図書室にて
学校の図書室はあまり人気がなく、難しそうな本たちが無言で並んでいるばかりである。
そんな静寂な空気の中、
「ぃよっす!!!秋人!!!」
いきなり耳元から叫ばれた秋人は
「っっ!!!!」
バゴッ
「ぶっ」
振り向きざまに持っていた本で殴ってしまった。
「~~~~っっ!!!!!何すんだよ秋人!!」
涙目で鼻を抑え悶える少年は、
「・・・・・なんだ、誠か」
秋人の数少ない友人の一人だった。
「お前、人が話しかけた瞬間殴るってどーゆーことだよ!?」
「耳元でいきなり叫ぶからだろ。仕方がない」
「数少ない友人を大事にしろよ!!」
「数少ない言うな」
「それはそうと・・・・」
不自然すぎる話題転換。
「なんで昔の卒業アルバムなんか見てんだ?」
「いや・・・・別に」
秋人は古ぼけた本を閉じた。
「なんだよ~隠すなって~」
誠が無理やり閉じた本を開こうとする。
「ほんとになんでもねーって」
「秋人君、水臭いぞ~・・・・・お?」
「・・・・なんだよ?」
「いや、ほらこの人」
誠が指さした先に、黒髪の少女が写っていた。
集合写真の右上に丸く切り抜かれたバストアップ。シニカルに微笑む少女は、確実に美少女の部類に入る顔立ちである。
「・・・・!!」
少し幼げであるが、間違いなく恭子であった。
「この人さ、聞いた話だと病気かなんかで死んじゃったらしいぞ。もう4,5年前の話だけど」
「・・・病気?」
「ああ、心臓だか肺だかが悪かったんだとさ。もったいねーな、美人なのに」
「ふーん・・・誠、やけに詳しいな」
「俺の情報網をなめんなよ」
自慢げに胸を張る誠。
「すいません、これ借ります」
秋人は軽くスルーした。
日頃から磨かれた秋人のスルースキルは高度である。
「おい!!シカトすんなって!!」
静寂な図書室に誠の虚しい声が響いた。
数少ない友人登場ですキラッ
彼の主な情報源は購買のおばちゃんらしい。
切ない話のはずがコメディーっぽくなってきている現実(;^ω^)