表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/36

割とさらっと始まる一話

割とさらっと色々やります。

 突然だが、俺には前世の記憶がある。


 当然だが、こんなことを言われたら、きっとそいつはやばいやつ、と思われるだろう。


 勿論、この話において俺は嘘偽りなく、前世の記憶を持っている。


 偶然、俺の中にスルッと入った記憶は、妙に現実感があり、その中で俺は俺ではない誰かを、自分だと思っていた……。



 あ、急にポエミーになると自分でも何言ってんの? って感じなので辞めておきます。


「っと、これでいいのか?」


 今、俺は普通のヘルメットよりも少し小さいヘルメットを持っている。


 これはダイブギアと言って、俺が絶賛前世の記憶について色々な黒歴史があった時に発売されたものだ。


 小難しい話を抜きにして説明すると、これは現実と変わりない感覚でゲームをできるものだという。


 細かいことは一介の高校2年の俺には分からないので、とりあえず説明書を読みながら起動してみる。


 起動してからは簡単で、諸々の細かい設定を自動でやってもらい、後はゲームをするのみ、という感じだ。


 それに反して、このゲーム、本人の証明やら何やらの事前準備が死ぬほど面倒なのだが……。


「簡単だけど本当にこれでいいんか?」


 簡単に終わったその設定に不安になる。

 が、最新機器に俺の前世の記憶が役に立つわけはない。


 それでも、悩んでいても仕方ないということは、この総計100年を迎える俺の人生経験(仮)がとっくに悟ってしまったことなので、装着する。



 ゲームを始める前の諸注意が表示される。


 俺はその全てを確認したあと、ゆっくりと目をつぶった。


 そうして、前世の記憶を持ち、散々な黒歴史を生み出した俺は、今話題のゲーム……【クエスター】をプレイするのであった。









『謝ることで誤ることは、たくさんある』









「っと」


 少し長めのチュートリアルを終え、俺は地面に降り立つ。


 だけど、自分の体は未だにベットの上に寝転がっているんだよなぁ……。


 そうして周りを見渡すと、自分がよく知っている風景が広がっていた。


 普通中世!って感じじゃないのか?


 初めてプレイしたゲームだし、説明も禄に読んでいなかったのでよく分からなったため、心の中でツッコミをしてしまう。



【クエスター】



 シンプルな名前だが、今最高峰の人気を誇るダイブギアゲーム。


 内容としては至ってシンプル。


 クエストをこなす、それだけ。


 単純なものから複雑なものまであるクエストは全てを網羅した人物はいないと言われるほどに膨大な量らしい。


 ここまで聞くと、ライトなノベルを読んだことのある人間なら、木造、レンガ積み、皮の服といった中世の世界観を思い浮かべるが、ここは違う。



 只の都会のビル街だ。



 歩道と車道があり、街路樹が一定間隔で並び、太陽を隠さんとばかりに高いビルが乱立している、都会だ。



「あ、初心者さんですか?」

「あ、えぇ、そうですけど……」

「なら!是非うちの【アウル】に入ってみませんか?!」


 それだとこのゲームでクエストをこなすことができるのか? と疑問に思うだろう。

 だが、それは今話しかけてきた人の服装を見ると、そんな疑問も解決する。



 顔まで覆うフルフェイスメイル。


 背負っているのは、その人の身長を超えるであろう大剣。



 そう、正にこの彼の服装こそ、中世! という感じである。



「あ、自分そういう気はありませんので……」


 そうですか……、と露骨に落ち込む彼を尻目に、俺はクエストを受けるための場所を目指す。






 チュートリアルを基にマップを見ながら、俺は目的の場所であるビルまでたどり着く。


 いや、ほぼほぼここら辺ビルしかないけど……。


 本当は頭の中では中世の世界観を想像していたため、肩透かしを食らった気分だ。


 それでも、下手に見慣れない景色よりかは、余計に見なれているせいで、気負うことなく中に入る。


 そこで見えるのは、人が豆粒に感じるほどの"板"。


 そこかしこにベタベタと紙が貼ってある。


 見上げても全容が分からないそんな代物に、俺は唖然とする。


 しばらく辺りを見渡していると、"板"の前には色々な服装をした沢山のプレイヤーが手元に半透明の板……ウィンドウを出していた。


 かと思えば、その姿を消したりといった不思議な光景に、俺は近づいていく。


「あれが【クエストボード】か……」


 【クエストボード】の目の前にたどり着くと、不意に俺の手元にウィンドウが現れる。


 そこには、新着のクエスト、人気のクエスト、検索、といった欄があり、ここからクエストを選択することが分かる。


「ビギナー用……と」


 検索欄で条件検索をすると、ずらりとクエストが並んでいく。


 俺はしばらくは真剣に見ていたが、ページ数の多さに驚き、


「これでいいや」


 【害獣駆除】の依頼を選んだ。


 依頼受注を選択すると、


 【準備が終わったらこの場所ではい、を選択してください】


 という表示が出る。


 俺はチュートリアルの時に渡された武器と防具……チノパンにTシャツ、さらに【初心者用の拳銃】のままで大丈夫だろうと、そのまま【はい】を押した。



 いやまぁ、正直この後にがっつり後悔することになるから、ここで反省のために、クエストのしておく。


【クエスト名 猪突進祭り!

 ジャンル 駆除

 クエスト内容 対象モンスター……フォレストボアの一定数討伐(20匹)

 難易度 二

 推奨武器 斬撃系武器

 推奨属性 風

 人数 最大四人

 フィールド サンキ村

 備考 

 サンキ村の近くに、フォレストボアが大量発生した!

 村の住人が出稼ぎで出払ってしまったため、残りの住人では対処できない……】


 人数が最大四人だったら四人で行くのが普通だ。


 難易度は初心者だったら一が普通だ。


 しかも、銃でやる気満々だった。


 それに、属性を持った武器も持ってない。


 波乱で始まる俺のこの【クエスター】


 ここでは一人の前世持ち……説明すると長くなるから、簡単に説明すると、



 戦争で【人外】と呼ばれ、


 その力は一騎当千、


 その名声は人々を恐れ戦かせ、


 一声かければ勝利をもたらし、


 敗北すらもその手で塗り替える男。



 そんな異世界の人間の記憶を持つ、とある男の【クエスター】での、プレイ日記だ。

VRMMOゲームってやりたいですよね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ