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処女作です。よろしくお願いします







 『好き』とか『嫌い』とかほど意味の分からないものはないと思う。

 とっくに成人している女性ならともかく中高生は「私に優しくしてくれる人」を基準としていて好きとはあまり関係ないんじゃないか。だからすぐ別れて新しく彼氏を作る。

中には数か月、何年、はたまた社会人までと続くカップルもいるだろう。けれどそれは、ごく稀にしか誕生しない。なにが言いたいかというと俺も色んな女の子をとっかえひっかえしたいのである。

 もしかしたら、この二十一世紀において未だに『ペガサス幻想』を聞いている高校生には青春は永遠に来ないのではないのだろうか。

 今日も明日も明後日も、彼女ができない症候群に襲われた俺と親友の健太とでこの長い坂を登らないといけないのは憂鬱だ。

「……」

暑い暑い暑い。だるいだるいだるい。俺たちの青春は¨補修¨という行事で幕を開けた。







「おいてめぇ健太。嘘吐きやがったな」

「しらねぇ。補修が午後からだったなんてちっとも知らねぇ。」

 補修は一週間に渡り行われる。ちなみに俺が赤点を取ったのは英語だ。国語が出来たら英語もできるはずだ、なんてことを何回言われたか分らんが俺からしてみれば英語と日本語という時点で何もかもが違う。

 さて、このあまりにあまった時間を何に使おうかと。健太は飯やら何やらで家に帰っていったが俺にあの坂を再び登る気力はない。登るのは一回下るのも一回の一往復で十分だ。

「はぁ……」

 俺は五分ほど考え普段めったに行かない『図書室』へと行くことにした。幸いにも手元にはpspとスマートフォンなる武器がある。イヤホンでも挿しとけば周りに文句は言われないだろう。

 図書室に来るのは学校説明会の時とラノベでも置いてないかなと少し見に来た二回だけだ。そのせいか酷く緊張している。

「し、しつれいしまーす」

 それにしても夏休みだというのになんでこんなに人がいるんだよ。入り口から一番近い席へと腰かける。ふと目の前を見ると眼鏡の少女が音も聞こえないような微かな呼吸で微動だにせず本を読んでいた。

一方の俺はそんな本を読みに来ている少女の前で堂々とpspを取り出し『モンスターハウンド3』とかいう明らかにモ〇ハンのパクリゲームをプレイし始める。

 やがてpspのボタンを押す度になるカチカチ音が気になるのかチラチラとこっちを見てくるようになったので俺はスマートフォンへと対象を移した。のだが今度はマジマジとこちらを見るようになったので「どうした?」と声をかけて見る。

「神田天成 ですか?」

はい か いいえ で言うなら はい だ。

「そうだけど」

彼女はその答えに満足したのか微かに微笑んだ。俺は気味が悪くなり席を立つ。彼女も席を立つ。俺が逃げるように廊下に出ると彼女もついて来る。

クソッーー一体全体なんだっていうんだ。

 そんな気味の悪い眼鏡少女が再び口を開いたのは昇降口を出た辺りのとこだった。

「私は、あなたに用事がある」

どんなだ?そもそ俺はお前みたいな生徒見覚え無いぞ。

そんな戸惑う俺の考えを読んだかのように言った。

「あなたは今ここで死ぬ」

頭が痛くなるね。変な本でも読んでおかしくなっちまったんじゃないか。人間いつかは死ぬもんさ、それが明日明後日来ても驚くことはなにもないがそれを面と向かって言われると嫌でも口が空く。まぁこの少女の言うことにまるっきり根拠はないんだろうが。

「だったらなんだよ。それが本当だとしてもお前には関係ないだろ?」

「関係はない。けど上の命令だから。我慢してね。」

「何言っーーーー」

はっきりと見えた。彼女が手にナイフのような異物を持っていてそれによって俺は何故か¨刺された¨。死ぬってそういうことかよ。

意識が遠くなっていく俺に彼女は言った。


「楽しんできてくださいね」























「目が覚めたか?」

「いや、まだあんまり…。」

 ここはーー俺の部屋だ。どういうことだ? 先程の眼鏡女の出来事は夢だったのか。まぁ痛みもあんまりなかった気がするしな。

「っていうかお前誰だ」

「なんだ。あいつに聞いてないのか?」

あいつ?

「あー、眼鏡の女だ」

夢じゃなかったのか?だとしたらなぜ俺は無傷だ。もしくはこれさえも夢なのか?

「てめぇあいつのグルなのか?」

「まぁそうかっかするな。話したいことは山ほどある」

女はそう言うとどこから取り出したのか酒とコップをテーブルに置く。

「いや、俺未成年なんだけど」

「気にするな。¨死んだ者¨にルールなどはない。」

やはりこいつは何かを知っている。俺があの女にいきなり殺される夢か現実か区別がつかないような出来事の元凶を。

「悪いがこれは¨現実¨だ。」

「ッ……」

こいつは俺の心情でも見えてるのか。

「あぁ、見えてるとも」

「……お前は何者なんだよ」

「そうだな、俗に言う¨神様¨というやつだ。」

髪でも紙でもなく神だっていうのか。

「その神様がなんの用なんだ?偶々とか偶然とかそんなことで会える存在じゃねぇだろ。」

「そうだな。時間もないしパパッと説明させてもらう」




「君に世界を救ってほしい」




「は?」



いきなり殺されて、いきなり目の前に現れて、世界を救ってほしい。意味分かんねぇよ。

「ガチのマジの大マジだ。」

「いやその、話が読めない。そもそもなんで俺なんだ?」

一呼吸おいて彼女が言う。

「偶然だ。そもそもこの役割は誰がやっても達成できる。私によってそいつは世界最強になってしまうからな。」

「そんなことができるんだったらお前が手を加えろよ。神様なんだろ?」

「これは人がやらなくては意味がないんだ。というわけでお前には異世界にとんでもらう。」

「いや待てよ!そこに行って俺は具体的に何をするんだよ。」

神様は引き下がらない俺にため息を吐いた。

「はぁ…。大概の奴は世界を救ってくれとでも言えば食いついてくるのだがな。実のところを言うと¨神々の遊び¨というやつだ。様はお前たちが転生して異世界で滅茶苦茶やってるのを見て私たちは楽しむ。それだけだ。」

ここには神によってアホと認定された奴が来るのか。

「分かった。俺はもう死んだ身だしな。俺も生きれてお前等も楽しめるの一石二鳥だ。」

「そうか。物分かりが良くて助かる。では早速ーー」

「待てよ。こっちにも条件がある。」

「……。能力の類のことなら用意してやらん事もないが」

「ちげぇよ。お前も俺の異世界転生に付き合えってことだ。」

「理由を話してもらおう。」


「いや、独りぼっちだと寂しいだろ?それに…滅茶苦茶やってんのを目の前で見てた方が楽しめるんじゃねぇの?」


神様は俯いてしまった。なんだそんなに感動したのかーーと思ったが違ったようだ。

「くくくく……あははははは! お前という人間は本当に面白いやつだな。考えておこう。それでこそ私の見込んだ男だ。」

「え、ど、どういうことだってばよ!」

「行ってこい、神田天成。死ぬまで見届けてやろう。お前の滅茶苦茶を。」




ごく普通の男子高校生。神田天成。異世界に行きます。


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