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1話 自由の始まり

それはいつも通りの平和ボケした平日の水曜日に起こったことだった。

5月7日水曜日。

午後5時半。

太陽は沈みかけ、代わりに月が登ろうとしているような時刻にそれは起きた。


突如、日本人の全てのスマホが何者かにハッキングされたかのように一斉に着信音が響き渡ったのだ。

偶然では話がまとまらない出来事が当然かのように起こった。

何億にも及ぶ人間達のスマホが鳴り響くこの状況。

電話をかけている様子を見せる人物が一人もいなかったのだから、異様と感じ取られても仕方がない。


それに、この出来事がずっと語り継がれているのには他にも理由があるのだ。

それは、 着信音が鳴り響いたあと、着信を拒否したものにも関係なく通話が開始されたということ。

それにその声は、機械音のようなものではあったのだが聞き取れないと言ったものは一人もいなかったと言う。

むしろ、その着信音からの声を聞いた者は必ずこのような感想を述べたのだ。






「まるで、頭の中に直接会話文が入ってくるようだったと」






この意見はその声を聞いたことがないものからしてみれば、一見馬鹿げた冗談話だと思うに違いない。

だが、恐怖のあまり耳を必死に抑えていたのにもかかわらず声が聞こえていたという人物もいるということから、その意見を冗談話だと解決することはできなかった。


さて、それでは。

皆様にはその声が発した言葉を見ていただくとしよう。

これから紡ぐ物語のソースである。







「お前たち人間に朗報だ。今日から完全なる自由をお前たち人間に与えてやる。しかしだ、自由を与えるといっても自由とはなにかが私にはまったく理解ができん。そこで、私は自由になるためには束縛をなくせばいいのではないかと思いついたのだ。法律、憲法、義務。それらがお前たち人間を束縛し、それらの束縛はお前たちが勝手につくったもの。よって、私ができることは他者を束縛する発言、及び行動をしたものに罰を与えることである」








ここで、通話は途絶えたらしい。



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