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登校拒否の始まり…

それから何日かが経ったある日私は風邪をひき熱を出して寝込んでいた。


『美奈?大丈夫?』

母が声をかけてきた。

『うん!だいじょーぶだよ!』

私は元気に言葉を返した。

私は昔変わった体質をしていた。

熱が上がるとどんどんテンションが上がっていき、普段よりも良く喋るのだ。


『また…熱が上がってきたのね…』

母は私の元気な姿を見て判断していた。

『お母さん…美奈大丈夫?』

姉が心配そうに私を見ていた。

『美優…大丈夫よ。早く学校行っておいで。』

『…うん…』

姉はとてもテンションが低くなった。

『美優…今日はちゃんと学校へ行く約束でしょ?美奈も熱があるんだからうつったら困るし早く行きなさい!』

姉は度々学校を休んでいた。

姉は学校でいじめを受けていた。

姉は生まれつき顔に痣があった。

本来赤ちゃんの蒙古斑はお尻になければいけないのに姉は生まれつき顔の左半分が蒙古斑の青い痣で埋めていた。

そのせいで『お化け!』などと言われいじめを受けていた。先生にも忘れ物をした等の理由で体罰を受けていたのだ。


『美優、早く行きなさい!』

その時電話の音が鳴った。

『あら、電話だわ!美優とにかく行くのよ!』

そう言うと母は受話器を取りに行った。

私と姉の部屋に私と姉だけが取り残された。


『美奈…お前だけ幼稚園休みやがって…チッ…』

『…おねえちゃん…ごめんなさい…』

姉は先程の態度と一変し私を睨み付けた。

『お前も幼稚園行けよ!』

『…むりだよ…ゴホッゴホッ!』

『きったねーな!ツバかけんなよ!!!』

『ご…ゴホッゴホッ!ごめんなさい…ゴホッゴホッ!いたっ!!』

私は姉に髪の毛を捕まれた。

『汚いって言ってるのわかんない?咳止めろよ』

『おねえちゃんいたい…ゴホッゴホッ!せき、とまらないよ!ごめ…ゴホッゴホッ!』

『きたなっ!!』

姉は私の髪の毛を離した。

『だから咳止めろって言ってんだろ?咳止まらないなら息止めろよ!』

私は必死に自分の口に手をあてて息を止めた。

余計苦しくて咳が出た。

『チッ…お前使えなさすぎ…』

そう言って姉は一睨みした。

『あれ?美優!まだいたの!?早く行きなさい!』

母が電話を終えて帰ってきた。

『今から行く所…』

そう言って姉は母に見えない様に私を一睨みして学校へ渋々出掛けて行った。



お昼頃の事だった。

ガチャッ

突然ドアが開いた。

『あれ?あなた!どうしたのこんな時間に?』

母が声をあげた。

『あぁ。ちょっと近くに寄ったから用事があって帰ってきたんだ。』

父が帰ってきた。久しぶりの父だった。

私は思わず自分の部屋から出た。

『あれ?おとうさん??』

父は私の顔を見てビックリした。

『あれ?美奈?なんでお前いるんだ?』

『あぁ、美奈今日熱出しちゃって…』

母は父に事情を説明した。

『あぁ、それでか…寝てなくていいのか?』

『うん!だいじょーぶ!』

その言葉を聞くと父は興味なさそうに言った。

『そうか。お父さんまた、直ぐ出掛けないと行けないから熱早く治せよ。』

その言葉を聞いて母が反応した。

『え?また直ぐ行くの?今日は帰ってくるの早いの?』

『嫌、また遅くなる。』

そう言うと父はさっさと用事を済ませて仕事へと出ていった。


私は子供ながらに嬉しかった。

お仕事で全く帰ってこない父と少しだけでも話せたことが。


その嬉しさから、お昼ならお父さんに会えるんだ!と心の中で思ってしまっていた。

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