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障害施設の闇  作者: りな


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2/6

焙煎修行の始まり

和代は、

敬太の母親だった。


太っていて、

どこか小汚い印象のある女性だった。


近くで見ると、

さっきまでの大げさな笑顔とは違い、

目の奥に冷たいものを感じた。


このときの私は、

まだ知らなかった。


この人が後に、

障害のある人たちを

次々といじめていくことになる

人物だということを。


焙煎を教えるのは

敬太。


コーヒーの淹れ方や

接客を教えるのは

和代だった。


焙煎は

2022年7月から始まることになった。


通うのは

週三日。


日曜日、

月曜日、

木曜日。


片道一時間。


往復二時間の道のりだった。


私は、

少し不安を感じながらも

その話を受けた。


数日後、

初めて焙煎機を見せてもらった。


店の奥に置かれていたその機械は、

かなり年季が入っていた。


古い。


けれど、

ただ古いだけではなかった。


大事に使われていることが

すぐにわかった。


敬太が言った。


「これはな、

親父の代から使ってる焙煎機や。」


先代から

受け継いできた機械らしかった。


敬太は

その焙煎機を触りながら

少し誇らしそうだった。


その姿を見て、

私は思った。


(この人は、

本当に豆が好きなんだ)


豆の話をするときの敬太は、

別人のようだった。


さっきまでの

偉そうな態度とは違い、


真剣な目で

豆を見つめていた。


「豆はな、

生き物みたいなもんや。」


そう言いながら

敬太は豆を触った。


「焙煎は

その豆の声を聞く仕事や。」


私は、

その言葉を聞きながら


少しだけ

胸が高鳴っていた。


本当に

新しい世界が始まるような

気がしていた。


けれど――


この場所には

まだ見えていない

もう一つの顔があった。


それに気づくのは

もう少し

後のことになる。

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