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鍛冶屋ってハゲなイメージがある四話

 学校を終え、家に速攻で帰ってきた俺は、早速ゲームにとりかかる……わけではなく、


「宿題を終わらせないとやばい」


 昨日は早めに学校が終わったこともあって、宿題の量が多くて、辛い思いをしたため、今日は早めにやっている。


 いや、今日も宿題が多いというわけじゃないんだけど、宿題が残っているというままの状態でゲームしたくないからなぁ、って感じ。


 そうして高速で終わらせ、俺はゲームをやる準備を丁寧に終わらせ、


「っしゃ!」


 ダイブギアを被った。











『準備を損なうのは、命を損なうことと同義である』










 慣れないログイン時の地面の感触によろめきながら、ゲームをしているという事実を再確認する。


 当然ながら、デスペナは過ぎているため、自由にプレイ出来る。


 そのため、俺は真っ先にクエストが受注できる場所……掲示板に、


「ごめんください武器見たいです!」


 行かなかった。


 適当なクエストでも出来るだろうと高を括っていたわけだけど、無理だということが判明したので、俺は速攻で掲示板とは違うビル……オフィスthe装備に来た。


「どうしたんだ?」


 俺がビルに入って武器コーナーに言ってから速攻話しかけたのは、いかにもな感じの厳ついおっちゃん。


「いや、この世界だと武器って色々あるから、実際に聞いた方が早いと思って……って、店員さんじゃないんですね」


 目の前にいるおっちゃんの頭上にはプレイヤーであることを示す緑色のアイコンが表示されている。


「あぁ、そうだ。

 所で、自分で武器を選ばないのか?」


「……多分この中から選ぶのもいいんですけど、きっと教えて貰った方がいいと思います」


「ほぅ……あんた、いい勘してるね」


 いや、なんか前世の記憶的に自分の判断だけでの武器選びは大抵不幸な目に会うのが相場だということが記憶にあったからなんですよ……。


 とは言えず、なんか妙に深読みしているおっちゃんに俺は苦笑いをする。


「古代系の武器でいなければ、基本的には聞くのが一番だと思う」


「あ、ちなみに持ち武器は、これです」


 俺は腰のホルダーから拳銃を取り出し、見せる。


「…………なかなか使い込んでいるな」


「え、えぇ、これで昨日クエスト受けたら、失敗しちゃって……」


 すると、厳ついおっちゃんは、豪快に笑う。


 俺はいきなり笑ったことに動揺する。


「……あぁ、すまない、自己紹介がまだだったな」


 厳ついおっちゃんは、笑い終わった後、手を差し出しながら、


「俺の名はジカ。

 近代系の鍛冶プレイヤーだ」


「諏訪です。

 昨日始めたばかりです」


「昨日始めたばかりなのに、失敗したのか?」


「いやー、条件悪い初心者クエスト踏んじゃって……」


「あー、それは難儀だったな、駆除系だろ?」


「え、なんで分かるんですか?」


「いやなに、初心者が引っかかるクエストなんて、それくらいしかないからだよ」


 見たところあんたソロプレイっぽいしな、と付け加えたジカは、その禿げ上がった頭を一撫でし、


「それで、あんたはさしずめ、装備を整えよう、って感じだな」


「あ、はい、それでこのビルに入ったら、ジカさんがいたから……」


「……自分で言うのもなんだが、話しかけづらい見た目をしているつもりだが?」


 いや、あんたくらいで怖い言ってたら、前世記憶の人達を目の前にしたら、穴という穴から何かを吹き出さないと行けなくなるぞ、とは言えず、


「気にしないタイプなんで」


 ……そうか、と済ませてくれたジカさんにホッとしつつも、


「それで、ジカさんは近代系の鍛冶プレイヤーなんですか?」


 近代系、それは武器の種類を表す言葉である。


 武器には三種の大まかな種類があって、古代系、中世系、近代系の3つがある。


 基本的には三すくみの状態になっていて、


 古代は中世系に強く、

 中世系は近代系に強く、

 近代系は古代系に強い、


 といった状況がある。


「あぁ。

 本当は中世系をやろうと思ったんだけど、人が多くてね……」


 鍛冶プレイヤーは、基本的には三すくみの内のどれかに属する必要がある。


 それで、よくあるファンタジー系の武器……剣や盾、杖などは基本的には中世系なので、必然的に中世系の鍛冶プレイヤーは多く、色々と大変らしい。


「それで近代系の鍛冶プレイヤーやれるもんなんてすか?」


 よくも悪くも、【クエスター】はリアル重視なので、リアルの知識などが求められる場面は、鍛冶プレイヤーだと多いと聞く。


「今の時代、調べればなんでもわかるからな」


 あ、そっか、みんな調べるのか。


 俺は前世の記憶から、近代系の武器全部についての知識はもっていると思うので、調べるという発想がなかった。


「こんなところで立ち話は辞めて、そこら辺にあるベンチで話さないか?」


「あ、はい」


 ビルは10数階あるらしく、鍛冶プレイヤーが貸店舗を借りて売っているらしい。


 しかし、5階までは運営の管理するスペースらしく、鍛冶プレイヤーがそこで売り物を売ることは出来ないと言われている。


 そうして、ジカさんに連れられるまま、ベンチに座る。


 ……正直、隣に座ると威圧感があるせいで余計にベンチが狭く感じる。


「じゃあ、あんたの武器に必要な条件を教えてくれ」


「…………ん? いきなりどうした?」


「……お前は化ける可能性があると俺は見たから、無料で武器、一つやるよ」


 いきなりの話に脳がついていけないが、詰まるところ、


「詐欺?」


「人の親切を詐欺にするな」


「あとから高額請求……」


「……まぁ、壊したら修理代は貰うな」


 俺が会心の劇画調顔面をし、ジカさんを笑わせた所で、


「それで、俺に武器を無料でくれる、でしたっけ?」


「そうだ。

 あんまり裏がありそうだと思われると面倒だから言っておくが、根拠はある」


 ジカさんが俺の顔を見て、真面目な顔をする。


 もし3年前とかだったら、俺が前世持ちだと言うことがバレる?! なんて馬鹿なことを考えていたが、今では純粋に疑問が湧いてでる。


「まず、武器の使用感。

 鍛冶プレイヤーは、武器を見るだけで善し悪しが分かる、と言うが、正確には武器の使用ログが見える」


 え、じゃあ鍛冶プレイヤーだと一発で武器の隠し性能とかわかるわけ? と考えたが、鍛冶プレイヤーは俺みたいな討伐プレイヤーとは違い、武器を装備できない。


 なので、間違っても鍛冶プレイヤーとは対戦にならない、ということを思い出し、1人で自己完結した。


「それで、その初心者用の銃は、近代系の武器の中でも割と癖が強い。

 初心者に扱いが難しいものを渡して、後から楽をさせるためだな。

 なのに、お前と来たら、最近の使用ログを見ると、あのフォレストボアに50パーセントを超えて当ててるじゃないか。

 それにフレームにも損傷が見える。

 初心者用の銃だったから良かったのものの、ほかの生半可な銃だったら速攻ぶっ壊れるぞ。

 それに、使った弾は支給品の弾ときた。

 基本的に近代系の武器は精密性の高さを求められる。

 なのに、支給品の最低品質しかない銃弾しか使っていない。

 ほんと、馬鹿みたいな使用ログだけど、それが逆に面白い」


 長いなぁ、と月並みな感想を抱きながら聞いている。


 とりあえず、当てている確率が高いのは、とにかく最後のフォレストボアの数が多かったから。


 それに、一発一発をほぼゼロ距離で当てていたから、外すも何もないと思うな。


 使用ログだからそこら辺はわからないのか、と心の中に留めておく。


 …………いやだって、そこで否定したら武器作ってくれないかもしれないじゃん。


「とまぁ、お前は近代系の普通のプレイヤーとどこか違う気がしたから、今のうちに唾をつけておきたい」


「ストレートですねぇ」


 厳つい顔にも関わらず、眩しい笑顔を向けるジカさんに、なんだか騙しているような罪悪感を感じていると、


「じゃあ、この中から選んでくれ」


 俺の目の前にウィンドウが出てきて、その中には幾つかの銃が表示された。

長くなると見たので分割します

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