優しい人たち
最初に来たのは、
三人だった。
一人は、
最近入職したパートの女性の
娘さんだった。
もう一人は、
大野さんが以前関わったことがあるという
男性。
そして、
もう一人は女性だった。
三人とも、
とても穏やかな人たちだった。
最初は少し緊張している様子だったけれど、
話してみると
すぐに打ち解けた。
みんな
素直で優しかった。
その中の一人は
絵がとても上手だった。
紙とペンを渡すと、
すらすらと
かわいい絵を描いた。
「すごいね。」
そう言うと、
少し照れたように笑った。
休憩の時間になると、
私のところに来て
いろんな話をしてくれた。
好きなことの話。
家の話。
テレビの話。
私は、
だんだん思うようになった。
(あれ……)
(この人たちと一緒に
働くのって
普通に楽しいかも。)
だけど、
一人だけ
少し違う空気を
出している人がいた。
和代だった。
和代は、
店の奥に立って
その様子を
じっと見ていた。
特に何かを
言うわけではない。
けれど――
どこか
よそよそしかった。
まるで
店の中に
入ってきてほしくない
そんな空気だった。
私は
その視線を感じながら
少しだけ
胸の奥がざわついた。
(なんでやろ……)
この人たちは
何も悪いことを
していない。
むしろ
優しくて
一生懸命で
ここにいる誰よりも
真面目に働こうとしていた。
それなのに
店の空気のどこかに
見えない線があるような
気がしていた。
私はまだ
その意味を
よくわかっていなかった。




