5話
読んでくれてありがとうございます。
5話目です。
「そうじゃ、言ってなかったの。笹木さんは今日からアルバイトをしながら、ここに住むんじゃよ。」
「えっ、なにいってんの?ただのアルバイトなんでしょ。」
そう、笹木さんはただのアルバイトのはずだ。
「笹木さんのお父さんはお前の父親の親友だったんじゃ。で、ちょっと遠くに行くようじゃから、その間アルバイトとして家に居候させてくれないかって頼まれての。」
あー、そんな理由があったんだ。と思うと同時に、久しぶりにじいちゃんの口から俺の父ちゃんの話が出てきたので驚いた。俺の父ちゃんは俺が小さい頃にいなくなっていた。その時のことは全く覚えていないが、父ちゃんがとても優しい人だったことはとてもよく覚えている。もしかすると、父ちゃんは死んじゃったのかな、と時々思うが父ちゃんを信じてずっと帰ってくるのをじいちゃんは待っているみたいなので俺も待っている。
「でもさすがに思春期の男の家に女の子を入れるっていうのはちょっとおかしいと思うけどね。」
するとじいちゃんはにやにやしながら
「大丈夫じゃ。まさかわしの孫がそんな過ちを起こすわけないとおもっておるよ。」
絶対そんなこと思っていないような顔をしているので全く説得力がない。 このじじい、後で墓に埋めてやる。
「ここが最後で君の部屋だよ。」
やっと最後の部屋に着いた。ここは元々は俺の母親が使っていた部屋だと聞いている。実はあまりこの店は客が来ないので、じいちゃんと俺は一ヶ月に一回は全ての部屋をきれいになるように掃除しているので、いつでもピカピカだから大丈夫なはずだ。
「あっ、そうですか。ありがとうございます。」
でもまだベッドぐらいしかないのでちょっと寂しい。
「あれ、そういえば笹木さんの荷物は?」
「明日ぐらいに着くはずです。」
「そっか、じゃあ今日なんか必要なものとかある?」
「あっ、それは困った時に言うんでその時でいいです。」
「わかった。じぁあ困ったことあったら、多分店の方にいるからよんでね。」
そう言いのこして、その場を離れた。
「明日から少しは楽になるかなー」とひとり言を言いながら店の扉を開けると、
「よお、若造。」とおじいさんが手を振っていた。
「あっこんにちは、清さん。」
この人は清さん、じいちゃんの友達にしてこのお店の常連さんだ。家では独り暮らしだそうでよくじいちゃんも遊びにいっている。なんでも今まで結婚も一度もせず一生独身で居続けるんだと。
「えーえー、どうよ最近は。がーるふれんどう、なんてのできたのか?」
いや清さん、それ俺の台詞です。ていうかガールフレンドです。それにしてもおじいちゃんはみんな同じこと聞くな。
「さぁ、どうでしようねー。」
それでも本当のことが言えないのが思春期の男だと思いまーす。
「うちの孫をあまりいじめないでくれるかの~清。」
うちのおじいちゃんが参戦してきた。
「おう、権。昨日の麻雀以来じゃな。あの恨みは明日絶対かえすからの。」
※うちのじいちゃんの名前は権です。
ていうか麻雀やりすぎ。
権「やれるもんなら、やってみろ、じゃ」
清「なんじゃと、このじじいが!」お前もな。
権「おっと、そんなこと言っていいんかの。最近清がボケはじめて本格的にじじいになってるって知っておるんじゃぞ。」いや、あんたもだから。
清「このおもら○野郎が!」
んー?
権「なんじゃと、う○こもらし!」
子供だなー。
清「うるせぇ。この女好き。」
えっ
権「お前は男好きじゃもんな。」
えっ、
清「この特殊プレイ好き。」
‥‥‥。
権「だまれ。お前こそ今まで何人のけつ掘ったんじゃ?」
俺は静かにその場を去っていったのだった。