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明けましておめでとうざいます!
後書きに続く。
屋上という、開放感あふれる空間で、僕らが見たものは!
冒険者が良く使う簡易テントに、
落下防止の格子に張られたロープに均等に干され、
風にそよめく洗濯物。
さらに、
洗濯もの隣には、出所も知りたくない怪しい色した肉? が干されていた。
そんな路上生活感有り余る場所に、呆然としていた僕らに、
「ふっ。とうとうここを嗅ぎ付けられてしまったであ~る!」
僕らの気配を察したのか大量のピーナッツの殻を服に付けた、魔王軍最後の四天王、モーリーが現れた!
…………うん。
「ないわ~。どんなに煽っても、この登場の仕方はないわ~~」
だって彼女の姿は……。
くたびれたズボンは履いて、
羽織っているシャツもシワシワだし、
足元はサンダルだし……。
どうやら四天王様は、この敵地で、相当くつろいでいたようだ。
魔王軍最後の四天王としては、堂々としているってことなのか?
「まあ、それでも、最後の戦いだか…………」
なんとかやる気を出そうとした僕の声を遮って、
「うおぉぉぉぉぉ! これが俺の幸せだ!」
強敵であるはずの四天王を待たせて、でも、セツナのその姿に、またも呆然としてしまった。
だってだって、
「ふっ。驚いたか四天王モーリー! 不運菌をばらまくきさま相手に普通の鎧や剣はいらぬ! そう! 不運には幸運なのだ!」
ジャラリと、重たそうな一歩足を前に出すセツナ。
それと同時に、高らかに声があっがった!
「ええ! 王都から離れて五日間。私は各地を巡り、ありとあらゆる幸福を集めるグッズ……アイテムを手に入れたわ! その集大成が、今の彼よ!」
セツナにかぶるように前に出て、ぐっと握ったその手にある、アルタイル名物『ブラッディ―ボアの串焼き』を頬張るドヤ顔のミナ。
「いや~~。かなり強行軍だったから、私も疲労困憊よ!」
そのわりに、なんだかストレスフリーな清々しい表情で、つやつやした肌とほのかにふくよかになったお腹周りは、僕の目の錯覚か?
それよりなにより、今のセツナの姿は、
「ふんっ! ようやく気付いたか! この身に纏いし鎧は、極寒の北の大地で鍛えられた絹をふんだんに使った『ハッピーハッピ』! 頭部を守るのは寒暖の激しい西の大地で育まれた麦わら帽子『フォーチュンハット』! さらに腰にはテンション上げ上げの『ヒップホップ』! 追加で両腕に『コテコテ』と、南に伝わる『幸運が溜まるブタさん貯金箱』まで装備! これをミナが俺のために集めてくれたのだ! それに勝る不運などあるはずないだろ!」
満面の笑みで力説するセツナ。
だがセツナよ。
お前が最後に掲げた『幸運が溜まるブタさん貯金箱』の口からはみ出てるのって、領収書の束じゃね?
そんな僕の杞憂を吹き飛ばした、
「愛があれば何でもできる! 元気ですか!」
セツナの咆哮。
それに対し、この茶番をするためだけに、ず~~~~っとまたされてたモーリーは、
「王族であるあんたの泣きっ面見ようと待ってたのであ~るが、なんであ~るか! その空元気!」
かなりイライラが積もってたのだろう。
予告も無しにセツナにかざした手から、無数の火球を放った。
不意をつかれ僕らの反応も遅れてしまう、絶体絶命のピンチなのだが、
「だがしかし! すでに最大級の幸運を手に入れた俺は……無敵だ! しかも! 我が王国精鋭の魔術師部隊を連れて来たのだ」
いつの間に揃えたのか?
王国が誇る精鋭魔術師部隊が、セツナの背後に展開。
「それ! やっちまえ!」
「「「「「は!」」」」
魔術師たちがセツナの背後から、辺りを埋め尽くすほどの火球を放った………………のだが、
当然、多数の火球で大氣も熱せられるのであって、
「あらあら、ちょっと熱いわね。汗をかいて汗臭くなったら、アルにきらわれてしまいますわ!」
なんて言って、姉上がやや強めに扇を扇いだ。
ただそれだけなのだが、
「え?」
その風に煽られ、双方が放った火球が、なぜか全てセツナの足元へ…………。
ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉん!
大気を震わせる、大爆発が起こったのだった!
最後までお読みいただきありがとうございます!
改めまして、
明けましておめでとうございます!
今年も?
今年は?
皆様に良い年でありますように!




