表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ピアス

作者: 百合茶

私、ピアスが好きなの。ううん、正確に言うとピアスの穴に金属が通る、一瞬ひやっとなるあの感じがいいの。あなたに入れてもらう快感にも似た、ゾクゾク感がたまらないの。

ねぇ、分かるでしょ?

まぁ、あなたなら突っ込む方だけど。

とにかくね、ピアスの穴を開けるのって最高よ。アルコールでしっかり消毒して、耳たぶがあなたに舐められたように、冷たくなって、ゆっくり…まるでじらすようにゆっくり場所を確認したら、針を当てて思いっきりブスリ!って刺すの。そうよ、


ブスリ!


…って、あぁごめんなさい。痛かった?…え?くすぐったい?ったく、あなたって人は。

それで、その刺した瞬間、耳元で刺す音が聞こえるの。それ聞いて、あぁ通ったわ。って思うの。…そりゃ、多少血は流れるけど、刺した証拠ってやつよ。すっごく痛快よ。もぅ、あまりにも最高だから、ほら…右耳だけで6つ開いてる。

最近じゃあ、耳だけでは物足りなくて、体のあちこちに開けてるの。鼻、舌、唇…まぶたにも開けようっかなぁ。…うん?まぶたはやり過ぎ?…いいじゃない、きっと素敵よぉ。瞬きするたびにピアスが揺れるのよ。ゾクゾクしちゃう。

そう、それでね、ピアスは冷たいほうがいいの。だから、前の日から水で濡らして、冷凍庫で冷やしてるわけ。穴に通す時、針に付いた水滴が氷の粒になってて、それがまたいい感じにブスブス刺激するの。

ほら、見て。これも昨日まで冷凍庫に入ってたんだから。…なぁに?つららが付いてる?そんな事ないでしょ。…また冗談ばっか言って。

あら?本当だわ。何かピアスに絡まってる。あぁ、ちょっと何なの、これ。…服を脱ぐ時、ひっかけちゃったかしら?

耳のピアスって、結構じゃらじゃらしてるから…まぁ、ゴージャスでよく揺れるから私は好きだけど…こうやって、ひっかけたり絡まったりするから大変なのよね。

…って、ちょっとヤダ。不意打ちのキスは辞めてよね。あぁ、左の方も糸がひっかかってるじゃない。面倒だから、引っ張って切るわ。…痛くないわよ。だってあなた、キスばっかりで外してくれないじゃない。…はさみ?いいの、こんな細い糸、手で切れるから。


プツ…ン


んもぅ、明かりを消さないでよ。夜はこれからなのに、見えなきゃ駄目よぉ。全然ムードがないじゃない。前も言ったけど、自分勝手な人って嫌いよ。勝手にキスしたり、勝手に明かりを消したり

…え?消してない?消してないの?嘘でしょ、辞めてよね…ねぇ、ちょっと、どういう事?…だって、真っ暗で私何にも…


何にも見えない。


…嘘、ヤダ!…視神経が耳たぶから出る事があるって、そんな…。私、ソレ切っちゃったの?…え?あなた、知ってて止めなかったって言うの?…冗談じゃないわ、笑わないでよ!…んもう、どこ?見えてたら今頃ぶん殴ってや…


や、ちょっと何するの?離してっ!

…最高の刺激をくれるって、私だけこんな真っ暗で冗談言わないでよっ!…ねぇ?聞いてるの?ねぇ、ちょっ…



ブスリ!




ねぇ、あなた。

口から肛門まで一直線に、日本刀が突き刺さるって、どんな感じか分かる?

すっごくスリリングで、体中がゾクゾクしちゃう。

今から耳を開ける方、変なツボには開けないで下さい。視神経出ますよ…。と、脅かした後ですが、最後までありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] この前は私の作品を評価していただきありがとうございました。 作品の話ですが、ピアスの穴から神経が出る都市伝説は知っていました。しかしそれをアレンジして最後のオチにつなげる技は巧いと思いました…
[一言] 読ませていただいてすいません。 いきなりで大変申し訳ないのですが、これ、あれですよね。都市伝説ですよね。都市伝説にもまったく同じ話がありますよ。セリフまで同じだったのでビックリしました。僕…
[一言] サディスティックな作品で個人的には好きですが、耳に視神経はありませんね(・・;) わかっていて書いてらっしゃると思いますが…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ