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障害施設の闇  作者: りな


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大野という男

八月の終わり頃だった。


私は少しずつ、

接客にも慣れてきていた。


それでも敬太は、

相変わらず言った。


「焙煎はまだまだやな。」


豆の話は

いくらでもするのに、


焙煎は

なかなか進むことがなかった。


そんな頃、

一人の男性が店に入ってきた。


大野という人だった。


年齢は

私より少し上に見えた。


敬太は

いつものように


豆の話をしていた。


大野にも

同じように話している。


産地の話。

品種の話。

精製方法の話。


私はその様子を見ながら、

少しだけ不思議に思った。


大野は、

私と違うことをしていた。


接客をする時間もあるが、

時間が空くと

すぐに事務所に入る。


そして―


パソコンに向かう。


真剣な顔で、

ずっと何かを入力している。


(なんで

珈琲屋さんで

パソコン?)


私は

ずっと不思議だった。


ある日、

事務所の前を通ったとき


聞き慣れない言葉が

耳に入った。


「B型」


「障害」


最初は

意味がわからなかった。


その言葉は

ぽつぽつと

店の中で聞こえるようになった。


それから数ヶ月後。


2023年の

一月か二月頃だった。


店の中に

知らない人たちが

来るようになった。


障害のある人たちだった。


そしてある日、

川谷と敬太に言われた。


「りなちゃん。」


「この人たちに

仕事教えてあげてな。」


私は

言葉を失った。


(え……?)


(どういうこと?)


頭の中は

はてなだらけだった。


珈琲屋だと思っていた場所に、

突然


障害のある人たちが

働きに来ている。


何が起きているのか

理解できなかった。


そんなある日、

川谷が私に言った。


「りなちゃん、

実はな。」


少し声を落として

続けた。


「この珈琲屋な、

ずっと赤字やねん。」


私は

驚いて顔を上げた。


川谷は

平然とした顔で言った。


「再構築の補助金

あるやろ?」


「それ取るために

二店舗目と

就労継続支援B型

立ち上げてん。」


その言葉を聞いたとき、


私は

何も言えなかった。


ただ一つ

思った。


(私、

何の中にいるんやろ。)


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