2話
2話です
でもそんな俺にも楽しいことがある。それは青春と呼ばれるものの代表格である、そうクラブ活動だ。
俺は陸上部に所属している。主に短距離をやっていて、実力はそこそこ。
実は俺は中学生のころサッカー部に入っていて、レギュラーメンバーで県大会の常連だったので、高校で陸上部に入るってみんなに言ったときはとてもびっくりされた。
中学校のサッカーも適当に入ってやっていただけだったので、高校の陸上部も適当に、入ってみようかなーと思って入った。しかしいざ陸上部に入ってみるととてもおもしろく、今では学校での数少ない楽しみになっている。
我らが西州高校陸上部は一昨年まではとても弱かったが、去年俺と同い年の部員にインターハイや国体に出ている天才がいるため、最近ではとても強くなっている。
やっと孤独な授業時間が終わったので、みんなの視線から逃げるようにして教室を出て、それからまっすぐ陸上部の部室まで走っていった。途中で教員室の前を通って、ちらっと中が見えたが鳥が先生と親と三人で一学期で十三回目の三者面談をしているのがみえたので(退学だけはさせられるなよ)と心の中で親友にエールを送ってやった。
部室につくとまず制服を脱ぎ、陸上用の服に着替えてすぐにグラウンドにでようとしたら、外で声が聞こえた。なんだなんだ、と聞き耳をたてていると
「我に捕まったのが運のつきだったな魔王の使者」
え、なに怖い。外で魔法戦争でも勃発しているのではないかと、そーっと扉を少し開けてみると、一人の少女が一人でしゃがみこんでいた。すると彼女はポケットからチャッカマンを出しながら、
「この魔王の使者め、天使の使いである我の永遠の炎で焼きつくしてやる。」
状況をみるかぎり、チャッカマンを持った女子高校生がアリをもやそうとしてるみたいだった。そして彼女はいよいよ炎をつけようとしたその時だった。
「え、え、なんで、なんでつかないのー?」
チャッカマンのガス不足のようで、天使の永遠の炎はつかないようだった。
なんかかわいそうだったので何事もなかったように外に出た。
「こんにちは、来夢さん。今日は早いね。」
彼女は同じ学年の陸上部で例の天才である、山岡 来夢さんだ。隠れ中二病をやっていて、みんなにはばれていないと思っているようだ。
そしてとてもかわいい。同学年では一番かわいい、と学年中の女子の名前と顔を全員初日で覚えた、犯罪者であり、女子評論家でもある鳥は言っていた。
来夢さんはあわててチャッカマンを隠して、
「あ、こんにちは、友鬼くん。」
と、笑顔で言ってきた。その笑顔に一年見続けてきたが、まだなれないので大ダメージをくらいながらも
「そういえば、足に包帯まいてるけど、怪我でもしたの?」
「あ、これ?えーと、これはあのー、最近のファッションなんだって」
中二病丸出しなのにまだごまかそうとする来夢さんに恐れをおぼえながらも
「じゃあ、みんなそろったし、始めますか」
そう、実はこの陸上部、俺と来夢さんだけしか部員がいないのだ。
去年までは三年生に十人ぐらいいたが、みんなが卒業してからは、この二人だけの見てるだけで、悲しくなってくる部活となっていた。
でも一年生は、まだ仮入部期間中であるため、部員を増やそうと俺は必死に勧誘を続けている。しかし肝心の来夢さんは、
「えー、別にいいんじゃない?私、別に友鬼くんと二人だけで、練習するの好きだし。」
と、こんなことを頬を赤くさせながら言ってくるのだ。
俺も来夢さんと二人で練習するの大好きです。と言いそうになったが、心を鬼にして、
「俺もこの環境は静かで、いいとは思うけど、もっといっぱい部員増やしてリレーとかやりたくない?」
と、言ってやった。
実は俺はリレーをやるために短距離をやっているといっても過言ではない。俺は昔からオリンピックでは絶対にリレーを見るようにしていてリレーにめちゃくちゃ憧れていた。なのでどうしてもここは譲れない、
彼女もその熱意にきづいたようで、
「ほんとは嫌だけど、リレーできるぐらいの人数だったらいっか。」
と、言ってくれたのだ。それからは来夢さんも勧誘を一緒にしてくれている。
しかし、その必死な勧誘を裏切り今日も誰も来ていない。
最初の方は、来夢さん目当ての男がたくさん来ていたが最近は誰も来なくなっていた。
「なんでこんなに人気ないんかなー」