憑依って胸糞悪くならないか
これは個人的な感想で好みの問題だと思う。というか自分の意見の方が少数派な気がする。
何故なら私のこのモヤモヤを代弁してくれる文書に出会ったことがないからだ。だから自分で書く。
なろうでは、転生や転移に並んで、異世界の人物に憑依するところから物語が始まるパターンの王道が存在すると思う。
人気な作品も多いだろうが、私はキーワードに憑依という文字がある作品は余り積極的に読む気になれない。
たまに、転生というキーワードが設定されてあるのに、読んでみたら憑依物だったというパターンもある。
憑依物を読み始める前は、少し大袈裟な言い方かもしれないが、私は心の準備をしてからいつも読み始める様にしている。
だから転生物だと思って読んだ時に不意打ちで憑依描写を読んでしまうのが一番なろうでしんどいと感じる時だ。
何故私がこんなに憑依物、憑依描写が苦手かというと、単純に読んでて胸糞悪くなるからだ。
主人公の人格が憑依するまでは、その身体には確かに人格が存在していて、その人格が消え去ってしまう訳だ。つまり死ぬ訳である。
そしてその事実を軽く流す様な作品が多すぎる。
人の人生を乗っ取っておいて、碌に葛藤もせずにその人生を謳歌する主人公を見て、純粋に楽しむことなんか出来ない。
しかも最も多いパターンが子供への憑依だ。
私はもう、主人公にも、作者にも、多くの読者にも気にも止められずに身体を乗っ取られ、家族や友人にさえその死に気付かれずに消えていった人格が不憫でならない。
そりゃあ憑依物そのものを否定したい訳ではない。実際私も読み進めている憑依物がいくつかある。
ちゃんとフォローが入っている作品もない訳じゃない。主人公が深く葛藤したり、家族が別人であることに気付いたり、それだけで大分救われた気分になる。
仮にフォローがなくとも、単純に面白ければ読み進めてしまう訳だが、逆に余程面白くなければ読むのを止めてしまうかもしれない。
せめて一文だけでも、一行だけでも、身体を乗っ取られ死んでいった人格について、葛藤なり贖罪の感情なりを入れてほしい。
それだけで私は心を軽くして読み進めることができる気がするのだ。