドして寝てますよね?」


 胸元で握り拳を作り、滝のような涙を流していた姉上にツッコミを入れるのだが、


「おろおろ? 婚約者のわっちを差し置いて……。もう。この国自体を潰すかのう?」


 なぜかヒルダにも飛び火してしまった!


「わっちだって、わっちだって! まだ手すらも……」


 涙ぐむヒルダが無差別に魔法を乱射。

 なのだが、


「え? ええ!! なんで俺ばかり!?」


 涙で前が見えないにもかかわらず、ヒルダの放った魔法は正確無比にセツナに向かって牙を向く。


 きっと、思いは(憎しみは)視界を超越するのだろう。


 そんなヒルダの魔法から逃げまくるセツナを横目に、


「あらあら、物語のクライマックスらしくなって来たではありませんか!」


 氷球が砕いた床が砕け、ダイアモンドダストと共に舞い上がり、


 岩生も溶かす剛炎の炎が天を焦がす。


 そんな地獄絵図とも思える学園の屋上で、心底楽しそうに、かつ高らかといつの間にか持っていた木剣(もちろんタダの木剣ではなく、鋼より硬いと言われる人類創世以前から存在して言うと言われる、聖樹の枝から削り出したモノ)を、モーリーに向けて放つ!

 が、


「え? ええ!」


 姉上の一撃が、いや、目の前に現れたことにさえ気付けず、呆然と立ち尽くすモーリーの頭上に、


「あら? あらあら?」


 どこかわざとらしさを感じる斬撃は、モーリーの頭上をかすめ、


 ヒルダの放った氷球を器用に弾き、


「ぎゃふん!」


 セツナのこめかみに直撃させた。


 さらに、


「あらあら? 不運菌のせいで、足が、腕が勝手に!」


 氷球が直撃し、地面で悶絶しているセツナに、姉上がしっかりした足取りで振るった木剣が、


「ふぎゃ! ごへっ! うごっ!」


 屋上の床である石材ごとセツナを吹き飛ばし、再び床に叩きつけ、さらに突き上げた。

 しかも吹き飛ばされた先には、ヒルダの放った魔法が直撃するコースに狙い澄ましてだ。


「いやいや、ホントにセツナ死んじゃ……」


「マリアーナ!」

「はい! ぐびぐびっ! エクストラハイヒール! さらにスーパーゴージャスデリシャスハイパーシールド! これでお姉様の手加減した一撃は、死ぬほど痛いけど防御魔法に阻まれ、二撃目はかろうじて生きてる感じになるはずです! ぐびぐびっ!」


「え? なに? マリアーナって、いつに間に姉上の下僕になったの!?」


 彼女の従順ぶりに思わず声を上げるが、


「…………アルサス様。世の中、強力で抵抗しきれないほどの長い物には、巻かれないと……ただの聖女なんて即死しちゃうんですよ?」


 勇者と並びこの世界に一人しかいない、貴重な人物(聖女)が、瞳から光を消し淡々と答えた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

お年玉ブクマ、ありがとうございます!

これからは通常投稿ですが、(別にまったく特別なことはしてませんでしたが)


「岸根にお年玉あげ損ねちゃったな」


なんてかたがおりましたら、

ブクマ、評価、感想、

作者にはなんでもお年玉になりますので、

よろしくお願いします!

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