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新春二日目で、もう四天王編の大詰め。
あいかわらずペースが悪いですが、よろしくお願いします。
「セツナ!」
精鋭魔術師たちが吹き飛び、まさに渦中のセツナは立ち込める爆炎で良く見えない。
大氣を震わせ、屋上の床が四散するほどの爆発。
これは……。
多分……。
きっと……。
「うわ。仮にも王族が死ぬと、それを見てたってだけで、後々面倒なんだよな……」
思わず心の声を吐露してしまった僕の視線の先に、
「ふはははははは! 俺の愛は不変だ!」
あれだけの攻撃に、まったく無傷に見えるセツナの姿。
だが、
「あらあら?」
「おろおろ?」
姉上とヒルダ二人のとても楽しそうな視線の先、セツナの背からは、
ぶおっ!
火球の火がハッピーハッピに燃え移った炎が、高々と舞い上がっていたのだ。
「おわ! あつつつつつつ!」
背後の熱風とで、反射的に地面に転がり、延焼を防いだセツナ。
だが、
「はあはあ、あつっ! 死ぬかと……ふはははは! ほら見ろ! 火球など、このハッピーハッピが防いでくれたわ!」
あまり懲りて無いようだ。
さらに、
「いやいや、防がれてないだろ? なんであの火球の爆発で生きてたのは不思議だが、明らかにそのハッピが燃えたよね? お前の火傷、それが原因だよね?」
そんな僕の声を振り払い、
「ふははは! 今度は俺から行くぞ!」
モーリーに向い『金のなる木』っと彫られた木刀を振り上げ走る。
「ぐぬぬぬぬぬ! ならばこれでどうであ~る!」
モーリーが放った無数の氷柱が、大氣を切裂きセツナを襲う。
これも一応、絶体絶命のピンチなのだが?
「無駄無駄! 俺の愛はむてきだぁぁぁぁ……あれ?」
何も無い場所で、セツナが足をもつらせ転がった。
ヒュンッ!
その頭上で、虚しく空を切りながら通り過ぎる氷柱たち。
「いだだだだだ……ど、どうだ! このフォーチュンハットのおかげで、お前の魔法なんて効きはしない!」
転んだ拍子に打ち付けた後頭部を押さえながら、立ち上がるセツナ。
まあ、フォーチュンハットは氷柱でズタボロになり、
ついでにセツナの髪を、毛根ごと削り取っていったのだが……。
「うん? これって不幸なの? 幸運なの?」
モーリーの攻撃を、自爆しながらかわすセツナの姿に疑問を覚えるのだが、
「ふはははは! 俺とミナの愛は無敵なのだ!」
まあ不幸な人間が良いなら、それでいい…………のか?
とにもかくにも、盛大に自爆しながらもモーリーの攻撃をかわし、彼女の目前まで来たセツナ。
さすがに最終局面だと、固唾をのんで見守る僕に、
「あらあらご苦労様」
今まで静観していた姉上の声が響いた。
「さあ、これからは私の出番ですわ!」
モーリーとセツナの間に、自信満々の笑みを讃えた姉上が現れたのだ。
「四天王モーリー! 覚悟して下さい!」
「お前! ここは俺がミナの力を借りて四天王を倒すサクセスストーリーだろ!? これは俺に譲るば……」
「えい!」
セツナの罵声は、姉上がモーリーに向かって攻撃した。
っと思われる鉄扇の一撃で吹き飛ばされ中断した。
「あらあら? 私の狙いを外させるなんて……さすがは不運菌だわ!」
「うん。姉上、ちゃんと横目で確認して、狙い澄まして鉄扇振り下ろしましたよね? 完全にセツナの後頭部狙ってましたよね?」
「あらあら? なんのことかしら?」
僕のツッコミを意外にも、
「うん! 我の不運菌は、きゃつを転ばす程度……あんな……むごい……わ、私、こんな不運なんてばら撒いてないから!」
素に戻ったと思われるモーリーが、青ざめた顔色で首を高速で横に振るのだが、
「あらあら? それではこれではどうですか!」
モーリーに狙いを定めた鉄扇の一閃は、
「あら?」
「ぎゃ!」
不自然な軌道を描いて、地面を転がるセツナの臀部を直撃。
「あらあら? また不運菌が……」
「ぐぬぬぬぬ。違うだろ! お前、ワザと俺を攻撃してるよな? いったい何の恨みが……」
「……マリアーナ」
「グビグビ! はいただいま!」
セツナの罵倒を無視し、たった一言でマリアーナを走らす姉上。
驚異の回復力(マリアーナの回復呪文のおかげ)で、姉上の一撃を受けても立ち上がるまで回復したセツナを見下ろすように、
「あらあら? 私が何も知らないとでも思っているのですか?」
ブリザードのごとき、姉上の冷笑がセツナを貫いた!
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